NATO情報部のパンティストッキング考察 | 親愛なるエロイカへ

NATO情報部のパンティストッキング考察

ストッキングなんて興ざめするようなものをわざわざ履いてくるか!ー少佐のつぶやき on Twitter

TODAY'S エーベルバッハ少佐のつぶやき?!


【2011.05.15 調整・編集しました】
「健全なサイト運営にふさわしくない言葉・表現が含まれている可能性がある為」、
閲覧できなくなってしまったようですので、一部の文章を変更しました

【2010
.10.31 調整・編集しました】
【2009.12.29 調整・編集しました】
【2009.12.14追記しました】

この原稿は、11月初旬にはほぼ出来上がっていたのに、先月は結局更新ができず、
公開が遅れてしまいました。すみません。

さて、今回も、再度「エロイカより愛をこめて」公式英語版 Vol.14(青池保子著/CMX発行)からの話題です。
別の表現で、“つっこみ”とも言います。

* * * *

KGBのギリシャ要員「ヘラクレス」の「難攻不落の少佐陥落作戦」は見事失敗に。
彼の情婦たちを人質にした少佐たちは、番犬に彼女らの所持品をヘラクレスの元へ
一つずつ届けさせ、脅迫めいた方法で、彼女らが捕われの身であることを知らせるのだ。

以下は、そこで犬に持ってゆかせる物も無くなって、
「あとは服しか残っていない」「ストッキングが残っている」と、
少佐の部下たちがやり取りしているシーンより。
部下たち:
It's always hard peeling pantyhose off. Let's see.
パンティーストッキングって脱がすのやっかいなんだぞ ほれ
部下B君:
That's what makes it fun. Heh heh heh heh.
だからいいんじゃないか えへえへえへ
エーベルバッハ少佐:
That is not something to get excited about!
下らん事を喜ぶな ばか者!
Besides, they were out to seduce me.
They'll wear something more appealing than pantyhose.
男を誘惑しに来る女がそんな色気のないものを着用するか!
© 青池保子著「エロイカより愛をこめて」14巻 P.91 秋田書店
Aoike Yasuko「From Eroica with Love」Vol.4 P.89 CMX/Dc Comics

今回の注目ポイントは、エーベルバッハ少佐の最後の台詞。

原文:「そんな色気のないものを着用するか!」

英訳:They'll wear something more appealing than ~略
    (
もっと色気のあるものを着用するだろうが)


よーく見比べてみると見えてくる、実は大きい、その違い。

それは、
原文の少佐の発言の含意は、
「ストッキングは色気がない→履かない方が色っぽい」
であるが、
英語版は「ストッキングは色気がある」の考えをベースとしているという所。

少佐のこの発言の真意を解釈する上での重要な鍵は、その「視点の違い」---
この似て非なるお互いの「事の捉え方」にある。

では、ここでクリエイターやデザイナーなどが利用する写真素材販売サイトで試してみよう。
「iStockphoto.com 」 にて『Stockings (Hosiery)』のキーワードで検索してみると……

親愛なるエロイカへ-パンスト検索結果:iStockPhoto

次に日本の写真素材サイト「ImageNavi 」で『ストッキング』と検索した結果は…

親愛なるエロイカへ-パンスト検索結果:ImageNavi

………ごらんの通り、 ソフトではあるがセクシーな雰囲気の画像が目につく。

(パンティ)ストッキングとは、女性の脚にピッタリとまとわりつく薄い一枚の「下着」の一種。
少佐の英訳セリフに採用された『ストッキングはセクシーだ』の考えは、
ある程度一般的であることが確認できる。


次に注目すべき点。

日本語の台詞は女性の原作者によるものであり、
英訳者はお名前からして男性であるということ。

女性である原作者は、
「何もまとっていない脚は裸に近い分、セクシーである」という単純な考えから、
「生脚の上に何か着用とは野暮な」といった含意の台詞を作ったと考えられる。
しかし、男性の訳者さんはそれに違和感を感じて、
「ストッキングを着用した脚はセクシー」という考えを土台に
訳したのではないだろうか。

少佐のこの発言は、
「ストッキングなんて色気の無いもの」という原文を、
「ストッキングより、ずっと色気のあるもの」と解釈し直した、
原作者翻訳者---女性男性の観点の微妙な差異によっておきた
意訳であるとも考えられる。

よっしゃ!ここで、冗長感があるけれど、日本語への【逆翻訳+意訳】をしてみたよ。


Besides, they were out to seduce me.
They'll wear something more appealing than pantyhose.
男を誘惑しに来るんだぞ。
ストッキングよりもっと色気のあるものを
着用するだろう!
---英語版エーベルバッハ少佐 @ CMX
出典:上記に同じ

この方が、男性の言葉としてリアリティがある…… の…か……な!?(笑)

こうして英訳文を日本語にしてしまうと、
ストッキングより色気のあるものって何だ?と、妙な妄想のスパイラルに落ち入ってしまいそうだ。

いやいや、少佐のセリフに男性としてのリアリティが有るとか無いとか、
「ハッキリ断言するからにはストッキングよりもっと色気のあるものを知っているのか」とか、
整合性の追求がヤボであることは分かっている。

つまりは、「即物的」で「超実利主義」な少佐にとっては、
ストッキングなんてものは、面倒くさくて、やっかいで、
原文の意味どおり“Passion Killers (興ざめする下着)”でしかない

と考えることが、今のところ一番自然に収まるのである。


* * * *



“さすが「第七の封印」、 「今夜はドントストップ」に引き続いて、話題につきないねっ!! ”
…なんて言ってみようとしたら、すでに英語版の次の15巻の表紙絵が決まったようです

表紙絵についてはまた、次回に。



* * * *


※注意:Twitterの「@k_eberbach」は架空のアカウントです。

彼のボヤキというかつぶやきを「Twitterで発言させてみた」お遊びです。

プロフィールページを探してもそんなものはありませんので(2009.11.7確認済み)、ご了承くださいね。


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