お泊まりデイサービス協会の設立総会に行ってきた(1)前提条件のまとめ。 | 最新福祉脳!?夢想転生

お泊まりデイサービス協会の設立総会に行ってきた(1)前提条件のまとめ。

最近は、めっきりブログを書く機会がなくなっていて、
なぜかというと、書くことがなかったから。

書く気がしなかったわけです。

しかし、
次期介護保険法改正に伴って、
各事業者の集まりは、激しくなってきており、
たくさんのパイの取り合いなんかが激化している模様。

そんな中、今日は、
『お泊りデイサービス協会設立総会』に行ってきました。
なにせ、場所が、文京区の西片。
僕が事業を行っている文京区弥生とは、目と鼻の先。
ふらふらと歩けば数分の場所。

※※長文、注意してください※※

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さて、『お泊りデイサービス』とは、いかに。
ご存知のない方々には、簡単にご説明。

『(高齢者)デイサービス』ってのは、日中、
高齢者の『機能訓練』という介護行為と、
要介護者を支える、在宅(お住まいはご自宅)の
ご家族の『レスパイト』
を行う場所として、介護保険法に書かれている。

目的は、
家でお住まいの高齢者が、家で生活を継続するために
必要な生活行為を維持・向上し、
『その有する能力に応じて可能な限り自立した
日常生活を営むことが出来るよう』
支援すること。
に加え、
その高齢者を支えるご家族が疲れすぎて
優しい言葉をかけられなくなったときに、
せめて優しい言葉でもかけられるようにと、
一時(日中)高齢者を預けることで、
疲れを癒し、結果、
『その有する能力に応じて可能な限り自立した
日常生活を営むことが出来るよう』
ことが出来るようにすることである。

普通に読むと、そうなる。

んで、
その事業に、自主事業として
『お泊り』を付け加えたものが、
『お泊りデイサービス』である。

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以前(今もであるが)
宅老所というサービスがあり、
高齢者をひとところに集め、
場合によっては、高齢者のご自宅に訪問し、
場合によっては、高齢者を宿泊させ、
場合によっては、そこをお住まいとする。

限界集落や、地方都市などで、
インフラが整備されていない土地で、
生活を支援するために全ての
ケアを提供するようなサービスがあった。

その集落や町には、
生活圏域(ご生活される近くの『地域』)
に高齢者施設等がないことから、
なるべく住み慣れた環境の中で、
近所付き合いも含めて関係性を切らないように、
年老いていくということを実現してきたサービスである。

確かに。
年を取ってから新しい環境に馴染んでいくってのは、
なかなか大変。

そんなことで、介護保険が始まる前に、
高齢者をひとところに集めていた事業を営んでいた方は、
『宅老所』というサービスを行っていた。

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平成12年、高齢者デイサービス(通所介護)が
介護保険の居宅サービスに組み込まれると、
宅老所を営んでいる方たちは、
その24時間のサービスのうち、
日中、高齢者が集まって井戸端会議のようにお茶を飲んでいる時間帯を、
『通所介護』として、介護保険で算定(お金を請求する)した。
その結果、
24時間のうち、例えば8時間ほど、通所介護で算定し、
残りの16時間は自主事業として行った。
宅老所のうちの、いくつかの事業所は、
高齢者宅に訪問するにあたって、
『訪問介護事業』として、介護保険で算定した。

24時間自費事業では、
高齢者の方の負担も大変。
厚生労働省は、
『いいサービスだし、ちょっとの運営費の足しにでもすれば?』
ってことで、算定を許可した。
(ちなみに、訪問系は、24時間住み込みをしている家政婦に、
『訪問介護』のサービスを併用してはいけないとお達しが合ったにも関わらず。)
実は、ココが分水嶺。

このような、
『通所介護』『訪問介護』『短期入所生活介護(のような自費の宿泊)』
の形態のサービスは、
平成18年4月に『小規模多機能型居宅介護』として
新たに、介護保険法で事業化された。

厚生労働省も現場のヒアリングを重ね、
なるべく事業者が行うサービス提供の柔軟性を損なわないために、
介護保険法に新たにサービスを定義した。

『通所介護』ではなく、『通い』のサービス。
『訪問介護』ではなく、『訪問』のサービス。
『短期入所生活介護』ではなく、『宿泊』のサービス。

また、介護給付は『月額包括料金』
つまり、何度利用しようとしても、
月にかかる介護費用は要介護ごとに等しく設定した。

もちろん、そうすると過少サービスを提供する、
いわゆる不適切な事業所が出てくるわけで、
そうならないように、小規模多機能型居宅介護に、
『計画作成担当者』たるものを設定し、
『介護支援専門員』の資格を持った人材を設置することを要件とした。

