残高がわずかになっている銀行口座をそのままにしている人もいるのではありませんか? 銀行口座を放置していると、残されたお金はどうなるのでしょうか? 元銀行員の筆者が説明します。
〇口座に放置したお金はどうなるの?
卒業や転勤、引越し等で新しい銀行口座を開設し、それまで使っていた銀行を利用しなくなるということは多いでしょう。そのとき、今まで使っていた銀行口座のお金をすべて引き出していれば問題はないのですが、使わない口座にお金を残したままでは、いずれそのお金は休眠預金となってしまいます。
休眠預金とは、休眠預金等活用法に基づいて決められており、2009年1月1日以降の取引から10年以上、一度も取引のない預金等(休眠預金等)のことです。休眠預金となってしまった場合には、民間公益活動に活用される決まりになっています。つまり、使わない口座にお金を放置していると、自分のお金が公的なお金に変わってしまうということです。
〇休眠預金の対象になるもの、ならないもの
預金等にはさまざまな種類があるため、すべての預金が一律、休眠預金になるわけではありません。休眠預金になるもの、ならないものは決まっています。
休眠預金になり得る預金等にあたるもの
・普通・通常預貯金、定期預貯金
・当座預貯金、別段預貯金
・貯蓄預貯金、定期積金
・相互掛金
・金銭信託(元本補填のもの)
・金融債(保護預りのもの)
〇休眠預金になり得る預金等にあたらないもの
・外貨預貯金、譲渡性預貯金
・金融債(保護預りなし)
・2007年10月1日(郵政民営化)より前に郵便局に預けられた定額郵便貯金等
・財形貯蓄
・仕組預貯金
・マル優口座
〇休眠預金からお金を引き出すにはどうする?
一度、休眠預金となってしまった場合は、通常の預金等のように引き出すことはできません。休眠預金からお金を引き出すときには、まず取引のあった金融機関に問い合わせてみましょう。手続きをするときには、通帳やキャッシュカード、本人確認書類等が必要になります。なお、通帳等を紛失している場合には、本人確認書類(身分証明書)等があれば対応してもらえますので、あきらめずに問い合わせてみてください。ただし、お金を引き出すまでには時間がかかります。金融機関にもよりますが、少なくても1週間から1カ月程度の時間がかかりますので注意してください。また、相続等ですでに亡くなった人の口座が発見されて休眠預金になっているときにも、所定の手続きを行えば、お金を引き出すことは可能です。ただし、何十年も前の預金でお金の価値が変わっていたとしても、引き出せるのは額面通りの金額です。一番大切なことは、自分の預金等を休眠預金にしないことです。もう、使わない口座があるなら、解約しておくようにしましょう。

文:飯田 道子(ファイナンシャルプランナー)

オールアバウト/2024年3月8日 21時40分

 

