母の見舞いも兼ねて、兄と交替で山口に帰省している。
帰省と言っても去年父が逝ったので家には誰も住んでない。
先週の木曜に帰った際、相変わらず郵便物が溜まっていた。
一通のハガキが届いていた。
差出人は女性で住所は長門市俵山。宛先は父。
「梅雨の暑さがひとしおに感じられる昨今でございます。
○○様(父)、先日はわざわざご連絡を頂戴しましたのに、
私が留守をしており、失礼を致しました。
夫は平成20年12月に亡くなりました。お知らせします。
生前のご厚誼に御礼申します。
時節柄、どうぞ、お体をお大切にお過ごし下さい」
一体、誰が先日、連絡をしたのだろう?
聞いたことがない珍しい苗字だが、父との関係も分からない。
兄にも聞いたが記憶がないと言う。
この文章を読む限り、亡くなったご主人と父に何らかの交流があったようだ。
今となれば、調べる意味もないが、それにしても不思議な話である。
ネットで検索した処、俵山温泉に同じ名前が付いた旅館を発見!
頭から離れなかったので土曜に電話をしてみた。
年配の女将さんらしき人がでてきた。
「初めまして、○○の次男ですが」
「あら、そうなんですか?」
「実は、父も昨年・・」
「それは、それは、ご愁傷様です」
父との関係を聞いた処、戦友だった。
「ところで、奥さんに連絡をしたのは誰でしょう?」
「留守電だったので、人違いだったのでしょうね」・・
独り暮らしで余程嬉しかったのか、話がはずむ。
「私は84才で、一人で旅館をやってます」!
「全部、一人でやってるんですか?」
「でも、最近は不況でお客さんが少ないので・・
是非お泊りに来て下さい。ここのお湯はいいですよ」
料理も一人で作って、客が減っても掃除等さぞ、忙しいことだろう。
「お体に気をつけて下さい」と言って電話を切った。
再度、検索してみると、この温泉は外湯が中心で山中に位置する。
小さな旅館が十数件あるようだ。
以前から「外湯」「ひなびた温泉」という言葉には弱い。
無性に行きたくなったが、「先日の電話」がチョイと気になる。