また、
社会保障制度の中で、
体の弱い高齢者を宿泊させるために
ふさわしい環境を担保するために、
宿泊室や日中過ごす場所の広さに対して、基準を設けた。

もちろん、その基準を満たさない限り、
事業を行うことは出来ない。

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宅老所を営んでいた方たちは、
基準を満たすことが出来る一部の事業所については
小規模多機能型居宅介護事業に変更した。

基準を満たすことが出来ない一部の事業所は、
そのまま事業を行った。

(そもそも)
基準を満たそうと考えない事業所は、
(または、満たそうと思っても、
原資がないので満たすことが出来ないことや、
基準を満たすために改築などが必要な事業所は、
そのときにいた高齢者の便宜を図り)
やはり、そのまま事業を継続した。

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宅老所を営んでいる方にお話を聞くと、
『そもそも、泊りが前提ではない。また、デイサービスが前提ではない。
目の前のご本人が「通ってきたい」という声に応える。
「泊まりたい」と言う声に応える。その自在性が宅老所なんです。』

要介護状態にある高齢者は、さらに年を取り、
状態が悪くなると、色々なことが出来なくなる。
それでも少しでも地域で暮らし続けることが出来るために、
最初は皆が元気でいたけど、
宿泊せざるを得ないという状況になったときに、
『自費での宿泊』をするわけである。

(これは僕の想像だが)
もともと、
地域に人的なネットワークがあり、
生活のネットワークがあり、
ご近所さん同士、支えあおう、という理由から
事業を始める。

なじみの関係だから、入院するんじゃなくて、
ここにずっといたい!と切実に思う高齢者を支える。
そんな社会的(非常に小さい地域での社会だが)
意義が強く、実情にもあっているものだろう。

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・・・やはり、というか、必然。
このサービスは、日の目を浴びた。
浴びたからこそ、制度化された。

そして、制度にのらない人もいた。

小規模多機能型居宅介護を開設するのに、
数千万のお金がかかる。

宅老所は、多く見積もっても
350万円/月の売上である。
とてもそんなお金は出せない。

民家を改修した宅老所なら、
近くのなじみの工務店から資材をいただき、
自分でノコギリで木を切り、事業所を高齢者と一緒に作る。
高齢者も含めた『みんなの家』である。

初期投資なぞ、たかが知れいている。
500万円もあれば十分だろう。

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そんなわけで、平成18年には、
宅老所
⇒小規模多機能
⇒宅老所
と、二派に分かれた。

小規模多機能に鞍替えした方たちの中には、
今まで仲間だった、宅老所の方たちに、
『裏切り者』となじられた方も、いたとか、いないとか。

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宅老所が残ったわけだが、
その後も、小規模多機能型居宅介護の伸びよりも
宅老所の伸びのほうが多いようである。

そりゃあ、そうだ。
数千万円かかる事業よりも、
数百万で出来る事業のほうが、リスクが少ない。
前途ある若者が、自分の生まれた(育った)町で、
近所の昔から知り合いの
高齢者を大切にしながら食べていく。
なんとも、泣かせる、素晴らしいストーリーの出来上がりである。

そんな、
安価で、優れた仕組みであれば、
当然、たくさんの人が参入する。
前述の、
自分の生まれた(育った)町で、というフレーズを外し、
近所の昔から知り合いの、というフレーズを外すと、

安価でリスクの少ない事業を、
前途ある若者がチャレンジする。

という、ストーリーが出来上がる。
これについても、まあ、悪い話ではない。

なにせ、グループホームが出来たときも、
『ようやく、社会福祉法人なぞ立てなくても、
チャレンジできる状況になった。』といわれた時期がある。

宅老所の理念が壊れた!と、
宅老所を営んでいる方たちが騒ぎ始めた。
宅老所事業にも、(土地の人ではない)若い人が進出し始める。
彼らは、『『宅老所』とは事業の名前ではなく理念である』と言い始めた。
つまり、同じ形態の事業を差別し始めたのである。

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小規模多機能と、宅老所の関係性はそのような形で
分化したわけだが、今は、宅老所の中でも分化している。
⇒小規模多機能型居宅介護
⇒宅老所A
⇒宅老所B
という形である。

もっとも、誰がAで、誰がBなのかは、
やっている本人ですらわからない状態だけど。

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で、
ここで、第三の矢である。

宅老所のサービスが本質的に正しいのであれば、
つまり、宅老所を営んでいると必ず、
ご本人のために宿泊のサービスを提供する必要がでてくるのであれば、
最初からそのサービスメニュー(通所介護と自主事業の宿泊)を用意し、
そのニーズに合致する方に選んでいただければ良い。