会社員の給料、事業や投資で得た利益など、さまざまな所得にかかってくるのが所得税、そして住民税だ。なけなしのお金に税がかけられるのは、本当につらいもの。なんとか税金を減らしたい……。
〇税負担を減らす「控除」というしくみ
「税負担をやわらげるしくみはあります。それが“控除”と呼ばれるものです。養っている家族がいる、障害があるなどの事情がある場合は、税額を計算するときに、所得から一定の金額が差し引かれます。税金がかかる大もとの所得が減ることで、その分、税金も少なくなるのです」そう教えてくれるのは、税理士の服部大さん。代表的な控除としては、例えば、配偶者控除、扶養控除、障害者控除などがある。これらの控除を受ける手続きはさほど難しくない。例えば会社員であれば、会社から毎年11月ごろに渡される用紙に必要事項を記入して、勤め先に提出するだけで納めすぎた税金が戻ってくる。自営業者も、確定申告する際に必要事項を記入するだけでこうした基本的な控除を受けることができるのは、ご存じのとおり。「実は、所得税や住民税をめぐる控除は他にもいろいろあるんです。ただ、こうしたプラスアルファの控除をもれなく受けて少しでも税を減らすには、“自分で”受けられる控除が他にもないか調べ、確定申告しなくてはなりません」(服部さん、以下同)。会社員であろうと自営業者であろうと、年末調整や確定申告を“例年どおり”で済ませていると、せっかくの控除を受けるチャンスを逃してしまうかも。受けられる控除が増えれば、所得税はもちろん、住民税や健康保険料などの負担も減るのだから、あてはまるものがないかしっかりチェックしよう。
〇年金生活者も取り戻せる!
年金生活者も人ごとではない。一般的な年金は65歳未満で年額108万円以上、65歳以上は158万円以上なら、税がかかる。配偶者控除などの基本的な控除はすでに引かれているが、会社員と同様、プラスアルファの控除を受けるには確定申告が必要なのだ。例えば、1年間で払った医療費や薬代、介護サービス費が多かった場合の医療費控除はその代表例。同居している家族の分はもちろん、別居している親やひとり暮らしをしている子についても、仕送りをして生計を同じくしていれば、その医療費も合わせて申告できるので要チェックだ。また今年の元日に発生した能登半島地震の惨状を見て、「何か役に立てないか」と2000円を超える寄付をした人も、控除を受けられる可能性がある。「ただし、今年の寄付については来年の申告になりますから、受領証などを来年まで保管しておいてください」。社会保険料についても注意が必要だ。年金から天引きされている社会保険料については、すでに控除が適用されて、税金が安くなっている。ただし、口座振替や窓口で払っている分については、確定申告をしないと控除が受けられない。特に口座振替をしていると、払ったことじたいを忘れがちなので通帳で確認しておこう。こうした控除は、払う金額が年によって違う、控除を受けられることを知らない、といった理由からうっかり申告し忘れることが多いので注意したい。また、年金生活者で、9月ごろに「扶養親族等申告書」が送られてきたのに、返送していない人も注意が必要だ。これは、年金から所得税が引かれる予定の人に送られてくるものだが、よくわからないからとうっかり出し忘れたままだと、多めに税金を引かれてしまうので要注意。
〇年金収入が少ない人も住民税減の可能性
「年金やパート収入が少なく、所得税が引かれていない場合は、還付する税がないので、確定申告するメリットが薄れてしまいます。ただし、収入によっては住民税のみかかる人も。所得税はなく住民税のみ引かれている人で、まだ受けていない控除があるなら確定申告をしましょう。住民税が下がる可能性が高いので、面倒でも一度確認を」。こういったプラスアルファの控除をあなたが受けられるかどうかは、会社や役所は教えてくれない。自分でやるしかないのだ。親が年金生活者だという人は、親に確認してみてほしい。「去年も控除が受けられたはずなのに、よく考えたら扶養親族等申告書の提出や確定申告をしなかった……という人もあきらめないでください。税を取り戻すための期限は5年。5年前までさかのぼれますので、取り戻せるお金はしっかり取り戻しましょう」
〇確定申告で取り戻せるお金はコレだ!
「自分や家族の医療費、介護費をたくさん払った人(医療費控除)」
・医療費のほか、治療のための薬代、通院交通費、介護保険のサービス費などが対象。
・明細書(医療を受けた人、支払先、金額、日付などの一覧)を作り、申告の際に提出。
注意点
・年間合計額が、10万円または総所得の5%のうち、少ないほうを超えていることが条件。
・別居家族の分も生計が同じならOK。生命保険や高額療養費制度でもらったお金があれば差し引く。
「被災地などに寄付をした人(寄附金控除)」
・対象は、義援金のうち、特定の団体(日本赤十字社など)への寄付。
・ふるさと納税も対象。
・寄付先から受け取った受領証など、必要書類を添付して申告。
注意点
・2000円超の寄付が対象。
・控除の対象となるか、前もって寄付 先に確認を。
「保険料を窓口などで払った人(社会保険料控除)」
・窓口での現金払いや口座振替で納めた社会保険料(国民健康保険料、後期高齢者医療保険料、介護保険料など)が対象。
注意点
・配偶者や生計を同じくする親族の社会保険料を負担した場合は合算。
・口座振替をしているものがないか、通帳をチェックする。
「「扶養親族等申告書」を返送していない人(配偶者控除など)」
・扶養親族等申告書は所得税が源泉徴収される予定の年金生活者に9月以降に届く。
・期日までに返送しなかった人は、確定申告して控除を受ける。
注意点
・扶養親族等申告書は配偶者や扶養親族がいなくても自分が障害者や寡婦などの場合は控除が受けられる。
・申告書を提出した人でも、その後、申告内容に変更があれば確定申告を。
※ネットで確定申告(e-Tax)した場合は提出不要の書類もある。
※控除を受けるにはさまざまな条件があるので、国税庁のサイトや所轄の税務署の相談コーナーなどで確認を。
教えてくれた人……服部大さん●税理士。雑誌などで税や“手続きで戻ってくるお金”について多数解説
取材・文/鷺島鈴香

