『私の中のあなた』を観てきました。


最初から最後まで泣いていましたが、何か。


監督:ニック・カサヴェテス

出演:キャメロン・ディアス(サラ=母親)、アビゲイル・ブレスリン(アナ)、ソフィア・ヴァジリーヴァ(ケイト)


■こんなお話■

白血病をわずらう姉・ケイトを救うドナーとなるために、遺伝子操作によって生まれてきた少女・アナ。ケイトの病状は悪化していくが、アナは姉への移植を拒み、両親に対して訴訟を起こす。


私は「ドナーとして生み出された存在」としてのアナの物語を予想して映画館に行ったわけなのですが、どちらかというと「ケイトと家族の話」という印象でした。


だから、裁判の結果よりも、

アナはなんでまた突然移植を拒否し、両親に対して訴訟を起こすまでにいたったか?

その理由がミソなのです。


母親役はキャメロン・ディアスなのですが、かっこよかったです。とっても目がきれいな人ですね。

このお母さんとお父さんは、ケイトが白血病と知ったとき、移植可能なドナーを得るために「試験管ベビーを作る」という選択をするのです。

今の私には想像できないですが、実際に子どもを持てばするのかもしれない……でしょうか。よくわかりません。

決断したのは両親ですが、医者が「これはおすすめしているわけではありませんが(違法なので)」と前置きしつつ「遺伝子操作ベビーって手がありますぜ」ってほのめかしているシーンがあるのです。


ここ、ある意味かなり怖かった。


で、お母さんですが、「どうしてもケイトを助ける。アナに移植を拒む権利はない」といった、一種の「信念」をもっています。

「手術は無理だ」と言う医者と話し合い、娘であるアナに訴えられても法廷に立つ彼女ですが、ここのあたりをもうちょっと描いていただけるとなぁ…と思いました。

どうしてそんなにケイトを守ろうとするのか。

そこに現代の家族(あるいはママ)のどんな姿があるのか。

それがよくわからなかった。

なんとなく香りはわかるのですが、ストンと胸に来なかった。

結婚して子どもを持てば、もうちょっとわかるのかしら。


でもまあ、ここをじっくり描かれるとしんどすぎたかもしれないですね。

この映画、確かに悲しいお話なのですが、「家族っていいな」という明るい心温まる瞬間がいくつもあって、映画館を出るときころにはヤケ酒が飲みたくなっていた、ということもなく、表現が難しいのですが「清々しさ」があったと思います。


以下、ちょっとネタバレ含む。ちょっとだけなので、灰色。


ケイトは自分に死が近づいていることを覚悟し、それを決して認めようとしない母になんとかわかってもらおうと「説得」します。

ケイトは当然最初から悟りきっていたわけではなく、いろいろなことがあってそんな境地に達するわけで、そこに至るまでのエピソードのひとつひとつがとても綺麗で大切で、だから悲しくて切なくて。

彼女が作ったアルバム(?)は本当にステキ。

それはつまり、彼女自身の人生がステキだったってことなんだなって思えました。

いい顔で笑うんですよ……。


アナはアナでものすごくいい子で、「私って何?」という最初の問いかけよりもあっさり家族(おもに姉)を優先するわけで、それはそんなに不自然に見えなかったけれど、よーく考えてみると「そんなものかなぁ」と思ったりもする。今回はそこは主眼でなかったようなので、いいのですが。


それに、言ってしまえば「ケイトを救うために生まれてきた妹」が、そのお役目がなくなって健康に生き残るわけで、ある意味とても皮肉と言えないこともないと思うのだけれど、ラストの風景がとても美しかったのでその場では特に疑問に思わなかったな。


というわけで、いわゆるお涙頂戴だけの難病ものではなく、家族のすばらしさ、そして愛し合っている家族でもどうしてもほころびてしまう絆、でもやっぱり家族はいいなってなことが描かれていたのではないかと思います。


こういうのを観ると、生きるってそれだけでステキなことなんだよなって思うのですけれど(この映画の中の「世界」はとっても綺麗に撮られています)、毎日思い続けるのはなかなか難しい。ワガママな人間です。


それはともかく、良い映画でした。


……でも、やっぱり思ってたのと違ってたんだよなぁ。

あと、この邦題はどうなんですか?(原題は「My Sister's Keeper」)

意味がわからないのは私だけでしょうか。



原作の小説。文庫も出ています。

ラストは小説と映画で違っているようです。


↓それにしてもこのタイトルと表紙、ハーレクインの仲間みたいじゃないですか…(笑

実物を見たらまた違う印象なのだろうか。

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