⇒添削例4 文系3年男子(広告、商社、メーカー志望)D君の自己PR
文系3年男子(広告、総合商社、メーカー志望)
D君の自己PR
私には譲れない商人魂があります。
それはお客様に値段以上の価値を仕事に見出してもらう
ために、持ちうる技術を最大限に仕事に活かそうとする気
持ちです。大学祭で、私たちはたこやきの模擬店を出して
いました。周りの友人は、たかが模擬店と適当に形が悪く、
大きさが不均一なたこやきを作っていました。
しかし、私はそのたこやきをお客様に売り出すことが許せ
ませんでした。
他の人とは違う意見を持っていた私は、自分の意志に賛同
してもらうために、一つの単価をあげずに商品の質が上が
れば、お客様は他のたこやき店よりも私たちの店を選ぶの
で、売り上げが伸びると、質が上がることと利益が上がる
ことを関係させ皆を説得しました。
その話が見事に伝わり、皆で協力して、お客様にたこ焼き
の見栄えと触感をできる限り整えたものを提供できるよう
になりました。
これからもこの商人魂を胸に、どんな仕事に対してもお客様
のことを考えて働いていきたいと思います。(400字)
⇒まず全般的な感想を。
関西の学生ということで「あきんど魂」を売りのしたのだろうが、
そもそも関西就活生のどれだけの人が「商人魂」を言葉にして
自己PRをしているのかを知るべきだ。ぶっちゃけ埋没系になっ
ていることをまず知ろう。本人が思っている以上にありがち・・・。
自己PRとはあなたが大学時代にもっとも熱を込めて継続した
活動をツールにして自己表現するのが王道的なやり方。そうい
う意味で、大学祭のたこ焼き作りがあなたの大学生活のハイラ
イトだったとすると、ずいぶんもったいない学費の使い方をして
無駄な生活を送ったんもだなぁ・・・という印象しか持てないのが
多くの社会人の本音ではないだろうか。
さらに、あなたは大きな勘違いをしているぞ。大学祭だろうが
何だろうが、お金を取って売るのだから手抜きをする方が変な
のであって、ちゃんと品質を守るのは当たり前じゃないだろうか。
あなたは当たり前のことをやった事実を自画自賛していること
になっているのだ。大学祭の現実がどうだろうが、世間の常識
はそういうもの。たこ焼きをちゃんと焼いた程度であなたを認め
てもらうのには無理がある。
自己PRなのになぜか「商売理論」で多くの字数を割いているが
あなたが面接を受ける相手は、あなたから商売理論などを聞き
たいとは思っていない。あなたのどういう資質と特長が商売に
生きると思うのか・・・それはどういう経験で証明できるのか・・・
そこをズバリと答えなければ、あなたを人材として買ってもらう
ためのコマーシャルにはなりえない。
⇒以下、挿入しながら各部分の感想を。
>私には譲れない商人魂があります。
最初にズバリと言い切っているのは悪くない。冒頭から長々と
ダラダラの文を書く人がたまにいるがあれは最低。そういう点で
は誉めて差し上げたい。しかし内容はまた別のこと・・・。
>それはお客様に値段以上の価値を仕事に見出してもらう
>ために、持ちうる技術を最大限に仕事に活かそうとする気
>持ちです。
この考え方は日本の伝統的な商売の姿勢だから、けっして間違
いではないのだが、そもそもあなたがこういう立派なこと語ってい
る必然性と資格を知りたい。誰かに聞けば誰でも言えちゃう程度の
商売評論なのだが、あえて君が語ることの必要性が証明されない
と、単に口だけの学生になってしまう。
>大学祭で、私たちはたこやきの模擬店を出して
このフレーズを呼んだとたんに、私は全身の力が抜けるような気が
してしまった。20歳を越えた大学生が仕事を見つけるために自分を
売り込む際に「大学祭の模擬店・・・たこ焼屋」。あなたは自分でどう
思うだろうか。おそらくこのフレーズを聞いた瞬間に、あなたの語る
ことに耳を貸さなくなるのが、社会人の一般的感覚だと私は思う。
経験談はあなた自身を表現するための道具でしかないから、どんな
経験談でもいいはずではあるが・・・経験談に貴賎はないはずだが・・・
よりによって楽しいお遊びの1回こっきりの大学祭・・・しかも模擬店。
まるであなたの健康診断を鼻くそ一つまみで行うような気持ちになっ
てしまった。どうしてもあなたが「僕の大学生活のすべてはたこ焼の
模擬店に集約されるのです!」と言い張るなら止めはしないが・・・。
>いました。周りの友人は、たかが模擬店と適当に形が悪く、
>大きさが不均一なたこやきを作っていました。
>しかし、私はそのたこやきをお客様に売り出すことが許せ
>ませんでした。
何度も言うがあなたの周囲が変なのだ。あなたの周囲が世間一般
よりも低いレベルの意識なのだ。あなたがたまたま普通の感覚なだ
けで、ことさら自慢する特別な話でもなんでもない。
>他の人とは違う意見を持っていた私は、自分の意志に賛同
>してもらうために、一つの単価をあげずに商品の質が上が
>れば、お客様は他のたこやき店よりも私たちの店を選ぶの
>で、売り上げが伸びると、質が上がることと利益が上がる
>ことを関係させ皆を説得しました。
>その話が見事に伝わり、皆で協力して、お客様にたこ焼き
>の見栄えと触感をできる限り整えたものを提供できるよう
>になりました。
>これからもこの商人魂を胸に、どんな仕事に対してもお客様
>のことを考えて働いていきたいと思います。
顧客第一なのはいいのだが、なぜあなたがそこまでそういう姿勢に
こだわるのかがわからない。むしろそういう理由や背景の説明が
あなたの自己PRになるのではないだろうか。あなたの生家が古く
から商売を営む家庭で、幼い頃からあなたがその薫陶を受けてい
たというならば、まだわかるのだが、そういうことは読み取れない。
無理やり志望先に結び付けている気がしてしまう。
あなたは「商人魂」という言葉自体に酔ってしまって、必要以上に
こだわってしまってはいないか。このフレーズにこだわるあまりに
自己分析を十分にしないまま自己PRをしてしまってはいないか。
あなたが本当に「商人魂」の塊なのか・・・古井戸先生はその段階
で既に疑問を感じる。あなたが語る資格がある言葉なのかどうか
を冷静に見つめなおしておくべきだ。古井戸先生ならば即刻軌道
修正してこの言葉を捨て去るだろう。
思い込みによる自己分析不足は明白!まずは
足元を再度固め直してから、再びの挑戦を待ち
たい!
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