週刊女性PRIME/2024年2月24日 6時0分
 

「憧れの配当生活」「今こそ配当株投資」――。来年始まる新NISA(少額投資非課税制度)を機に「配当金」が改めて注目を集めている。株式投資のリターンは売買益と配当収入に大別できるが、どちらもNISA口座での取引なら、通常なら差し引かれる20.315%の税金がかからない。
〇NISAを機に注目される配当収入
夢があって派手なのは値上がり益だが、結果は株価次第で予測は困難だ。一方の配当は会社が業績予想に基づき、半ば公約的に発表するもの。地味だが堅実で比較的あてにできる存在だ。持っている限り毎年チャリンチャリンと現金収入が得られる。はやりの「ほったらかし投資」向きだが、「ある設定」を間違えたままほったらかすと「NISAにもかかわらずずっと課税されていた」なんて悲劇が起きかねない。一度しっかり確認しておこう。
〇配当金の受け取り方法は4つもある
問題は配当金の受け取り方法の設定だ。証券口座を開く際、どれを選ぶか聞かれるがなんと4つもあるのだ。
①配当金領収証方式
②登録配当金受領口座方式
③個別銘柄指定方式
④株式数比例配分方式
いずれも何度読んでも頭に残らないネーミングな上、証券会社ごとに微妙に呼び方も違うので覚えにくい。ざっくり理解すると、証券口座に入れるか(④)、銀行口座に入れるか(②、③)、現金で受け取るか(①)の違いだ。銀行口座はまとめて1つか(②)、銘柄ごとに口座を変えるか(③)で分かれる。
NISAの場合「株式数比例配分方式」を選ぶ
このうちNISA口座で配当の非課税メリットを享受できるのは④の株式数比例配分方式だけだ。他の方式を選ぶと自分では非課税のつもりでも20.315%の税金が引かれての入金になってしまう。これからNISAを始めるために証券口座を開設する人は悩まず株式数比例配分方式を選び、証券口座で受け取ると覚えておけばいい。問題はむしろベテラン投資家かもしれない。なぜなら昔からのなじみの方法は①配当金領収証方式。ゆうちょ銀行や郵便局で領収証と引き換えに配当金を現金でもらうやり方だ。後に③が始まり、株券の電子化とともに2009年以降、②、④が可能になった。
〇あとで選んだ方式に「上書き」
ベテラン投資家の場合、「配当は領収証を持っていって現金でもらうもの」という認識の人もいるかもしれない。それでもNISAで配当金非課税メリットを享受したければ、株式数比例配分方式を選ぶ必要がある。厄介なのは、配当金の受け取り方法はどれか一つしか選べず、しかも最後に選んだものが全ての口座で適用されることになる。いわば上書きだ。これまで課税口座で①や②、③を選んでいた人がNISA口座開設時に④を選ぶと、すべての課税口座での配当受け取り方法も自動的に変わってしまう。「証券会社に『なぜ入金先が証券口座に変わったんだ』と顧客からの苦情が寄せられるケースもある」(日本証券業協会)
〇「デフォルト」は領収証方式
さらに厄介なのは、もし選ばなかった場合、自動的に振り当てられる「デフォルト」の受け取り方は配当金領収証方式であることだ。NISA口座開設時に自ら確実に株式数比例配分方式を選んでいないと、自動的に領収証方式に振り分けられて課税されている可能性はある。証券保管振替機構によると、個人投資家を中心とする残高のある証券口座は日本に約2898万口座。うち株式数比例配分方式は約1681万口座だが、NISA口座(一般、つみたて)は6月末時点で1941万口座まで増えている。NISAとは関係なく株式数比例配分方式を選んでいる人がいることを考えると「NISAなのに配当の非課税メリットがある口座を選んでいない人」は少なくとも300万人以上はいる計算になる。
〇変更は可能 まずは確認
あくまで株式投資の配当に関する話で、売買益についてはNISAならどの受け取り方式でも非課税になるし、投資信託の分配金は無関係だ。一度選んだ受け取り方式を変更することも可能。対面証券なら丁寧に説明してくれるはずだし、ネット証券の場合はマイページにログインして口座管理画面の自分の情報を変更する項目を操作すればいい。配当の権利確定日前に余裕を持って、一度確認しておくと安心だ。

