厚生労働省の「高度医療評価会議」(座長=猿田享男・慶大名誉教授)は5月28日の会合で、脂肪萎縮症の患者を対象にしたレプチン補充療法を承認した。同時に申請されていた転移・再発した腎細胞がんに対する免疫療法については、プロトコール(治療法を実施する上での手順)が不十分として差し戻しとなり、次回以降の継続審議となった。

 この日の会合では、新たに申請された2技術について審議した。
 「レプチン補充療法導入後の脂肪萎縮症患者を対象とした長期安全性臨床試験」は、京大医学部附属病院が申請。脂肪萎縮症は、脂肪組織が消失したり減少したりする疾患で、高血糖や高インスリン血症など、さまざまな代謝異常を発症する。同技術は脂肪細胞から分泌されるレプチンを1日1回皮下投与で補充する治療法で、長期的な安全性や安定した臨床効果を確認したもの。
 「転移・再発を有する腎細胞がんに対する自己活性化γδ型T細胞と含窒素ビスホスホン酸を用いたがん標的免疫療法」は、東京女子医科大病院が申請。サイトカイン療法不応の進行性腎がんが適応症で、末梢血から採取した自己リンパ球を体外で培養、活性化させた上で体内に戻す治療法。

 前者は、症例数が極めて少ない脂肪萎縮症に対して先進性や有効性が十分に認められるとして、全会一致で承認された。
 後者については、先進性に一定の評価が示されたものの、治療法の有効性についての評価方法や、モニタリング体制やその実施方法などのプロトコールに不十分な点があるとの意見が相次いだ。その結果、いったん差し戻しとなり、次回以降の継続審議となった。


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