漫画「千年の翼、百年の夢」 | 二村旅人のブログ

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映画やテレビの話題などなど。漫画と言いつつ絵本とか。お手軽な音楽動画がほとんどですが…記事は毎日更新を断念し、随時アップ中。 f(^^;

谷口ジローの漫画。

題材的にちょっとアレかなぁ~って気もしないではない(笑)「とも路」も記事を上げてる好きな漫画家の今月出たばかりの最新作。
谷口ジロー作品は、1月末に時代劇もの「柳生秘帖 ~柳生十兵衛 風の抄~」(1992年作品の新装丁版)も出ていますが、感動の度合い的に(久々に漫画でウルウルした )本作を久々の漫画ネタといたします。 f(^^;

◎小学館の「ビッグコミックオリジナル」で昨年連載。
全5話とアッサリな短い作品ですが中身は濃いオススメ漫画です。

パリのルーヴル美術館の【ルーヴルBDプロジェクト】シリーズのひとつ。
ルーヴル美術館の魅力を世界に発信するため、同美術館を舞台(あるいはコレクションを題材)とした漫画作品を世界の漫画家に描き下ろし依頼し、作品は美術館にコレクションとして所蔵されるという企画だそうです。
【BD】はフランス語圏での漫画を意味する【バンド・デシネ】。
日本の漫画家では2009年に荒木飛呂彦が「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」を発表していて、谷口ジローが2人目になるようです。

●ということで、フランスでは昨年11月に先行出版されおり、仏語タイトルは「Les gardiens du Louvre」(直訳すると「ルーヴルの守り人たち」)。

ルーヴル美術館内の主人公の周りに不思議な浮遊物が漂ってますが、実はコレが守り人たち…時と空間を越えて【生】を感じる作品になってます。

◎お話は…
2013年5月のフランスで不思議な体験をする物語。

主人公は、バルセロナで開催された国際マンガフェスティバルでのイベントを終えた「僕」。(名前は出ません。う~ん、おそらく作者が投影されてるかな。)

せっかくだからと5日間ほどパリで美術館巡りをするつもりで皆とは別行動をとるが、旅と日頃の疲れが出たのかホテルで風邪をこじらせて、体調不十分ながらも持ち直したところでルーヴル美術館を訪れる。

観光名所として混雑しているルーヴル内。熱がブリ返したしたのか座り込んでしまった僕だが…美しい女性に起こされて夢想と現実の間に来ていると聞かされる。

周囲の雰囲気は一変しており(時代を少し過去に遡ったようで)、静かに「モナ・リザ」を鑑賞できたが、その女性に名前を聞くと…守り人の一人で「サモトラケのニケ」と名乗る…

コローやゴッホといった画家たちとの不思議な邂逅にとどまらず、「『坊っちゃん』の時代』を描いている谷口ジローならではな明治の日本人とも出逢ってしまう…
という美術品たちには千年、人物たちには百年を感じさせる作品。

日本人ならではの3年前のあの日に関連したエピソード…間もなく4年を迎えるこのタイミングに相応しい最終第5話で締め括られています。

◆大型のB5サイズでオールカラーの豪華版が出ていたのでコチラを購入。

近所の書店に行ったら予約した方が一人だけいて一冊しか入荷してない(トホホだわ)とのことで、取り寄せとあいなりましたが… あせる
1939年の戦時下での美術品疎開のエピソード部分はモノクロで描かれてました。
ストーリーに対する感慨は変わらないだろうけど、美術ものですのでカラーの豪華版がオススメ。 (^-^)b