2023年11月21日 4:00 日本経済新聞
 

赤ちゃんからお年寄りまで、多くの人が利用する銀行。さまざまな状況の人が来店します。その中でも、お金に困る人にはどのような特徴があるのでしょうか? 元銀行員の筆者が実際に見てきたことをベースに3つのポイントを解説します。
特徴1:口座から引き落としがある時期を把握していない
公共料金や家賃、クレジットカードなど、口座から引き落としの設定をしている人は多いはずです。とはいえ、いつ、いくら引き落としがあるのかまで把握していない人の場合、お金は貯まりにくい傾向にあると言えます。そもそも引き落とし額は、何らかの方法で事前に通知が届いています。これは、「○日に引き落とすから準備しておいてね」という意味です。つまり、事前に準備しておかなければならないお金なのです。中には「残高が十分にあるから、いちいち確認しなくても大丈夫」という人もいますが、このようなタイプの人は、お金に困るタイミングがやってくることが多いように思います。その理由は、思わぬタイミングで引き落としがあるなどで感覚が狂ってしまうことがあるからなのです。いつ、どれくらいお金が引き落とされるのか把握し、あわせて通帳の残高がいくらになっているのかを確認しておくことが大切なのです。
特徴2:キャッシュカードが何度も磁気エラーになる
ATMからお金を引き出そうとしたら、磁気エラーになってしまい、引き落としができないという経験をしたことはありませんか?
キャッシュカードの磁気の部分には、大切なデータが詰まっています。エラーになってしまうとその情報を確認できなくなってしまうため、お金を引き出すことができなくなります。一般的に、何度か繰り返すと回復する、店頭で直してもらうことで復活しますが、そもそも何度も磁気エラーになってしまうのは、保管方法に問題がある可能性大なのです。通帳やキャッシュカードと一緒に保管している人は多いと思いますが、磁気が発生するものをまとめて保管しておくと、磁気がエラーになりやすくなってしまいます。その他、いつでもお金を下ろせるようにと、マイカーの中にクレジットカードとともにキャッシュカードを保管して、日光や高温で磁気をダメにしてしまっているケースも何度か見受けられました(本当にいました)。保管に問題があるということは、お金を大切に扱っていない証拠。磁気エラーでお金を引き出せなくなったタイミングが出先などで復活させられないときには、お金の準備ができずに予定を変更・中止しなければならない、お金を借りなければならないなどの事態を引き起こす可能性があります。磁気エラーなんて大したことはないと思うかもしれませんが、家計に大きなダメージを受ける可能性があることを忘れてはなりません。
特徴3:請求書の納付期限を見逃している
公共料金などは、口座振替で支払うことが多いのですが、あえて請求書払いを選択している人もいます。忙しい人には面倒に思うかもしれませんが、自分のタイミングで支払うこともできるので、便利な一面もあります。ただ問題なのは、納付期限を守れていないケースです。銀行の場合、コンビニよりも納付期限内厳守で取り扱われている請求書が多くあります。期限を過ぎている請求書の場合には、コンビニなどに移動して支払う、もしくは再発行してもらわないと支払うことができません。請求の内容にもよりますが、未納の場合には、本来、受けられるサービスが受けられなくなるだけでなく、再開までに手間がかかり、時間を大きくロスしてしまいます。時間は誰にでも公平に一日24時間与えられています。「時は金なり」という言葉があるように、時間を無駄にしてしまうことは、お金を無駄にしていることと同じであると、認識してください。
以上の3つは、よくありがちなことです。最初は些細なことであっても、後から大事になることも考えられますので、注意しましょう。
文:飯田 道子(ファイナンシャルプランナー)
金融機関勤務を経てFP(CFP、1級FP技能士)を取得。独立系FPとして、各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などを行っている。金運アップやポジティブお金など、カラーセラピーと数秘術を取り入れたアドバイスも得意。



 

