テロ、震災、台風に豪雨災害、その都度難しい判断をしながら、なんとか活動を続けてきた我々ですが、さすがに今回はどうすることもできません。
未だに楽観論もありますが、個人的にはとんでもない厄災が現実に起きてしまったのだ、という認識です。
我々の判断基準として、確率論とか、他のウィルスとの感染率の比較とかは、あまり重要視していません。一番恐ろしいのは、この厄災がいつまで続くのか、見通しがまったく立たないということです。
残念ですが、この現状が変わらない限り、当面ライブ活動は不可能との判断を下しました。

先日、政府の専門家会議がこのような見解を示しました。「現状日本はギリギリのところで持ち堪えている」と。
そのギリギリの一線を越えるか否かの鍵は、閉鎖空間に多くの人を集めるエンタメ業界、さらに言えばホールやアリーナクラスの大規模イベントよりも、ライブハウス=ハコを主戦場としている我々が握っている、大袈裟ではなく真剣にそう感じています。

散々報道されているので、詳しい説明は省きますが、やはりハコの環境は、ガイドラインで示された感染リスクが上がる3つの条件すべてに当てはまってしまうのです。
そして地域に関係なく、様々な場所から集まるという特性のライブハウス主要客層は、一度クラスターが発生してしまうと、大量の感染者を全国に幅広く拡散させてしまうのです。
悲しいけれど、それが現実なのです。
自粛などという他人まかせの判断ではなく、我々は自分達が置かれている現実を受け止めて、全力で感染拡大防止に努めなけらばならない立場なのです。

我々とハコは、単に演者と演奏する場所という関係に留まりません。ライブハウスカルチャーのおかげでここまで生き延びてこれたし、共に戦う同志でもあり、このままこの業界に骨を埋める覚悟でいました。

矛盾を孕んだ苦渋の選択ですが、今我々がやらなければいけない事は、たとえ業界存亡の危機になろうとも、安全が担保できるまで一旦ライブ活動を中断し、なんとしてでもこの危機を耐え抜く。それが結果として、我々の、愛するライブハウスの未来に繋がっていくと信じています。
そしてまたいつか皆が何一つ憂うことなく楽しめる時間、空間が戻るよう、備えること。そう考えての決断です。

どうかご理解ください。

一つだけ、明確な未来の予定です。
新しいアルバムを作ろうと思います。
実は京都ライブのMCで軽く触れたのですが、元々今年は新作の制作に入る予定でした。内容やリリース時期とか、まだ詳しくはお伝えできませんが、こうなったらとことん腰を据えて作ろうと思っています。
皆さんが驚くような野望も企んでます。新作、そしていつかはわからないけど、新作を引っさげてのライブ再開がささやかな希望となるよう、全力を尽くすことをお約束いたします!

ではまた元気で"ハコ"で会いましょう!

本田海月