Chapter 735: 熱帯紀行~食い倒れ街道篇~ | Jet Stream

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何でも余裕がないってのはダメですね、と自分に言い聞かす日々

この日より北回帰線より南に出たため亜熱帯じゃなくなりました、なんてな。

朝6時前に爆音で目が覚める。
銃声のようだ。台湾マフィアがよりによってこんなところで撃ち合いを始めた…

…はずはなく、ドアを勢いよく閉める音がそこかしこから聞こえてくる。さながら銃撃戦のような音。どんな閉め方してんだか。
続いて中国語の怒鳴り声。死ぬほどやかましい。部屋のドアなんてあってなきがごとし。
確か6時からレストランの朝食タイムが始まると聞いたが、中国人ツアー客は開店と同時に店に入るのか。だけど寝てる人を起こすなって。大迷惑。

8時過ぎ半まで浅き夢、淡き恋、遠き路、白き空の中過ごす。
ちなみにツアー客はメシから戻ってきたときも銃撃戦を繰り広げた。今思えば部屋のドアを開けて怒鳴り声をあげれば良かったかな。

朝食を超スローモーションでいただき、嘉義駅へ。
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実は自分はこの「台湾一周の旅」のハイライトに、この駅を起点とする阿里山森林鉄路を挙げており、本来ならこの日に予定してたんだが、旅に出る2日前に死者が出る大事故 が発生したため、運転が全面停止されており、やむなく中止にした。
ていうか逆にもし予定が4日前にずれてたら、自分は新聞に載ることになったかも知れない、ってことでもある。つるかめつるかめ。

10:28に出る特急、自強号に乗車。
この日の目的地、高雄まで一気に向かう手もあるにはあったんだが、それじゃもったいない。

途中駅の台南で下車、駅前をぶらり。

台南は寺や市場といった古くからの港町の顔と、若い人たちの流行を求める動きを併せ持った街。道を一つ筋を変えただけで全く違う街の顔が見えてくる。
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自分は流行には背を向け、肉屋の隣が服屋という画期的な店のレイアウトの市場や、赤篏楼や祀典武廟といった代表的な観光地を回る。
祀典武廟は「レッ○クリフ」の映画でもおなじみの関羽を祀った寺。
小さな入口だが奥行きがものすごくある。途中にある祠の中でお祈りしていた女の子がいたが、10分経ってその祠の近くを再び歩いたときにその子はまだいた。何があったんだろう。

お昼は干し貝柱のスープとカニみそのおこわ。
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うまかった。

…。

うまかったんですヨ。

ただ、中華料理本来の食べ方である「大皿料理を大人数で回して食べる」というコンセプトの店だったため、おひとりさまプランなんてものが設定されておらず、量が多すぎ。
しかもローズアップルとマンゴーの盛り合わせや杏仁豆腐白玉&小豆付きを「サービスサービス」と言われ次々にお見舞いされた。どんなおもてなしだ。
結局杏仁豆腐白玉&小豆付きを半分ほど残し、フラフラになりながら店を出る。

腹ごなしに歩く。1kmくらい。
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大南門という、黄色い本での写真映りが異様にいいくせに実物はそうでもない場所に足を運び、ヘタクソなサックスがスカスカ鳴るバンドが門の前で演奏してた孔子廟を歩いて、駅に戻る。

見たところ、在来線に乗る人って若い人たちが多い。新幹線に乗る人とは年代がだいぶ違う。あとほとんどがカップル。成立率高っ。
しかし男性は全体的に太め。これは年代問わず。たぶん昼に自分が食ったようなモノばかり普段から食ってるからだろう。台湾はメシがうまいから油断するとすぐ太る風土なんだと思う。
まあでも、どうやってモノにしたのか、彼らにぜひ訊いてみたいものだ。コーニョ。

再び自強号に乗り、空いてる席に座り居眠り。

zzz...

起きたら高雄郊外の新左営駅(新幹線の高鉄左営駅と同一構内)に着くところだった。時間にして30分。高雄まではそこから10分ほど。
新幹線は現在左営駅が終点で、高雄駅にはまだ入っていないが、高雄駅は新幹線の乗り入れを期して広めに敷地が確保されている。だからコンコースが異様に長い。そしてエスカレーターとエレベーター完備の異様にきれいな造り。考えてみれば在来線の駅って戦時中のインフラを継続して使ってるのが多いせいか、バリアフリーを全く考慮してないところばかりだよなぁ。

高雄駅から歩いて15分、ホテルへ。ここは最初からじゃぱん語で話しかけられたことから、クォリティの違いを感じた。ていうかじゃぱん人の利用が多いだけか。
そして高層階のゴキゲンな部屋。予約料金的に、ホテルの係の人は間違えて部屋を押さえたんじゃないかとも思ったが、まあいいか。
あと、ここのホテルでも「大陸から団体の方がたくさんこられたので少し騒がしいかと思いますが…」と言われた。大陸からの人の団体は部屋を埋める上では見逃せないんだろうな、マナーを差し置いても。

部屋で洗濯をする。
荷物重量を下げるためには必要な作業。
バスタブとシャワーが別々だったからやりやすかった。なお洗濯時に自分はどんな恰好してたのかはここでは書かない。

作業後、地下鉄で三多商圏駅へ。デパートや展望ビルが立ち並ぶエリア。
デパートの活気は最近のじゃぱんにはないものがある。街の人の購買意欲がまだまだ伸びている、ってことか。
嗚呼、じゃぱんにもこの活気をもう一度。

…。

…自分は結局何も買わなかったけど。

花火が遠くで打ち上がっているのを眺めた後、ホテル近くの駅まで戻り六合夜市いう高雄最大の屋台街に繰り出す。
昼食べたものがおこわだったため、腹に噛みつき続けていた。
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だから夕飯は六合夜市にある屋台の海鮮がゆ。いろんな海産物が具として入っており、実にいい出汁が取れていた。素晴らしい。
そして帰り際に台湾バナナを使ったバナナセーキとカットパインを購入。この日の昼食時は味わう余裕があまりなかったが、台湾の果物は一つ一つの味が濃厚で舌にガツンとくる。まさに果物大国ならではの威力を見せつけてくれた。

ホテルのテレビをつけたら、台北のバレエ団の演る「春の祭典」が映っていた。
バレエの主人公が最後はブリーフ一丁になってたのにはかなり唖然とした。演出家から最初に命令されたときどんな反応したんだろうか。

…そんなの見てないで、早よ寝ろって話ですよね。