〇家計が苦しい人は家の中に物が溢れている
物が多い人は、「買って手に入れること」や「保有すること」で安心や満足を得る傾向があります。常に何かを買って手に入れていれば、お金は当然減り、家の中は物に溢れてしまいます。家は立派なのに、家計が苦しいというお宅に伺うと、健康器具や楽器、流行の家電製品、便利グッズといった物がリビングに溢れています。家計は苦しいのに、便利だから、健康に良いから、教育に良いから、いつか使うからと、次から次へと買い込んでしまいます。そうした習慣が家計を苦しめていることに気付きません。さらに、どこに収納したかさえわからなくなってしまい、しまいには、同じ物をまた買ってきてしまう。物を買えばお金は減りますので、節約や貯蓄と家計管理をしっかりしたいという場合は、この消費行動を見直し、同時に自宅に溢れている物を捨てて片付けることが大切です。
〇極端に物をためこむ人、ミニマリストに走る人、幸せ度は高い?
団塊世代の多くは、戦後の物不足やオイルショックといった経験から、安い時に買って貯め込む習慣がついています。バブル世代は若い頃に購入したハイブランドや高級な商品を多く保有しており、高かったが故に捨てられずにいます。また高度成長期やバブル期の豊かな時代も知っているので、お金を使うことに抵抗も少ないのが特徴です。結果的に多額のお金を使って、自宅を物だらけにしてしまい「実家の片付け」に苦労している団塊ジュニア&ゆとり世代も少なくないでしょう。このように物を持ちすぎる親を反面教師にしてしまうのが、ミニマリスト(持ち物をできるだけ減らし、必要最小限の物だけで暮らす人)です。お金のことでいうと、浪費家やギャンブル癖のある親を持つと、子どもはそれらを反面教師とし、過度な節約家や貯め込み型、いわゆる「ケチ」と呼ばれる人になるのと同じです。物を持ち過ぎている人もミニマリストも、どちらも極端すぎて、そこに本当の「幸せ」があるのかどうかは疑問です。大切なことは、足るを知ったうえで自分と家族にとって「良い加減」を知ることです。
〇高かった物も使わなければ価値がない
「捨てられない」理由は、「捨てる=損をする」という想いが背景にあります。100均で手に入れた物は捨てることに抵抗が少ないのに対し、高かった物ほど、もったいないと感じ、損するような気持ちになってしまうから、捨てられません。しかし、どんなに高かった商品でも、使わなければ、その物の価値はゼロです。物の価値は使ってこそ高まるのです。買った値段以上に使いこなすことができれば、物の価値は2倍にも3倍にもなります。「買って手に入れること」や「保有すること」で安心や満足を得て、実際はその物を使わない、数回使ってしまい込むといったようなことをしてしまうのなら、買い物依存症や心の問題として内面を見つめることが優先になるでしょう。心の隙間を埋めるように買い物をしていたら心も家計も貧しくなる一方です。
〇「空間」のゆとりは、「心」のゆとりにもつながる
他にも、「もう2度と手に入れることができないかもしれない」と思うと、捨てることをためらってしまうでしょう。つまり自分の将来に自信がない場合や、未来に期待ができなかったりする場合でも、物を捨てることができなくなります。家計が苦しい時は自分に自信が持てない時でもあります。結果的に物を捨てられず、自宅に物が溢れかえります。「また必要な時には買うことができる」という自信や未来への展望があれば、今ある物への執着が外れます。したがって自分を磨き、今以上の自分になり経済的に豊かになっていくことで物を捨てられる自分になるのでしょう。豊かになった自分の自宅はどんな状態でしょう? 今のように物に溢れ散らかっているでしょうか? やはり、整理整頓されている情景が目に浮かぶのではないでしょうか? そのように考えると、お金や家計と片付けには、たくさんの関連性があることに気付きます。一晩でお金持ちになることはできませんが、物を捨てて片付けることは、一晩でも可能です。今できることとして、片付けや物を捨てることにとりかかりましょう。そうすれば、部屋に空間というゆとりができるように、心にもゆとりという空間ができ、お金や人生についてじっくり考える余裕ができるのではないでしょうか。

文:二宮 清子(ファイナンシャルプランナー)
家計管理や節約を軸に、生活に寄り添った提案を行うファイナンシャル・プランナー。家庭科の教師としての勤務経験があり、赤字家計を脱出した自分の体験から、ユーザー目線でのアイデアを発信している。
(文:二宮 清子(ファイナンシャルプランナー))

