群馬県自然史博物館・その3 | お母さん、火って何から出来ているの?(旧)

お母さん、火って何から出来ているの?(旧)

イラストレーター古田真理子の、子どもと格闘する家庭学習の記録。またはお仕事の記録。

前記事の続きです。

群馬県自然史博物館・その1
群馬県自然史博物館・その2


。。。

この博物館のメインは恐竜に関する展示だと思いますが、一方で自然人類学に関する、人類史関連の展示も大変面白かったです。



それを象徴するのが、このジオラマ!

お母さん、火って何から出来ているの?

400万年前の東アフリカの、アファール猿人の復元図。




すごい。




だって、こんなんですよ。 見て!!

お母さん、火って何から出来ているの?

圧倒されるくらいの精巧さです。
皮膚の感じとか、毛の付き具合とか、すっごい。

間近で、まじまじと穴の空くほど見つめても、鑑賞に耐えられるくらいの素晴らしさです。








ちなみにアファール猿人とは、別名アウストラピテクスともいいます。
エチオピアで1974年に、メスの全身骨格(40パーセント)が見つかったことが有名です。
その化石人骨はルーシーと名付けられましたが、おそらく、このモデルも彼女が元となっているのではないかと。



彼女、本の表紙にもなってました。
ルーシーの膝―人類進化のシナリオ/イヴ コパン
¥2,100
Amazon.co.jp
このビジュアルは、やっぱ目を惹きますねー。





3Dパネルにもなってた、ルーシー。

こっちから見ると肉付きの立像なんだけど
お母さん、火って何から出来ているの?


片方から見ると骨格になってる。
お母さん、火って何から出来ているの?

面白い。こういうセンス、好きですラブラブ







ネアンデルタール人の埋葬風景。

お母さん、火って何から出来ているの?

「埋葬」という行為を行える動物は、人間だけなのですよね。
この社会性こそが、人間を人間たらしめているわけで。


しかしここではネアンデルタール人が埋葬を行った、という仮説でジオラマが作成されていますが、実は埋葬を行ったのはネアンデルタール人からではなく、もっと後に登場するクロマニヨン人からではないか、という説もあり。
現在も論争が続いているのだそうです。



お母さん、火って何から出来ているの?

ちなみに、この埋葬されている死者ですが。
実はこのモデルが完成する間近に、「展示をリアルにするために死者の目を見開かせたらどうか」という提案があったのだとか。
でも博物館側から、「それは怖いデショ!」という理由で却下され、死者の目は閉じられたのだそうです。(参考リンクこちら


うん、閉じて正解だと思うよ…!
死者の目が開いてるって、やっぱ怖いしあせる




でもね。
伏兵がまだいたのでした。



それはねっ。この人!!!

お母さん、火って何から出来ているの?





この人もかなり怖い。


お母さん、火って何から出来ているの?

うわーーーー!
その登場の仕方、やめて!! まるでホラー映画じゃーないか。



そういえば、「飛び出せ!科学くん」でも、この辺にしずちゃんが登場してたな…(参考リンクこちら







こちらは、火をおこすホモ・エレクトス(北京原人)

お母さん、火って何から出来ているの?

北京原人が生息していたとみられる中国の周口店遺跡では、灰が発見されており、人間が火を道具として使った証拠と考えられています。
ただし、北京原人は火の使用者であって制作者ではなかったのだそうで。彼らは野火や落雷から火種を得ていたのだとこと。

人間が火を使い、またそれを作るに至るまでに、いかに長い年月を要したかということですよねー。。。








ちなみに、「出土した骨から顔を復元する」 復顔技術についてはこのような展示もありました。

お母さん、火って何から出来ているの?

このように、出土した骨に足り無い部分を足して頭蓋骨を再現した上で、深い部分の筋肉→浅い部分の筋肉→皮膚→毛など の順に肉付けをしていくのだそうな。(但し諸説あり)

そうやって完成した顔。
お母さん、火って何から出来ているの?


復顔の技術って、法医学関連の話でもよく聞きますね。
犯罪捜査にも、人類史や歴史研究にも貢献する復顔技術。興味深いです。





。。。


それから、もいっちょ。こちらについてもご紹介。


この、動物達の展示。なんだと思います?

お母さん、火って何から出来ているの?

手前から、マレーグマツキノワグマヒグマホッキョクグマ が展示されています。
大型の同種のほ乳類ですね。



この展示はなにを意味しているのかというと、

マレーグマ (東南アジアの熱帯、または亜熱帯の森林に生息) よりも
お母さん、火って何から出来ているの?

ツキノワグマ(インドから日本の森林に生息)が、
お母さん、火って何から出来ているの?

ツキノワグマよりもヒグマ(北アメリカやユーラシア大陸の森林に生息)が、
お母さん、火って何から出来ているの?

ツキノワグマよりもホッキョクグマ(北極圏の海の近くに生息)が、
お母さん、火って何から出来ているの?

身体が大きい、ということなのです。




その事実をふまえて、これらの動物を比較してみると「なるほどっ」と思いますね。

お母さん、火って何から出来ているの?


寒いところに住む動物(恒温動物)は、暖かいところに住む同種の動物より、一般に身体が大きい傾向があるのですね。

これをベルクマンの法則、というらしい。 へーへーへー


これはつまり、ヤカンのお湯が、茶わんのお湯よりも冷めにくいのと同じで、寒いところに住む動物も、身体を大きくすることで体温を保ちやすくしている、ということなんですって。






さてこの「ベルクマンの法則」、姉妹編(?)に、「アレンの法則」というのもあるらしい。

お母さん、火って何から出来ているの?



それはですね。

オオミミギツネ(アフリカ東部、南部に生息) よりも
お母さん、火って何から出来ているの?

アカギツネ(ヨーロッパ、北アフリカ、アジア、北アメリカに生息)が、
お母さん、火って何から出来ているの?

アカギツネよりもホッキョクギツネ(北極圏に生息)が、
お母さん、火って何から出来ているの?

耳が小さい、ということ。



お母さん、火って何から出来ているの?

これはつまり、寒いところに住む動物は、暖かいところに住む動物より、耳や足など飛び出ている部分が少ない傾向にあるのです。
寒いところの動物は、できるだけ身体の表面積を減らすことで、体温を保つわけですね。


このように、一同に標本を並べて比較すると、とても分かりやすいですね。
この展示の仕方は秀逸だなーと思ったのでした。




。。。

と、このほどかように。

子供たちが今ひとつの食いつきっぷりだったのは残念でしたが、そのかわりに私がたーーっぷりと堪能できたので、良しとしましょう!


それにしても、恐竜を怖がる我がヘタレ息子よ。
私としては、もうちょっと、一緒に恐竜を堪能したいのにーーーー。なんとかならんのかっ!
という熱い思いを胸に、ミュージアムショップではこんな本を買ってみました。


恐竜大探検 (ドラえもん ふしぎ探検シリーズ)/藤子 F・不二雄
¥893
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ドラえもんをエサに、なんとか恐竜にくいついてくれないものかと。


なんでもわかる恐竜百科―人気の50頭大集合!!/福田 芳生
¥840
Amazon.co.jp

こんな本も買ってみた。

しかし結局、子供より私のほうが熱心に読むという罠。


。。。



この博物館では、資料的に価値のあるものを展示する、というより
「科学的な話をいかに分かりやすくビジュアルで説明するか」
ということに注力している姿勢が感じ取れました。
その上、一つ一つの展示へのこだわりも
ビシバシに感じられて、大変楽しかったです!
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