ソメイヨシノが葉桜になり藤の花に人の視線が移る頃、長年お寺に預けっぱなしやった母のお骨を永代供養に。
いつからか自分の心を守るために母の死から目をそらすようになっていた。
だからなのか永代供養の話が出てから無事に終えるまで、ため息が出て無気力になっていった。
「お葬式が最後の関わりなんやなくて、これで最後なんや」
「もうこれで二度と手が届かんねや」
複雑な思いを抱いてたはずやのに。
当日、ほんの少しだけ目が潤み泣いてしまったけど無事に永代供養を終えた。
帰り道にあるお寺近くの老舗の種苗屋さんで、店先に並べられた苺の苗が目に留まり買って帰った。
それから徐々に気力が戻す間、ベランダでは植物が育つ。
食材ぽかったパクチーは葉の形が細く繊細になり、花が咲き種を付けはじめている。
初めて種まきしたバジルとレモンバームが芽を出し、幼なじみに貰ったシソとピーマンか唐辛子の苗が元気に育っている。
苺は、薄紅色の花が咲き実った。
初めての真っ赤に色づいた少し歪な苺は、ただただ酸っぱかった。