サンフランシスコ綴り by fuhito shimoyama
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映画「Zero Dark Thirty」(ゼロ・ダーク・サーティ)

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久々の更新ですが、またしても映画ネタです。

先日の「Django Unchained」で近所の映画館の素晴らしさを知り、また行ってきました。

今回見たのは「Zero Dark Thirty(ゼロ・ダーク・サーティ)」です。「ハート・ロッカー」でアカデミー監督賞を受賞した女性監督の作品とのこと。オサマ・ビン・ラディンを暗殺したときの実話に基づく映画、くらいの予備知識しか持っていなかったのですが、とても見応えのある映画でした。

前半はCIAの女性捜査官がパキスタンでビン・ラディンの居場所を突き止めるまでがスリリングに描かれています。すでに捕らえたテロリストたちを拷問したり、薬で騙したりしながらビン・ラディンに繋がると思われる人物を探し当て、数ヶ月にも亘り追跡し、とうとう彼女はビン・ラディンがそこにいると確信するに至ります。しかし失敗を恐れるCIAはなかなか暗殺計画にゴーサインを出しません。その間にも世界のあちこちではテロが繰り返されます。

遂に暗殺計画に許可が出され、直後に作戦は実行に移されます。映画の後半は海軍特殊部隊(←すごく洗練された部隊だなあと感心した。さすがだわ。)が準備を始め、実際にヘリコプターでビン・ラディンの住む家に乗り込み、ついに暗殺するまでを臨場感たっぷりに伝えます。実際にこの計画が実行されている間、ホワイトハウスでオバマ大統領やクリントン国務長官らがその様子を見守る緊張感溢れる写真が公開されましたが、スクリーンを見ながら心臓が破裂するんじゃないかというほど緊張していた私も同じような顔をしていたのではないかと思います。とにかく最後の最後までスクリーンに釘付けで、2時間半以上もの上映時間中体中が緊張で強張り、見終えたときの脱力感は半端なかった。うまくできた映画だったのだと思います。

この映画が公開された当初は(そして多分今でも)映画冒頭の拷問シーンが事実に反すると民主党の大物政治家らが批判するなどして話題になりました。国際法で禁止され、アメリカも否定している拷問行為がビン・ラディンの居場所を掴むのに功を成したなどということになってはまずいわけですね。またちょうど昨日から実際にビン・ラディンを殺害したという海軍特殊部隊の元隊員のインタビュー記事がサンフランシスコ・クロニクル紙に掲載されています。こちらもそのときの様子がわかり興味深かったです。

見終えた後の爽快感はなく、ただただ疲労のみが残りますが、面白い映画であることは間違いありません。サスペンスあり、アクションあり、ヒューマンドラマありの作品。オススメです!

映画「Django Unchained」(ジャンゴ 繋がれざる者)

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ジャカルタの映画館があまりにも素晴らしくて、アメリカの映画館に行くのをしばらく躊躇していました。きっと床にはソーダなんかがこぼれていて、そこにポップコーンがへばり付いていたりしてきったないんだろうなあ、とか。トイレも混んでいて汚いんだろうなあ、とか。アメリカの映画館の印象はよくなかったわけです。

が、どうしても見たい映画が重なり、こちらに来て9ヶ月目にして始めて映画館に行ってきました。近所のジャパンタウンにある、その名も「KABUKIシアター。」結論から言うと、とてもいい映画館でした。シートは広めでとても清潔。バーも併設されており、ワインボトルとグラスを持って映画を見ている人も多いのですが、客層が大人(30代以上)ということもあって、とても落ち着いた雰囲気の映画館でした。

どうしても見たかった映画というのは、タランティーノ監督の新作「Django Unchainged」(ジャンゴ 繋がれざる者)です。期待通りとてもエンターテイニングで心から楽しめる映画でした。