オールアバウト / 2023年12月13日 21時20分
 

人生でもっとも高額な買い物といえばマイホーム。購入金額は数千万に上るため、現金一括でという人は少数派。大半の人が住宅ローンを利用してマイホームの夢を実現しています。しかし、30年超に及ぶこともある住宅ローン返済期間中、契約時の収入が途切れることなく継続する保証はどこにもなく、いくら高年収の世帯であっても住宅ローン破綻のリスクをゼロにすることはできません。詳しくみていきましょう。
〇“1億円超”の高級マンション…メインの購入者層になりつつあるパワーカップル
大半の人にとって、人生でもっとも高額な買い物となるマイホーム。住宅価格は数千万に上るため、多くの人が住宅ローンを利用します。ところで、住宅ローン利用者はどれくらいの金額を借りているものなのでしょうか。国土交通省の『令和4年度 住宅市場動向調査』によると、新築分譲マンションの「購入総額」は5,048万円。うち、自己資金(頭金)は1,438万円であり、差額の3,610万円を住宅ローンで調達しています。
同じく新築分譲マンションを初めて取得した世帯の平均的な世帯年収は923万円。注文住宅や分譲戸建住宅を購入した世帯よりも200万円近く収入が多いことには注意が必要ですが、年収に占める返済負担率は17.4%と、余裕のあるプランでローンを契約していることがわかります。住宅ローンをいくらまで借りられるのかは、年収のほか勤続年数、他社での借り入れ状況などに左右されます。そのため、最終的に希望した金額を借りられず、マイホームを諦めざるを得ないケースも。実際、同調査では新築分譲マンション購入者の4.9%が「融資条件を厳しくしなければ融資不可」、3.7%が「融資は一切できない」と融資を断られる経験をしていることがわかっています。先ほどみた通り、新築分譲マンション取得世帯の世帯年収がほかと比べて高い理由は、都市部に続々と供給された高級マンションを購入した富裕層が平均を引き上げているため。世帯年収700~800万円の一般的な世帯だけを切り取れば、融資を断られた経験がある人の割合はもう少し高まるものと思われます。その点、夫婦共働きで、ともに高い収入を得ている「勝ち組夫婦」には大きなアドバンテージがあります。最近では、1億円超の高級マンションのメインの購入者層になっているともいわれますが、仮に世帯年収1,500万円の夫婦が、ペアローンで1億円のマンションを購入したとしたら、返済プランはどうなるのでしょうか。世帯年収1,500万円に対し、適正な返済負担率とされる20~25%を当てはめると、年間返済額は300万~375万円、月々の返済額は25万~31万2,500円で、1人当たり12万~16万円程度。夫婦2人の稼ぎから考えれば、無理な金額ではなさそうです。金利が0.5%、30年で返済するプランなら、借入可能額は8,500万円ほど。1,500万円ほどの頭金を用意すれば、“億ション”にも余裕で手が届きます。
〇住宅ローン破綻に至る確率は4%…「ペアローンなら買えるかも」はとくに慎重に
たしかに、「世帯年収1,500万円」が未来永劫続くのであれば、上記の住宅購入プランには“余裕”があるかもしれません。しかし、住宅金融支援機構の調査では、住宅ローン破綻に至る確率は4%程度、25人に1人の割合であり、決して珍しいことではありません。もちろん、前述のような勝ち組夫婦も例外ではないのです。まず、2人の収入が途切れることなく続くことを前提にペアローンを組んでいる場合は注意が必要です。天災などの外的要因によって、勤め先の業績が大きな打撃を受ければ収入は減るでしょうし、「子を産まない」という選択をした夫婦が想定外に妊娠し、ライフプランが大きく変わるケースも考えられます。女性が産後に職場復帰を果たすケースは珍しくありませんが、出産前のポジションに同待遇で復帰できるかどうかは約束されてはおらず、やはり収入減となることも考えられます。また、いまや3組に1組が「離婚」に至るという現実も見逃せません。ペアローンで購入した物件を売却するには双方の同意が必要とされ、片方が拒否すれば売却は困難です。また、ペアローンでは双方が連帯保証人になっていることから、どちらか一方がローン返済を渋るようなことがあれば、もう一方の負担が倍増することになるのです。話し合いの結果、仮に2人が売却に同意したとしても、物件の時価がローン残債以下となる「オーバーローン」の状態であった場合、売却にあたっては差額分に相当する現金を差し入れる必要が生じます。それを受けて「ローン返済を続けながら住み続ける」という選択をすればプラスαの住居費を覚悟しなければなりませんし、離婚を原因とする住宅ローンの名義変更は困難を極めます。住宅ローンの返済期間は、通常30年ほどの長期戦です。それだけの長い期間には、現時点では「余裕」と思われる返済プランにも、「まさか」の事態は起こり得ます。ローンを利用している限り、誰もが上にみたようなリスクを負っていることを忘れてはなりませんが、とくに「ペアローンなら買えそう」な水準の物件を検討している場合は、より慎重になるべきかもしれません。

