歓送迎会のシーズンですね。
適度な飲酒は体に良いという研究結果を言い訳に、飲酒をしてきました。
Di Castelnuovo A, et al. Alcohol dosing and total mortality in men and women: an updated meta-analysis of 34 prospective studies. Arch Intern Med2006;166:2437-45.
しかし最近のBMJという有名な雑誌に、それは数字のマジックだぞ!酒はそんなに体に良いわけでもないぞ!という研究が発表されてしまいました。
Knott CS, et al. All cause mortality and the case for age specific alcohol consumption guidlines: pooled analyses of up to 10 population based cohorts. BMJ. 2015 Feb 10;350:h384.
少し残念です。
しかし時にアルコールも治療薬として使われることがあります!
ある日、認知症もちの70歳女性が、
間違って燃料用アルコールを飲んだということで受診されました。
・・・・これは体に悪そうです。
急いで成分を調べると、
「メタノール95%、エタノール5%」とあります。
意識がやや傾眠。採血で浸透圧ギャップが40程度。Anion Gapはやや開大。
これは!
メタノール中毒だ!!
メタノールとエタノールは名前が似ていますが、違います。
メタノール中毒といえば、戦後の混乱期に酒に混ぜたりウイスキーの代用にしてメタノールが頻発し、2年間に2500人以上が死亡したといわれてます。 (「中毒百科 改訂第2版」より)
失明が問題になることでも有名です。
その治療が実は、、、
エタノール(酒)の投与です。
「急性中毒情報ファイル 第4版」によると
ウイスキー30mlを水割りにして3~4時間毎に投与する、とあります。
今回も、NGチューブから高濃度のお酒を投与することとなりました。
ちなみにUpToDateによると、、、
・pHが7.3を切った場合はメイロン投与。
・アシドーシスがひどい場合や視力障害・腎不全を伴う場合は透析の併用。
・胃洗浄はほとんど意味がないが、大量内服で60分以内であれば効くこともある。
・活性炭は意味がない。
・気管挿管した場合は過換気ぎみにしてアシドーシスの代償を。
・お酒(エタノール)以外の拮抗薬としてホメピゾールがある。
ホメピゾールは武田薬品から2015年1月に新発売されました。
ちなみに薬価は137,893円/バイアルです。
薬品としてもまさしくホットな話題の一つでした。
※個人情報に配慮して、内容を一部変更しています。