舞台は南北戦争前のテキサス州のどこか。奴隷が売買されていた時代のお話です。賞金稼ぎを生業とするドイツ人歯科医(←ここからしてなんのこっちゃという設定。クリストフ・ワルツが好演)によって自由の身(鎖で繋がれない身)となったジャンゴ(ジェイミー・フォックス)が歯科医と共にあちこちのお尋ね者をDead or Aliveで捕らえていく、というストーリーです。道中奴隷市場で生き別れになった妻の居所を知り、その家に乗り込んでいくのですが、そこには大悪人の家主(レオナルド・ディカプリオ)と底意地の悪い執事(サミュエル・L・ジャクソン)がおり、そこでもドンパチ騒ぎが繰り広げられる、というザ・タランティーノな映画でした。

映画冒頭に流れる音楽を聞いただけで間違いなくタランティーノ映画だと思えるほどの強烈な個性。銃撃、流血、差別、虐待、暴力、と残虐シーンのオンパレードなのですが、きゃっきゃと笑えるストーリーのおもしろさに2時間45分の上映時間が全く長く感じませんでした。「イングロリアス・バスターズ」も大好きでしたが、タランティーノ監督というのは本当にオリジナリティに溢れた人なんだなあと改めて感心してしまいました。独特の世界観を誰にも思いつかない発想で、けれど誰もが楽しめるように作り上げることができるなんて素晴らしい。見終えてスカッとできるとっておきの映画でした。

加えて俳優陣もよかった!大好きなレオナルド・ディカプリオは貫禄充分の悪役がとてもハマっていましたし、クリストフ・ワルツも相変わらず上手です。中でもサミュエル・L・ジャクソンが私は一番印象に残っています。黒人執事でありながら他の黒人奴隷を目の敵にしたり自由の身となったジャンゴに強烈に嫉妬したりと、底意地の悪さを露呈させる老人の役なのですが、本当に素晴らしい演技でした。ぜひぜひ映画館でご覧になってください。

余談ですが、映画終盤にちょこっと登場するタランティーノ本人はでっぷりと太っていて、老けたなあとびっくりしてしました。パルプ・フィクションの頃の黒スーツの監督とは別人のようでした。

銃規制強化と真逆の動き。

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(2012.12.28 AP通信より。銃の取り扱い講座で使用方法を学ぶユタ州の小学校教師。)

先月の小学校での銃乱射事件を受けて、アメリカでは2つの動きが進んでいました。ひとつは銃規制の強化。約1ヶ月後の先週、オバマ大統領は半自動小銃など攻撃用銃器の販売の禁止や銃購入に際しての身元調査(犯罪歴などを調べる)、銃の不正取引への厳罰などを盛り込んだ銃規制強化策を発表しました。また、ニューヨーク州は独自に「全米で最も厳格な州法」と言われる銃規制強化法案をさっさと可決しました。

一方で、逆の動きも加速しています。相次ぐ銃乱射事件に自分も銃を、と銃が売れに売れているのだそうです。サンフランシスコ・クロニクル紙によると、ネバダ州(全米で最も銃規制の緩い州のひとつ)のある銃器店では、先月の事件後の48時間で2か月分の売り上げがあったとのこと。この店の店主は銃規制派クリントン大統領やオバマ大統領を「一番の銃のセールスマン」と呼ぶのだそうです。銃規制強化が提案される度に実施される前に購入しようと人々が店に駆け込むからなんですね。

ユタ州では教師向けに銃の扱い方講座が開講され、数百人の教師が受講したことも記事になりました。教師が武器を持ち「生徒を守るために」侵入者を銃撃する、なんて考えたくもありません。また、全米ライフル協会(NRA)はコネチカット州での事件後のコメントで「すべての学校に武装した警備員を配置する」ことを提案しました。こちらについてはあまりにも馬鹿げていて実現の可能性は低いと考えますが。(激しいケンカも多発するアメリカの高校。警備員に「誤って」射殺される生徒は必ず出てきます。)

更に、今週末までラスベガスでガン・ショーなるものが開催されていたのですが、ここでは約6万人もの人々が様々な銃の売買を行うのだそうです。ここでの銃の売買は身辺調査などが徹底されていません。カリフォルニアでは禁止されている30連射できる自動小銃(なぜ必要?)などをカリフォルニア市民が購入することも事実上可能なのだそうで、こういったガン・ショーは銃規制の抜け穴となっていました。