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2023年11月26日 7時30分
 

近年、不用品回収業者によるトラブルが増えています。独立行政法人国民センターの統計によれば、不用品回収トラブルについての相談は、2019年は1457件、2020年は1788件、2021年には2231件に上り、年々増加している状況です。本記事では、実際に発生したトラブルの事例を紹介し、トラブルにあわないためのポイントを解説します。
〇実際のトラブル事例
以下の4つのケースは、独立行政法人国民センターに相談が寄せられた実際の事例です。
 【ケース1】事前の見積もりより大幅に高い金額を請求された
倉庫の荷物を全て処分するため、インターネットで見つけた不用品回収の事業者に連絡し、不用品の量を伝えたところ、「軽トラックパックで2万円程度になるだろう」と言われました。ところが当日、2トントラックに乗った作業員が倉庫へ来て荷物を積み終えた後、トラック料金と廃棄費用合わせて10万円になると言ってきたのです。見積もりと違い過ぎると抗議したものの、「納得できないなら荷物を全て下ろす」と脅され、仕方なく請求された金額を支払うことになりました。
 【ケース2】広告のパック料金よりはるかに高額な料金を請求された
インターネットで「軽トラックパック7000円、2トントラックパック2万5000円」という不用品回収の広告を見て、業者に電話し、広告のパック料金でお願いしたいと申し込みました。業者には「実際に見てみないとどちらのコースになるか分からない」と言われたものの、女性の一人暮らしで荷物も少ないので、2トントラックパックになったとしても2万5000円ですむだろうと考えていました。しかし、当日、男性作業員3人が2トントラックで来訪し、不用品を積みこむと料金は25万円になると言われました。不動産業者立ち合いの予定があり急いでいたので、仕方なく料金を支払いました。
【ケース3】トラック詰め放題との広告を見て依頼したが、荷台の高さまでしか載せられない
「2トントラック詰め放題」という不用品回収業者のインターネット広告を見て依頼しました。しかし当日、作業員が2トントラックに乗って来訪した際に「荷物を載せられるのは荷台の高さまで」と断られました。荷台の高さは20~30cmと低く、それでは不用品を詰めないので断ったところ、1万5000円のキャンセル料を請求されたのです。
【ケース4】無料というアナウンスを聞いて頼んだら、あとから料金を請求された
「無料で粗大ごみを回収する」というアナウンスをしながら、不用品回収業者がトラックで走っていたため、呼び止めて、自転車やカーペットなどたくさんの不用品をトラックに乗せました。すると、そのあと作業員に「リサイクル料金の2万500円はかかる」と言われ、仕方なく支払いました。
【ケース5】回収された自転車などが、道路脇に捨てられていた
訪問の不用品回収業者に、自転車とパソコンディスプレイを渡し、処分代金として1500円を支払いました。ところが後日、その品物が道路脇に不法投棄されていたのを見つけたのです。

〇不用品回収のトラブルにあわないためのポイント
先述のような不用品回収のトラブルに巻き込まれないために、悪質な業者を見分けるためのポイントを紹介します。まず、見積もりを依頼した際に「見積もりは出していない」と拒否する業者や、契約を急がせる業者、しつこく勧誘してくる業者は悪質である可能性が高いです。そういった業者に不用品の回収を依頼するのは避けた方がよいでしょう。また、不用品回収のトラブルで多いのは、あとから追加料金を請求されることです。荷物を積み込んだあとにリサイクル料金やトラック代、作業費用などの名目で追加料金を請求されることがあります。見積もり時にきちんと料金に関する説明を聞き、本当に他の料金が一切かからないのか確認するようにしましょう。料金の説明が少しでもあいまいな業者、不明瞭な業者は悪質である可能性があります。そういった不用品回収業者に依頼をすべきではありません。見積もりの内容を形として残すため、書面かメールでもらうのもおすすめです。口頭だけの説明と違い、業者は言い逃れができなくなります。また、事前の見積もりと異なる高額な料金を請求されたら、きっぱり支払いを断りましょう。万が一トラブルになったときは、消費者ホットライン「188」に電話して相談してください。
 
