今年は酉年。
仙台弁では、干支の守り神を「けでぇがみさん」と呼んでいた。
もとは「卦体神(けたいかみ)」という。
卦体神は、「守り本尊」のこと。
「守り本尊」信仰の起源は平安時代という。
仙台は、そもそも江戸時代に伊達政宗が城下町を開いたもので、
その際に寺社も置かれて整備されていった町。
なので仙台では、守り本尊信仰が江戸時代に定着したらしい。
駅から程近い商店街の中にある「三瀧山不動院」である。
当方も、今年の年頭はここにお参りした。
ご本尊は不動明王。
三居沢にある御不動様にお参りに行っていた女性が、満願の日にその滝から流れ来るお不動様を拾ったという。
これを持ち帰って祀ったというのが縁起。
ここは商店街で守り立ててきたことから、商売繁盛に由来する仙台四郎さんも祀られている。
仙台四郎さんは明治の頃に実在した人物。生まれは江戸末期。
発達遅滞であったらしい。
今の県庁辺りに、かつて火の見櫓があって、その付近を櫓下と呼んでいた。
その櫓下の一画に住んでいた芳賀さんの息子というので、「櫓下のしろ馬鹿」などと呼ばれたが、人々に愛されていた。
彼は気に入った所にはふらりと入り込んでしまうという。
だが、いつも笑顔で愛嬌があり、彼の入り込んだ店は必ず繁盛したというから、商売繁盛の神様になった。
今年はどんな年になるだろう。
酉年の象徴となったのは鶏。
鶏は夜明けを告げる。
長らく不況が続き、震災にも遭った日本。
光が射し、吉兆の多い年になれ。
(参考資料:『宮城の郷土誌』 『仙台の珍談奇談』 『仙台の守本尊信仰』)
※「けで神さん」については、2012年1月の「ふくらく通信」にて「辰年のけでえ神さん」でも取り上げている。