恋愛睡眠のすすめという映画を観てきました。

監督・脚本:ミシェル・ゴンドリー(『エターナル・サンシャイン』 『ブロック・パーティー』)
出演:ガエル・ガルシア・ベルナル シャルロット・ゲンズブール

主人公のステファン(ガエル・ガルシア・ベルナル)は、お父さんを亡くし、メキシコからお母さんのいるパリに戻ってきます。(スペイン語と英語はできるけれど、フランス語は恥ずかしがって話さない。)
昔住んでいたアパルトマンに戻ってきて、新しい仕事を始めるけれど、それは彼の望むクリエイティブな仕事ではない。
次の日、隣にステファニー(シャルロット・ゲンズブール)が引っ越してくる。
ステファンは彼女に恋をするのだけれど、実生活では上手くいかない。でも、夢の中では理想的な恋が展開する。
そのうち、夢と現実がごちゃまぜになってきて…。


とても不思議で可愛らしい映画でした。
夢の中の手作り感やキッチュさがなんともいえず可愛い。廃墟の風景も面白かった。

初めのうちは夢は夢としてはっきりわかるのですが、だんだんお話が進むにつれて、夢が夢らしい不条理感を失っていきます。もしかしたら、現実が夢に近づいたのかもしれないですが…。夢と現実の交替が頻繁になってきて、一瞬現実に夢が混じっている、というような場面もあったように思います。
要するに、私も、何が彼の夢で何が彼の現実なんだかよくわからなくなってしまいました^^;

ステファンの思い込みっぷりというのがかなり激しいのですが(笑)、恋をすると多少なりとそうなるものですかね…。
せめて夢の中でぐらいすべてがうまくいけばいいのにな、というのもみんな一度は思うことでしょうし。
でも、夢の中が滅茶苦茶なほど、ステファンの独創性(と内向性)がよーくわかるような気がします。

ステファンがなかなかうまくコミュニケーションを取れないこと(彼はそもそもフランス語が上手くない。ご存知かと思いますが、おおむねフランス人は英語を話すのが好きではありません/笑)、いわゆる一般常識から少しズレていること(彼は自分の世界に浸りきっている)から、いまどきの孤独、というものを感じました。
いろいろな人と出会うけれど、本当に理解しあえる人に出会えたらそれは大きな幸運です。
だから、ステファンが自分と同じ感性を持っているステファニーにとても執着するのも、ちょっとわかる。
名前が似ているというので、最初の方で「仲よしの双子みたいに」というようなステファニーの友人の言葉があったと思うのですが、要するにステファンは自分が好きなのかもね。

最後の方、バーで待ち合わせをする場面の緊張感などはなかなかすごかった。

あとは、脳の中のステファン、というのがいて、「ステファンTV」(つまり、夢)をつくっています。
そういうふうな「意識」の捉え方、というのも面白かったです。

…とちょこちょこ書きましたが、ロマンティックというか乙女チックというか、そういう作品です。
そういうのが好きでない方には、ウジウジくんによるつまんない映画でしかないかもしれません。
どうも男の人たち(←彼女に引っ張ってこられたのでしょう)の多くが寝ていたようでした。

公式サイトはこちらです → ここだよ

公式サイトにはハッピーエンドって書いてありますが、私はあんまりそういうふうな印象は受けなかったです。