辞書引き学習で「見過ごされがち」な重要ポイント | 深谷圭助公式ブログ 「辞書引き学習」

辞書引き学習で「見過ごされがち」な重要ポイント

辞書を引くことは、小さい子どもには難しいとか、負担が大きいと思い込んでいる方が多いようです。
しかし、それは、杞憂でしかすぎません。

まず、辞書は、かな文字さえ読むことができれば、読めるのです。今の小学生向けの辞書は、1年生からの辞書引き学習が認知されつつある中で、ほとんどが「ルビつき」です。

日本の家庭教育は、世界的に見てもレベルが高く、就学時には、少なくとも9割以上の子どもはひらがなを読むことができます。私が実際に公立の小学校1年生の担任をした時も、ひらがなが全く読めない子どもは皆無でした。
ということは、辞書がルビ付きであれば、辞書を読むことができるのです。
ただし、いきなり、『一つの言葉を引かせようとする」とうまくいきません。
ルビつき国語辞典の語彙数はだいたい2万から3万語です。その中から1つだけ決められた言葉を探すのは、慣れていないと簡単ではありません。
そこで、私は、小さい子どもに辞書を与えるときに次のような「魔法の言葉」を投げかけます。

「辞書を開いて、あなたが知っている言葉をなるべくたくさん見つけてください」
「みつけたら、見つけた言葉を付せんに書いて、そこの上に貼っておきましょう」

辞書の中には、子どもの生活語彙(みのまわりでよくつかわれている言葉)がたくさんあります。
それらを、さがすのはそれほど難しくありません。そうすると子どもたちは、目を皿のようにして
知っている言葉を探すようになります。
そして、
「ほら、こんなに、探したよ。すごいでしょ」
とたくさんの言葉を探し出したことを報告してくれます。

このような活動をしばらくしていくと、自然に辞書における言葉の並び方、辞書の構造について理解する素地が養われます、その次の段階で、一つの言葉を調べるという段階へすすむのです。
1つの言葉を調べる段階においても、調べる習慣や学ぶ意欲を高めるためには、国語の言葉しらべだけに限定して使ってはダメです。
さまざまな教科、さまざまな生活場面で辞書を引くことを推奨することです。
いつでもどこでも、「?』と感じたら、さっと辞書を引く習慣をつけることで、知的好奇心に充ちた子どもに育てることができます。
先日、高校生(坊主頭の野球部員?)に辞書引き学習を体験させました。そのとき、

「先生、『バリカン』という言葉を見つけたのですが、バリカンがフランスの会社の名前で、その会社が『バリカン』を発明したと辞書に書いてありました。面白いですね。」

という反応が返ってきました。むかし、コピーのことを「ゼロックス」といっていたようなものでしょうか。

辞書引き学習は、どうしても「付せんを付ける」「競争する」というところに興味を持たれる方が多いようです。しかし、それ以前に大切な指導のポイントがあります。
どうか、そのポイントをきちんとおさえていただき。子どもにとっても、お父さんお母さんにとっても、先生方にとっても「やっててよかった」と実感できるような指導をお願いしたいと思います。