そこからは毎日、検査検査の日々。

まずは脳疾患確認の為にMRI。

これは救急車で運ばれた際にすぐ撮ったのだけれど、その時は疑わしい脳梗塞やクモ膜下出血などは画像上は見られず。でも少しだけ左側の硬膜が厚くなってる。ほんの少しだけ。
だから入院してから1週間後に再度MRIを撮ったのだ。

けれど、これといって最初に撮った画像と変わりはなく。脳波もとったが、特に異常はなかった。

なにより両手足も普通に動くし、身体のどこにも麻痺はない。倒れたせいで少しまだぼ~っとしてはいるけど、聞かれればちゃんと答えられるし、会話も普通にできる。

では、なぜ意識不明で倒れたのか、、、

なんで倒れたか、イマイチ不明と告げる先生。

でも可能性として、その時点で告げられたのは「てんかん」ではないかということだった。

私は48年間生きてきて、

今まで一度も倒れたことはない。当然、てんかんだと言われたこともなかった。

てんかんと聞くと小さな子が発病するイメージが私の中にあった。

だから

「ちがいますよ先生。私てんかんじゃありません」

ところが先生によると、てんかんは必ずしも子供が発症する病気ではなく、大人になってから突然発症する例もあるそうだ。

えぇ…

私、てんかん なの???

頭の中によぎるテレビのニュース。

てんかんの発作によって、車の事故を起こした悲惨なニュースが世間を騒がせたのは、そう遠い昔ではなかったはず。

私の中でのイメージ
(あくまでも私の私的イメージです)

てんかんといえば
治らない
いつ発作が起きるかわからない

車はもう乗れないだろう

仕事はどうだろう…

いつ倒れるかわからない人を雇ったままでいてくれるのだろうか。

てか、いつ倒れるかわからないのに、外をあるけるのだろうか。

え、発作ってどのくらいの頻度でおこるの?

頭に浮かぶのはマイナス思考だらけ。

うぅぅ…

なんか目眩がする

なんか気持ちも悪い

え、これ、、もしかして発作??  

てんかんの発作じゃないの?
(ただの考え過ぎです)


なんてグルグル考えてたら

「あ、でも念のため、髄液取りましょ」


…………………………は??

ニッコリと微笑むツル先生(イメージから命名してやりました)

鬼だ…

鬼がここにいるーっ!!!

患者の癖に医者を鬼呼ばわりするのは、如何なものかと思うけど、今はそれどころじゃない。

ただでさえ、てんかんと言われてパニック状態なのに。

それなのに


「髄液って…あれですよ ね?」

恐る恐る訪ねる私。

さっきまで てんかんにビビっていたのは、どこのどいつだ →私デス

でもね。

ワタシ知ってるのよ。

それがすごーーーく痛いってこと。

「大丈夫大丈夫!脊髄からちょっとね」

ダーーーっ!!やっぱりそれか!!!笑い泣き

むかし

帝王切開で子供を産んだ際、脊髄に麻酔を打つんだけどね。

デブだった私は肉に邪魔されて、麻酔の針がなかなか脊髄に到達しなかったのよぉぉ(T_T)

ただでさえ、その辺りは神経が集中している場所だから痛いんだけど、立派なお肉のせいで何回もさされたえーんえーんえーん

あぁぁぁぁあ

あれをまた???

悪夢再来。

いや今回は帝王切開じゃないけどさ。

でも注射する場所は同じじゃーーん!!!

ぜったい痛い。ぜったい痛いから嫌だと駄々を捏ねる48歳。

この際、おばちゃんだろーが子供だろうが関係ない。それぐらい嫌なのだ。

笑いを堪えながら看護婦さんが

「大丈夫ですよ。先生はお上手ですから」

いやいやいやいや。

あなたうけたことあるの?

恨めしい目で彼女を見上げれば、口を開くツル先生。

「ほら。見て。この部分」

見せられたのはMRIの画像。

僅かに薄く白くなってる部分を指差して

「可能性は低いけど、もしかしたらこの白くなってる部分。肥厚性硬膜炎の可能性もなくはないから」

ヒコウセイ…コウマクエン??

聞いたことのない単語に首を傾げる。

「そうゆうことだから。ちゃんと検査しないとね」

なんのこっちゃと考えてるうちに、
このあと手術が入ってるからと踵を返すツル先生。

きっとね。
もう私の頭の中は許容範囲を超えてたんだと思うの。

肥厚性硬膜炎がなにか、すぐ聞き返すこともできず

頭の中は

てんかん 髄液検査 肥厚性硬膜炎

グルグルグルグルグルグル…滝汗滝汗滝汗

もう、ちょっと横になりたかった。

病室に戻るなりすぐベッドに横たわる。

えーっとえーっと…なんだっけ?

てんかんでー
髄液検査でー

あとあと…肥厚性硬膜炎??

先生に言われた内容を反芻しなが、スマホを開く。

近頃はすっかり便利だ。
わからないことはスマホで調べればある程度は、わかる。

わかるのだ。

肥厚性硬膜炎とはいかに………


すぐ調べれれるのは便利だ。

だけど

それが時には残酷でもある。



どうやらそれは難病らしい。



あ~あぁぁ………

ついこの前まで、普通に暮らしていたのに。

仕事だってバリバリこなしてた。

派遣切りにあって、やっと見つけた正社員の仕事。

なんでいま?
なんで私なの?
なんで
なんで
なんで、、、



でもこれは序の口。

このあともっと

もっと

私にはビックウェーブが待っていたのだ。