キス・オブ・ザ・ドラゴン



おススメ度 → ★★★☆☆

監督はリュック・ベッソン。
上の人たちはジェット・リーとブリジット・フォンダ。

あんまりどころかまったく期待せずに見てみたら、けっこう面白かった。
ジェット・リーがかっこよかったですよ。
本物の声がどんなふうなのかよくわからないのですが、吹き替えの声は可愛い声だった。

これはハリウッド風ではなくて、ヨーロッパというかフランスのにおいがする映画でした。
香りじゃなくて、においね。臭いでもいいかも。
パリが舞台ですが、パリってちょっと細い道に入ってみると(みなくても?)けっこう汚いところ。
そういう裏町の雰囲気があって、平気でトイレとか吐いてるシーンとか出てくるし。

ジェット・リーはちょっと惚れそうなぐらいかっこよかったです。
カンフーアクションはキレがあってよかったです。嘘っぽくなくて。
主人公はカンフーもできて、針まで使うのですが、このへんを見てると「ヨーロッパにとって、東洋ってものすごく神秘的なんだな」って思わされます。
針を首の後ろに刺されると、目や耳や鼻から血を吹いて死んじゃうんだもん。そのツボの名前が「キス・オブ・ザ・ドラゴン」なんですよ。
本当か嘘かはともかく、どれだけ達人なんだ!

お話は、けっこうエグいです。
麻薬中毒とか、警察の腐敗とか、売春組織とか、なんとかかんとか。
その退廃的な街の、中国レストラン(?それよりは、食堂かな)でひたすらご飯を食べているが不思議。
ここでもう「この女の人のこと気になってるんだな」ってわかるのですが、そこからすぐにちゅーとかならないのが、ハリウッドと違っていいね。
ギリギリまで傍観してるのね。それが現実だから。
だからって冷たいわけではなくて、とても紳士的で。好感が持てるようなヒーロー像でした。
小さい人が大きな人をボコスカにするのは、海外でも受けるのかな…?

まあ、エンターテインメント性を狙っているらしいけれど「なんだこりゃ」的な場面はちょこちょこ見受けられましたが、いちばん可笑しいのは、ジェット・リーがものすごい真面目なところです。
ジャッキー・チェンなら笑って楽しめるシチュエーションで、こちらはものすごい真面目なので逆の意味で思わず見てしまう。
それから、この主人公はものすごい体が強いのね。
さっき縫ったばっかりの腕でケンカしても平気。
車にひかれてもすぐに走り出せる。
どんだけ丈夫やねん!


ところで、途中で「この人(99の)岡村にちょっと似てるな~」と思ったらおかしくてたまらなくなってしまいました。
失敗失敗。

ともかく、けっこう面白かったので、おヒマがあればぜひ。
『ロミオ・マスト・ダイ』も深夜やっていたのですが、さすがに寝てしまった。
いつかテレビ放送があれば見たいな。

追記:ヨーロッパとハリウッドでは、身体性に関して考え方が違うのかも、とちょっと思いました。
もちろん、ハリウッドのアクション映画を全部見つくしたわけではないので、単なる印象(かあるいは思い込み。主にスタローンやシュワルツェネッガーによる)ですけれど、ああいった映画の「体」って人間ぽくない。
あれは、もうコンプレックスの一種のようにも見える。
このごろのアクションではどうなのか知らないのですが、今はマッチョ系は少なくなってるのかな? もっとスレンダー系が受けてるのかしら。
どっちにしても、ものすごくクールで機械的だったり、相変わらずマッチョで怪物的だったりする気がする。
あくまで印象です。
今回のジェット・リーだってはっきり言って人外のタフさなのですが、それを驚ける人間性があるといいますか…。はじめから「この人は人間以上の存在として描かれてる」って思っていたら、どんなにタフだってどんな能力を持ってたってびっくりしないでしょ。

なんかまどろっこしい文章でごめんなさい。

あ、あとね、やっぱりジェット・リーがベッドシーンしてもあんまり絵にならないんだと思う。
むしろ、しなくていいぞ! 彼の場合そのほうがかっこいい。
超ストイックなヒーロー像があったっていいよね~。