〇まとめ
不用品回収のトラブルが数多く発生しています。本記事で紹介したポイントを参考に、少しでもあやしいと感じた業者は利用しないほうがよいでしょう。


ファイナンシャルフィールド / 2023年11月23日 10時0分

日米の金利差拡大が意識され、10日現在、円相場は1ドル=151円台をうろうろしている。同じ定期預金でも米ドルなどの外貨の場合、年利3%や4%はザラで、キャンペーンで9%を提示する銀行も。かなり魅力的だが、手を出していいものなのか。「銀行に円を預けてもほとんど金利がつかないので、つい始めたくなる気持ちは理解できますが、いくつか注意が必要です」と話すのは、ファイナンシャルプランナーの飯村久美氏。外貨預金の最大のリスクが為替変動だと指摘する。「1ドル=150円で買ってさらに円安になれば、為替差益が得られますが、逆に円高に振れた場合、為替差損が発生します」昨年10月、32年ぶりに1ドル=150円を突破。円相場は歴史的円安ドル高圏に入ったが、政策金利の高止まりで景気悪化が懸念される米国が利下げに転じ、日本でマイナス金利が解除されれば円高ドル安に傾くことが予想される。「ここから円安になるか円高になるかは日米の金融政策次第で、高い利息を得られても為替差損で大損することも。財務省が為替介入を行えば、一気に5円程度動くこともあります」年利6%の米ドルの6カ月定期に150万円(1万ドル)を預けた場合、6%×2分の1(半年分)の3%から、利息にかかる20.315%が課税されると2.39%になるので、実際の利息は3万5850円になる。ここで要注意なのが、前述の為替変動リスクだ。1ドル=150円で1万ドルを買い、6カ月後に1ドル=160円に上昇すれば、10万円の差益が発生し、利息と合わせれば13万円超のプラスになる。逆に140円に下落して10万円の差損が発生すれば、3万5000円超の利息がパーになるどころか、6万5000円ほど損することに。「為替差益は雑所得なので課税対象になり、雑所得が20万円を超えた場合、確定申告が必要です」さらに、円から米ドル、米ドルから円に替える際に手数料がかかる。「1ドル当たりの手数料はメガバンクで1円、ネットバンクで15銭のところが多く、ネット銀で150万円を1万ドルに替えると1500円が取られ、米ドルを円に替える際も手数料がかかります」外貨の場合、日本円の預金と異なる点も。「金融機関が破綻した場合、外貨は1000万円まで補償されるペイオフ対象外なので、信用力の高い銀行に預けることも大事です」リスクと手間が伴うことを忘れてはならない。

日刊ゲンダイDIGITAL / 2023年11月12日 9時26分
 

〇タンス預金を銀行に預けたら課税されるの?
源泉徴収された給与の手取り収入や、確定申告を行った後の所得からのお金をタンス預金にしていた場合はすでに所得税などが差し引かれているので、銀行に預けるときには新たな課税の対象になりません。銀行に預けた預金に利息が発生したときには、所得税・復興特別所得税15.315%と地方税5%を合計した20.315%が利息から「源泉分離課税」として差し引かれます。タンス預金に親や他人などからもらったお金が含まれている場合は、贈与税の課税対象になることもあります。
1:給与の手取り収入からタンス預金を続けて600万円を貯めたAさんの場合、贈与税・所得税などは非課税
2:自営業で、確定申告と納税を行ったあとのお金からタンス預金を続けて600万円を貯めたBさんの場合、贈与税・所得税などは非課税
3:給与の手取り収入からと、親からもらった400万円をタンス預金にして600万円を貯めたCさんの場合、親からもらった400万円が贈与税の課税対象となる可能性があり、試算すると以下のような計算式となります。__
(400万円-贈与税の基礎控除額110万円)×贈与税特例税率15%-贈与税控除10万円=33万5000円を贈与税として申告し納税する必要が出てきます。
贈与されたお金がある場合には、いつ・だれから・いくらもらったのかを記録しておき、必要に応じて贈与税の申告を行いましょう。
〇タンス預金のメリットとデメリットは?
タンス預金のメリットとしては、急に現金が必要な事態が起きた際にすぐ使えることです。それであれば普通預金で問題ないと感じるかもしれませんが、冠婚葬祭でまとまったお金が必要になった場合にATM手数料などが不要で、自宅にいながら現金を手にすることができますし、銀行が破綻するリスクにも備えることも可能です。デメリットとしては「紛失・盗難・火災などでお金を失くしても保険の補償対象外であること」と「タンス預金をどこに収納したのか忘れてしまう可能性があること」などです。タンス預金を収納していたことを忘れると、タンス預金を収納していた家具ごと捨てられてしまうこともないとはいえません。
またタンス預金をしていた人が亡くなった後にお金が見つかった場合には、タンス預金は相続財産となり、相続税の課税対象になる可能性が出てきます。遺族がタンス預金の存在にすぐに気づかずに相続税の申告を行い、後でタンス預金を発見した場合には修正申告が必要です。
〇まとめ
給与の手取り収入や確定申告を行ったあとのお金から貯めたタンス預金を銀行に預けるときには、新たな課税対象にはなりません(銀行に預けて発生した利息からは源泉分離課税20.315%が徴収されます)。タンス預金に、他からもらったお金が含まれている場合には贈与税、タンス預金を収納したまま亡くなった場合には相続税の課税対象となる可能性が出てきます。後々のトラブルを防ぐためにも、預金記録をこまめに行うと良いでしょう。