たいへん遅ればせながら、『イントゥ・ザ・ワイルド』を見てまいりました。


監督:ショーン・ペン

出演:エミール・ハーシュ

(ハル・ホルブルック(革製品を作っている退役軍人おじいちゃん)が第80回アカデミー賞で助演男優賞にノミネートされたそうです。)


これまた実話が元となっています。


裕福な家庭に生まれ、優秀な成績で大学を卒業したクリス。

将来を嘱望されていた彼だが、貯金を慈善団体に寄付しすべてを捨ててアラスカを目ざし出発する。


ポスターやらチラシにも書いてあるのでネタバレにならないとは思いますが、クリスはいろいろあったあとなんとかアラスカに到着はしますが、帰ってこられない運命


『イントゥ・ザ・ワイルド』とあるので、ワイルドなのかと思っていたのですが、この場合「荒野」という意味のようです。

どちらかというと頭で見る映画だと思うので、「アラスカすげー!」と感動したいときよりは、じっくり考え事をしたいときにいいかもしれません。


章立てになっていて、映画というよりもテレビドラマみたいな感じでした。


本当にアラスカに行って、俳優も本当に筋肉つけたりガリガリに痩せたりしていたようなので、非常に真に迫っています。

怖いし気持ち悪いし、なんだか苦しい映画なので、デートには向かない(もう公開は終わっていると思うけれど)でしょうが、クリスは英雄的でなく等身大の若者(人間)として描かれており、おおむね誠実な映画だと思います。

自然の厳しさ雄大さもありますが、自然の無関心さというのか人間の孤独というのか、そういうことを感じました。

アラスカの自然の中での彼より、人間と交流する彼のほうが私にとっては魅力的に見えました(まあこれは、彼の人生の結末を知っていたからかもしれませんが)。


なんだかんだいってアラスカからは帰ってくるつもりだったようで、あわよくば本を出そうと考えていたみたい。物ばかりの文明社会にはウンザリと言いつつカメラ持っていってたり。そういう矛盾も帰ってこられたら「あのときは若かった」「無謀だった」と笑えるのですが。

クリスくんの生き方についてはどうこう言うつもりはないけれど、生き急いでしまったのでしょうか。

幸せは分け合ってこそ。自分の本当の名前。

もう少し早くそこにたどりついていたら…。


ほかには、大自然がすごく近く感じられました(川を越したら大自然、というようなお気軽な感じがしたという意味です)。でもそれが、若者の甘さを反映しているような気もしました。


インテリブルジョワ兄ちゃんの家出、と言ってしまったらそれまでですが、この映画をみて思うこと考えることは本当に人それぞれであるような気がします。


予想以上に頭で見る映画でした。


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