人には居場所が必要だと思う。
居場所、居てもいい場所、居心地が良い場所、寛げる場所、団欒の場所、無防備になれる場所。
そういう場所は、どこにでもあるようで、なかなか無いものだ。
家、職場、喫茶店、本屋、お寺の畳の間、気心の知れた店…そうしたところに幸いにも居場所があるときは幸せだ。
この歳まで生きていて、居場所は幾つもできたが、すべてのものはうつろいゆくことを感じるようになった。
居場所だったところが無くなったり、お亡くなりになったり、寛げなくなったりと、望まない変化であっても容赦なく発生し、その痛みが心を刺す。
居場所、それは出会うことで生まれたり、見つけることで生まれたり、自分から作ることで出来ることもある。
居場所、いつまでもそのままにあってほしいというのは我儘だろう。
それがなくなる淋しさを乗り越えるのも人生の修行とはおもいつつも、やはりどうしようもない寂寥を覚えてしまう。
居場所、大切なかけがえのない存在よ、いつまでも。