そう考え、展開しているのが、
一般に言う、『お泊りデイサービス』である。
パッケージサービスなので、安価で、展開がしやすく、
誰でも事業化できる。

このサービスは爆発的に増え、
現在では全国に2000箇所ほど存在するらしい。
特に、イニシャルコストがかかりやすい大都市部では、
圧倒的に増えているのである。

ココでお気づきの方はいらっしゃるだろう。

宅老所が成立している(していた)のは、
安価で起業。
地元の人。
利用者のニーズに沿って、事業を展開。
ケアマネジャーはいない。
デイサービスである。
地元の知り合いの高齢者。

のような。

だから、
『地元のニンゲンではない人が始める宅老所』
と、
『最初からお泊りがついているデイサービス』
というのは、
本来、宅老所がやろうとしたサービスから、何かを抜いたもの。
さらに言うなら、

『地元のニンゲンが、お泊りデイサービスをやる』
ほうが、『地元のニンゲンではない人が始める宅老所』
よりも、価値があるわけである。

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宅老所Aと、
宅老所Bと、
お泊りデイサービス
に共通する問題が、数年前から噴出している。

1.『設備の問題』(特に火災の問題)

たまゆらしかり。長崎のグループホームしかり。
現在宿泊施設は、スプリンクラー必置である。

2.『ケアマネジメントが機能していないために、
介護給付に資するサービスではないという議論』

ケアマネジャーは事業所の外部であるが、
本人ならびに、家族の強いニーズが、
冷静で客観的なケアマネジメントを阻害する可能性は強い。
したがって、本来、本人に必要なサービス以上のサービス提供がなされる
ことは否定できず、過大なサービスになるように金銭的なバイアスがかかっている。
(例えば以前の、訪問介護の『複合型介護』のように)
⇒もちろん、これは、
月額包括料金にすることで今度は過少サービスにバイアスがかかる。
ケアマネジャーを内部に持たないため、それを監視する機能や、
自主規制するような機能がない。
法人の自主的な規制に頼るわけだが、
パチンコ業界を見てもお分かりのとおり、
自主規制など、屁のようなものである。


3.『通所介護の仕組みは、家から通ってくることを前提に、
給付金額を組み立てていること。』

これは、確か、訪問介護が『通所場所への送迎』を行うサービス
を圧縮するために、通所介護はドアトゥードア。
送迎加算があったのを、給付内部に入れた経緯がある。
送迎車による送迎を行なわない利用者へ、給付されているわけだから、
問題である。

4.『宿泊施設として、成り立つか』

いわゆる、尊厳の担保がされるのか。
特別養護老人ホームは、
ご本人の権利擁護のためになるべく個室化していくことや、
性差の配慮を行ってきた歴史がある。
時計の針を数十年逆戻しすることは、
倫理的に許されるのかという議論である。

5.『宿泊が長引き、住まいとして成り立つか』

宿泊が長期にわたる場合、
すでに居宅サービスとしての位置づけを越える。
そもそも、居宅サービスについては、
要介護認定期間の半分以上を短期入所生活介護で行うのは、
よろしくないのである。
『居宅サービスじゃないじゃない。』
人が住まうという状態になっているのか、という議論が生じる。

これらの問題は、
『状況が状況だからしょうがない』
とする、宅老所A、宅老所B、お泊りデイサービスと、
『福祉の暗黒の歴史(特に人権擁護)を巻戻すのか?』
とする、人権擁護派や、制度設計をした学者、行政、古くから関わっている人とが
綱引きを始めるのだ。

高齢者人口の爆発により、
現行のサービスでは間に合わなかったと、
白旗を揚げるのか?
他に代替案
(もっとも、それが、サ高住や24時間対応型であるなら、陳腐だけど)
を挙げて、福祉の歴史を巻戻さないで済むのか?

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様々な問題がある中、
『宅老所A』の集まりでもなく、
『宅老所B』の集まりでもなく、
『お泊りデイサービス』の集まりが行われ、
それを見てきたわけである。

そして、それらの問題等は、

東京都福祉保健局の部長さんの祝辞。
元厚生労働省審議官さんの祝辞。

ジャーナリストの浅川さん
桜美林大学教授の白澤さん
日本介護福祉グループ会長の藤田さん
日本介護福祉グループ副社長の斉藤さん
と、
その他5人(だったかな?)
ディスカッション。

それらを組み合わせた結果、
現在の日本における問題や、
介護保険制度のアラ。
お泊りデイサービスの運営事業者ごとの思考の深さ(深い、浅い、薄っぺらい)
行政とお泊りデイサービスの関係性
などなど、見えてきたものが多かったのです。

続きは、明日。

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久々に書いたんですが、長いですね。
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