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【 テーマ「かこ」について 】
「かこ」では、私が2008年9月に経験した交通事故について綴っています。
私自身がこの貴重な経験を忘れてしまいたくないから。
毎日毎日起こり続ける交通事故、そのひとつひとつ痛み・重みを
少しでも多くの人に知ってもらいたいから。
そしてこの経験を踏まえたうえで、
毎日を楽しんでいる人がいるんだということを知ってもらいたいから。
主観とエゴのかたまりですが、お付き合いいただけたら幸いです。
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10月16日。
この日は看病に来てくれていた姉が北海道に帰る日だった。
事故から1ヵ月の間、交代で看病に来てくれた家族。
これからは1人の入院生活が始まる。
全く寂しくないと言えば嘘になるかもしれないけど、
ここの病院の看護師さんやリハビリの先生たちはみんなフレンドリーで優しかったし、
車いす生活が始まったことによって
ある程度のことは自分でできるようになっていた。
そして何より、ヤスがいる。
きっと大丈夫。
そう思うことができた。
出発の朝、
姉が帰る前にもう一度外出したかったね、という話になった。
しかし姉ひとりでは私とヤスの2人分の車いすを押すことはできない。
手でこいで行ければいいのだけれど、
近くのデパートまでにはたくさんの段差がある。
とても私たちの車いす技能じゃあその段差を越えることはできない。
やっぱり無理だよね。
そう諦めようとしたとき、ヤスが思いがけないことを言った。
「俺、松葉杖で行くから大丈夫だよ。」