都になっても二重行政は存在する | 藤田のりひこ Time Signal

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前衆議院議員藤田のりひこが毎日10時にお届けするミニブロクです。

一昨日の大阪都構想に関するエントリーで様々なご意見を頂きました。

誤解がないように申し上げれば、大阪市と大阪府の二重行政の解消及び行政の効率化は、大阪に限らず、地方自治の共通の課題として鋭意取り組むべきだと考えています。府と市、県と市が張り合って無駄なものを競って作るなどという馬鹿げた行政は終わりにすべきであるのはもちろんです。

一方で大阪都構想で公表されている内容を見ると、東京都の例において、「都」という器に変更し、特別区に分割して広域行政と住民サービスに分離すれば二重行政は根絶すると主張されています。また、港区を例に東京都と港区では重複しないという記載がなされていますが、現実に特別区の住民の立場から見たときに、違った意味合いで二重行政は様々な場面で生じています。

例えば都市計画においては、道路についてもここは区道、ここは都道と管理者が異なることで生じる不都合もあれば、建築確認も大きさによって枚挙に暇がありません。大田区を例に取れば、人口70万人も擁し、鳥取県よりも人口規模が大きい自治体であるにも拘らず、政令指定都市の大都市特例がないことによって常に都にお伺いを立てなければならず、行政のスピードという意味では大きなハンデキャップを負っているのです。

また、住民の一人当り負債残高についても、都制度だから負債が少ないとは必ずしも言えず、収入面においては大企業が集積していることによる法人税の税収と、地価が高く高層建築物が多いことから固定資産税収入が大きいことが大きな要因となっていますし、都においても特別区においてもまだまだ無駄な部分はたくさんあり、財政余力がなまじある分切り込み方が弱いと感じます。

地方自治のあるべき姿は、基礎自治体の権限を強化することによる地方分権であると私は考えており、むしろ東京都は23区を100万人~150万人規模の政令指定都市に各々独立して、「都」が担っている権限を各自治体に移譲すべきだと思っています。特別区の合併による行政の効率化も見込めます。このような規模の自治体であれば、それぞれの自治体の中で行政サービスが完結することができ、別途一部事務組合や広域連合のような連携モデルを導入しなくても、効率的に進められるのではないかと思います。