子供の頃、会うのが楽しみな人がいた。
その人は、暖かい季節は鐘を鳴らしながら、寒い時季には「ポー」という音を立てて、リアカーを引いてやってくる。
売り歩きのおじさんだ。
夏場は団子とかねやき、冬場は焼き芋を売りに来る。
音がすると、家からすっ飛んで行ったものだ。
今宵は十三夜で、「栗名月」とも呼ばれるが、今日は、江戸の頃に「栗より美味い十三里」と言われた「さつま芋の日」だ。
当時、焼き芋が大当たりしたが、江戸へと船荷で川越から上質な芋がたくさん運ばれ、「川越いも」が有名になったという。
江戸っ子も、丸ごと焼いたさつま芋が大好きだったようだ。
私も、ふかし芋よりも焼き芋のほうが好きだ。
やはり、焼き芋の芳ばしさと、ほっくりして甘い味はたまらない。
(参考資料:川f越市役所「川越とサツマイモ」/日本芋類研究会「焼き芋小百科」井上浩著『江戸・東京の焼き芋屋の移り変わり』)
東北の冬は長くて寒さも厳しいが、買い物帰りに焼き芋を懐に入れて歩くと、ちょいと足取りが軽くなる。
こうして話す間にも、あったかい焼き芋の、匂いと味を思い出しては喉が鳴る。
焼き芋派?ふかし芋派?
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