厚木のはずれ 上荻野にある 明治24年に建てられた«古民家岸邸»(リンクあり)。
ここは女優岸恵子さんの叔母様が住まれていた家。
敷地は520坪 和洋折衷の2階建て 土間を持ち 15室建坪120坪からなる豪農のお宅です。
平成10年に岸家から 厚木市に寄贈され 一般公開されています。
去年の3月 ここでお雛様の展示をしていた時に見に行きました。
でも 冬季の岸邸は 閉館時間が3時。
2時過ぎに到着し 「ごゆっくりどうぞ~」と迎えてくれた管理人のおじさん。
閉館と同時に帰りたかったのか 私の行く先々を歩いて行き ガタガタ雨戸を閉め始めました。
何とかお雛様はみられたものの 一番の見どころのステンドグラスのはめ込まれた窓を見ることができず・・・・。
先日近くまで行ったので リベンジ見学、改めて岸邸の素晴らしさを 写真満載でご紹介します。
鬱蒼とした木々に囲まれた岸邸です。
入り口の«薬医門».
この門は 隣の愛川町にある山十邸と同じ大工さんが建てたそうです
«薬医門»とは・・・・
矢の攻撃を食い止める«矢食い(やぐい)»がいわれ。
かつて医者の門として使われたことから «薬医»の文字が
使われています。
門の脇に木戸をつけ、扉を閉めても四六時中患者が出入り
できるようにとの意味もあります。
玄関を入った部屋で出迎えてくれるのは直径80㎝はある大きな火鉢。
傍らの火箸入れはお多福さんです。
それぞれの部屋に付けられたランプシェードの鮮やかさには目を見張ります。
建具も見事~~。
廊下の壁に作られた明り取りの飾り窓。
これは 雨戸の戸袋です。
窓を開けずに 室内の壁に取り付けられた窓から 雨戸を開け閉めできるんです。
欄間の数々。
襖や引き戸にも 手の込んだ組木細工がはめ込まれています。
襖の取手金具もひとつずつ模様が違うんです。
床の間の飾り棚の開きの取手金具も ひとつずつ違う凝り様・・・
大きな一枚板の引き戸の取手は 金具ではなく木彫りの物でした。
二階へは畳の部屋から作られた 一枚板の踏板階段を昇ります。
階段の手すりも宝尽くしの模様が彫られています。
和室をぐるっと囲む廊下には 去年見られなかったステンドグラスの窓・・・
ステンドグラスは 欄間や 土間の明り取りにもあしらわれています。
障子にはめ込まれたガラスも花柄です
2階には 大正末期から昭和初期に増築された《一間洋館》と呼ばれる隠し部屋の様な洋室があります。
天井に映り込む照明の影がユラユラとってもきれい。
鳩時計
ステンドグラスのある廊下に続く入り口のドアには ハートマーク。
明治時代の建物とは思えませんね。
書棚には 難しそうな本もたくさん並んでいます。
今回 目についたのはトイレの豪華さ。
照明器具もお洒落ですね~~
お客様用のトイレの灯り。
窓も組木細工の飾り窓。
掃き出し窓にまで飾りが施されています。
トイレの窓がこんなに豪華とは・・・
極め付けは トイレの前にある手洗い場。
手摺の下が石敷きで 排水溝もあり 手を洗った水が流れて行く様になっています。
水が入る瓶の上には獅子
瓶の取っ手は象です。
龍の口から手洗いの水が出てきます。
何て 豪華なんでしょう~~
こちらは家人用のトイレの手洗い場。
実用的にできていますが コックをひねると水が出てくる優れもの・・・
贅を凝らした岸邸は 一見も二見もの価値ありです。
これを太っ腹な厚木市は 入場無料で見学させてくれます。
尚 開館時間は 10月~3月までは午後3時まで。
1時頃までに入館しないと 見学途中で 雨戸を閉められちゃうのでご注意ください