できる、できない、好き、嫌い....等々は、自分で自分にかけた催眠術にかかっているだけではなかろうか?
と、ふと思った。
ネガティブな命令のほうだけ解きたいが、どうすれば...。
以下は私見にしか過ぎないことをお断りして...
【あれは一種の催眠術効果だ(った)と思われる体験】
1.ビートルズの映画を観て、映画館から出たとき、自分の脚が長くなったように感じた。
2.美術館で絵を見たあと、うまく描けるような気がして、ミュージアム・ショップでスケッチブックなどを買ってしまう。
3.「あの人はこんな人なんよ・・・」という噂話を耳にして、『あの人』が『こんな人』のようにしか思えなくなった。
4.芥川龍之介の「芋粥」という短編小説を読んだら、無性に芋粥が食べたくなった。
5.休日は脚の痛みで外出を躊躇することがよくあるが、仕事中は脚の痛みがかなり小さくなる。
6.出された課題、先延ばしにした挙句、締め切りギリギリになって仕上がる。
【各例についての解釈】
1.《かかったときのようす》
暗い映画館の中で3本(「ハード・デイズ・ナイト」、「ヘルプ」、「レット・イット・ビー」)立て続けに見た。(「イエローサブマリン」、「マジカル・ミステリー・ツアー」だったかもしれない)
《かかっている時の感覚》
ビートルズの一員になったような気分。今でいうイケメンになったような気もした。
英語も喋れそう。気分爽快。
《解けた経緯、解けた時の感覚》
直射日光を浴び、現実を直視した。
2.《かかったときのようす》
外よりも暗い館内で名画と向き合う。
会場を出てロビーの一角に楽しげな商品の並べてあるミュージアム・ショップに吸い寄せられる。
《かかっている時の感覚》
いま見たばかりの絵の真似をしてみたい。見る前より進歩しているはず。
《解けた経緯、解けた時の感覚》
帰宅するまでのうちに、高揚した気分がだんだん覚めてしまう。
実際に描いてみて、それほど進歩したとは感じられない。
3.《かかったときのようす》
初めて入った職場(総務課)では、噂話の花が咲いていた。
人生経験が足りず、聞いた話を鵜呑みにしてしまう傾向にあった。
《かかっている時の感覚》
自分の思考停止。他人の目を通して噂の的の人を見ているような感じなのだが、それを自覚できなかった。
《解けた経緯、解けた時の感覚》
噂の的の人と過ごす時間が増えるにつれて、その人に対する認識が変化していった。
4.《かかったときのようす》
感心しながら夢中で読みふけった。
《かかっている時の感覚》
是が非でも自分も芋粥を食べたいという欲求が膨らみ、母に頼んだ。
《解けた経緯、解けた時の感覚》
けっして母の調理が下手だったというわけではないが、実際に食べてみて、
こんなものかと思った。
5.《かかったときのようす》
痛み止めは服用して出勤するが、出勤した途端に集中力を切らせてはならないような仕事の中に投げ込まれる感じ。
人相手の仕事なので、自分の状態よりも相手の状態のほうに目が向く。
《かかっている時の感覚》
多少の痛みは感じるが、必要と在らば走ることもできそうな気がする。
(実際に走ったら、それこそ『催眠術』が一瞬にして解けてしまうだろうが)
《解けた経緯、解けた時の感覚》
仕事が終わり、職場から一歩出る。緊張感がきれ、痛みが襲ってくる。
帰る前にも痛み止めは飲むが、出勤時とは雲泥の差。
6.《かかったときのようす》
先延ばしし続け、お尻に火がついたら、徹夜もじさず取り組む。
《かかっている時の感覚》
「できる」という根拠のない自信が溢れてくる。
《解けた経緯、解けた時の感覚》
終わった、やり遂げることができたという安堵と開放感。
先送りする自分への自己嫌悪。
【仮説】
《催眠術にかかるときは》
・光の状態が関係するのではないか?
・集中、連続、緊張、思考の停止 などが関係するのではないか?
・以上から、催眠術をかけるときには、照明を落とし、連続した刺激で集中させ、緊張感を増大させる。思考を停止させる。
《かかっている時の感覚》
・爽快感、高揚感、一途な気持ち。
《解けた経緯、解けた時の感覚》
・ここでも光の状態が関係するのでは?
・現実直視
・以上から、催眠術を解くときには、照明を明るくし、緊張感から解放させつつ、現実を直視させる。