あらすじ    登場人物紹介  目次

 

「もう少しわかりやすく話してくれないか」

 

斎藤が苛立ち気味に言葉を吐き出した。
歌麿のもってまわった言い方が気に入らない
らしい。

 

「何故私がこの事件の推理を皆さんに言わない
 か、少しご不満もあるでしょうが、今しばら
 く待っていてください、私が今私の推理をこ
 こで話しても、皆さんには信じてもらえそう
 にもないからです」

「歌麿の意見を私達疑った事ないわよ」

 

杏の言う事は間違いない。
今まで歌麿の意見に従い、動いてきている。
歌麿の意見に対し、ゆいはわからないが、斎藤
も杏も絶対的な信頼を置いている。

 

「推理があまりにも突拍子もないからです」

「どうゆうこと?」

「おそらくもう少しすれば、次のステージが始
 まるはずです」

 

ゆいの瞳が一瞬だがキラリと光った。

歌麿は突然ポケットから銀紙を取り出した。
杏がジョンサルトが立ち去った場所から持って
きた鶴の折り紙だ。
鶴は分解され一枚の折り紙に戻されていた。

 

「これはジョンサルトが残していったものです」

 

歌麿はその銀紙をテーブルの上に置いた。
そこには文字が書かれていた。
杏が手に取ってその文字を目で追い、やがて皆
に聞こえるよう読んだ。

 

「逆らうな、流れに身をゆだねよ」

「なんだそれ?」

 

斎藤が杏から銀紙を奪い取ると、銀紙自体を
調べ始めた。

 

「ただの折り紙です。書かれたメッセージに
 意味があると思います」

 

歌麿が苦笑すると

 

「私は今からエボニカ共和国に飛ぼうと思って
 います」

 

斎藤に微笑んだ。

 

「はあ?」

 

首をかしげる斎藤に、歌麿はさらに言葉を足した。

 

「間違えました。私達はです」

 

斎藤の顔から血の気が引いた。

 

続話→

 

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