銃規制強化といっても、何十発も連射できる軍用銃器や自由売買からの強化です。道は遠いように思えます。銃の所持も売買も製造も全面的に中止、というわけにはなかなかいかないのが自由の国アメリカ。合衆国憲法修正第2条で市民の権利として認められているものを剥奪することは困難なようです。けれど度重なる銃乱射事件を経て、いい加減に銃を持たない国を目指してほしいと切に願います。

進まない福島の除染作業の原因は政府とゼネコンの癒着にあり。~ニューヨーク・タイムズより

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(2013.1.7 New York Times より)

遅々として進まないフクシマの除染、とは聞いていたけれど、1月7日付のニューヨーク・タイムズの記事を読み、なぜ進まないのか納得。しかも記事の写真には驚愕しました。今撮られた写真なのに以前見たものと全く変わっていません。あのゴミ袋いっぱいの汚染土壌は放置したままいったいどうしようというのでしょうか。

政府は原発事故後に、世界中から英知を結集して最先端の技術でもって除染を進める、と言っていたにも拘らず、実際の作業は建物を水で除染し、草を刈り、汚染土壌をゴミ袋に入れるという「原始的」で「ぞんざい」なものであり、汚染水は垂れ流し、汚染土壌は未だにその行き先が未定のまま。

記事は、最先端の技術は結集されなかったのではなくて、採用されなかった、そしてその原因は政府と特定企業との癒着にあると指摘しています。

日本原子力研究開発機構(JAEA)は2011年10月に日本中から除染技術のノウハウを募り、11月までに25社がより安全なセシウム除去技術を実演しましたが、いずれも採用されることはなかったとのこと。また政府は海外からも技術を募り、土壌修復などを専門とするアメリカの32社を招き除染作業についての技術を聞いたにもかかわらず、それらの会社を雇うことはなかったそうです。笑ってしまったのは、その理由ついて、西山英彦環境省福島除染推進チーム次長(原発事故後の記者会見で有名になったアノ西山さん)が「日本の土壌は他とは異なる」し、「外国人が歩いていたら福島のおじいさんおばあさんたちが怖がる」からとコメントしたこと。明治時代でもあるまいに、何てピンボケした人だろう。

未曾有の大惨事にも最先端の技術は用いられることはなく、1兆円規模の除染作業は前田や鹿島といった除染技術を持たない大手ゼネコンに託されることになりました。鹿島にいたっては、福島原発を建設した会社でもあり、政府との関係は長く深いものがあります。

津波と原発事故を経験し、日本はもしかしたら変わるのではないか、と期待したものですが、なんのなんの。原発の新建設にも前向きな政権に戻り、まるでフクシマのことはなかったかのようにすべてが元通りです。残念です。が、今回の記事のような報道は、日本メディアからも発せられることを願います。

と書いていたら、10日付の朝日新聞が「環境省が手抜き除染情報を放置、ゼネコン業者の聴取せず」と報道しましたね。癒着が生む典型的な問題。追跡取材を期待します。

明けましておめでとうございます。

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(我が家から初日の出が見えました!)

サンフランシスコは元旦から晴天でとても穏やかです。今日の気温は13度ですが、明日からは17度くらいまで上昇するのだとか。夏涼しくて冬暖かい、と言いますが、要は季節がない。それでも暖かいお正月は悪くないですね。

今年は日本に帰らなかったので、お雑煮作りもお節作りも1人で奮闘しました。ありがたいことにほとんどの材料はこちらの日系スーパーで手に入りますので、なんとかなりました。ただ、お重はないのですべてお皿に盛り、お屠蘇は好みの日本酒が見つからなかったので、スパークリングで代用。朝から飲むスパークリングワインは最高!でした。

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今年もサンフランシスコ発のおもしろニュースなど、お伝えしていこうと意気込んでおりますので、どうぞよろしくお付き合いください。

余談ですが、お節作りって和食がどれほど砂糖としょうゆを使うか、実感してしまいますよね。。。お節は元日だけで、今日からはまた豆食です。。。
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