発表!第2回POLL!POLL!エロイカ:「エロイカで好きな番外編は? 」 | 親愛なるエロイカへ

発表!第2回POLL!POLL!エロイカ:「エロイカで好きな番外編は? 」

や~っと今頃って感じもありますが…、 よ~うやくPOLL!POLL!エロイカの発表の準備ができました。
エロイカNAVIのアンケートもいいかげんに閉じましたので、順次結果公開してゆきますからね。

お題:「 エロイカで好きな番外編は?」
期間: 2008年9月~10月3日(約1ヶ月ほど)
場所:オンライン、当サイトの訪問者が任意で投票
結果:以下の表を参照のこと


親愛なるエロイカへ-第2回好きな番外編は?

同票数の第1位
「ミッドナイト・コレクター」「ケルンの水 ラインの誘惑」!!
共に伯爵メインのストーリー!!
祝日祝日 おめっとさん----------っ!!!祝日祝日チョキチョキチョキチョキチョキチョキチョキ

少佐vs伯爵の人気バランスだけを見ると、例えば継続開催中の「少佐派?伯爵派?」アンケートでも、「青池保子公式キャラクターガイドブック」のファンによる人気投票でも、少佐が圧倒的に強いのです。
ところが同じ“主役の過去話”でも、少佐の学生時代をのぞいた「特別休暇命令」には大した票は集まらず、
エロイカの少年時代が登場する「ミッドナイト・コレクター」がその3倍の投票数をゲットしています。

この番外編の人気結果は、伯爵の魅力もさながら、作品そのものの完成度に対するものだと言えるでしょう。

「ミッドナイト・コレクター」
エロイカが初めて泥棒を試み大失敗に終わった、ジョルジョーネの絵画「若い牧人」。
彼が幼い頃に思いをよせたこの作品がオークションに出品されることになって今度こそ手に入れようと
会場を訪れる伯爵。一方、「紫を着る男」を売りにロンドンに嫌々やって来るエーベルバッハ少佐。
そしてあのアラブの石油成金サバーハも初登場。それも登場初期は結構なイケメン。
芸術を愛するエロイカ VS 金にものを言わせた俗物サバーハのコントラストとその対決も面白い。

少年時代の伯爵は
「ベニスに死す」の神的美少年ビョルン・アンドレセン 風であり
(妖艶さではビョルンが勝ち)、また、唯一伯爵が誰かと寝たと明確に分かるシーンも描かれています。
Z-ツェット-シリーズ4 「Das Fraulein, das Z liebte(Zの愛した女性) 」でのベッドシーンに次いで、
エロイカ関連シリーズ中の貴重な性描写の一つです。

このストーリー自体はアクションやハードボイルド調ではなく、
上流階級や資産家が集まる絵画のオークション会場が舞台の
ハイソ感漂う作品になっていること。
そして
「貴族の青年」「芸術に造詣が深い」といった
伯爵本来の
品格のある姿を堪能できること。

これらが一番の特長であり魅力でしょう。

霧の早朝、目前で「紫を着る男」を取り逃がし呆然とする伯爵と、
それを涼しく笑うかのような「紫を着る男」のショットのラストシーンは印象的でした。


「ケルンの水 ラインの誘惑」
青池作品にめずらしいホラーものは、完成度の高いゴシック・ロマン調ストーリー。
作品の質に対する票数でしょうね。

伯爵を追っ払うために少佐がテキトーに誇張&装飾した
「夜な夜な踊りだす美青年の石像」
の言葉に釣られ、
それを確かめにとある城へと足を向ける伯爵。
謎めいた美しさを持つ石像に魅入られた伯爵がキスをするシーンは、なんともミステリアス。

ご存知の通り、舞台のライン河畔の都市ケルンは「ケルンの水」を意味するオーデコロンの語源であり発祥の地。「コロン」を物語の要所に登場させているのも舞台とそのタイトルにちなんでシャレているし、
伯爵を冷やかしに時々顔をだす少佐が、
怪奇的ホラーな話の流れを少しだけ現実に引き戻す
微妙なバランス作用の役割になっている

というのも、青池さんらしい。

人型のものには霊がこもりやすいと聞いたことがあるし、なかなかリアリティがあった話です。
青池氏自身、この作品の執筆中に奇妙な体験をしたそうです。
そのエピソードは「『エロイカより愛をこめて』の創りかた」(マガジンハウス/2005)に詳しく載っています。


2位
「エーベルバッハ中佐」
「心理実験プロジェクトS」
「聖夜の善き訪問者たち」


うん、どれも個性的ですね。

「エーベルバッハ中佐」
少佐は「万年少佐」をついに返上し「中佐」となるわけですが、情報部ではなく戦車隊への移籍付き。
この話はなんといっても、いつもの背広にネクタイではなく、

軍人らしいツナギの戦闘服+ ベレー帽+ 長髪の後ろしばり
の普段とは違う少佐


が見られるのが最大の魅力でしょう。少佐派には萌えどころの多い作品です。
ストーリーにはそれほどインパクトはないものの、「いつものあの少佐はもういないのだろうか」と、
伯爵やロレンスと同様のヤキモキ感は、このストーリー独自の感覚です。
おっと、あとゴッドフリート・ローデの登場も忘れてはなりません。また姿を見たいものです。

基本的にどの作品もそうなのですが、やはり終わり方もなかなかいい。
ラストのシーンでは、休暇中のA君宅で、伯爵とロレンスのせいで結局情報部へ戻された
エーベルバッハ少佐からの電話が鳴ります。
そこには少佐は電話口の声のみで姿は一切出てきません

出戻った少佐はどんな思いでどんな表情をしているのか。
見えないことで読み手は思いが膨らみます。
最後には「待っとるぞ、部下A!」と、いつもの少佐の言葉が。
読者をA君と同じ気持にさせる演出はとても上手いエンディングです。


「心理実験プロジェクトS」
これも同じく“普段見られない少佐の姿”のコメディ版

読者には「いつもと違う少佐」を見たいという欲求があることが判明しました(笑
伯爵はよく変装するし、すでにいろんな姿を見せてもらっていますからね。

ただしこの頃の絵柄はフェイスラインが下膨れ気味で精悍さに欠けているため少々残念。
以前の男っぽい顔立ちのパティシェ・エーベルバッハを見たかった。
フォークロアファッションの「エリカ」ちゃんにも隠れた人気がありそう。

なお、エロイカの話の中では常に少佐がほぼ一番の高身長に描かれていますが、
実験場での見事な果物の山を築いてた八百屋さん(恐らく陸軍)は、珍しく少佐より大きいキャラでした。

ちなみにこの映画のアイディアソースとなったドイツ映画「es[エス]」は、こんな楽しい話ではありません。
実際に起こった事件を題材にした、模擬刑務所を舞台に「看守役」と「囚人役」の被験者が、心理的変化を
徐々に起こしてゆく、かなりサイコ・スリラーな内容です(文末参照)。


「聖夜の善き訪問者たち」
「アルカサル-王城-」の完結編執筆のために約2年休載後のエロイカは
久々ということもあってファンサービスを意図的に盛り込ませた印象の作品。

少佐と伯爵が「休戦」だと握手をするシーンは
なんか今までの流れと違うというか何と言うか。恐らく後にも先にもなさそうな。
その上、少佐が伯爵の城でクリスマスを過ごすという仰天な急展開
目を疑わなかった読者はいないのではないでしょうか。

堂々の3位ということは、みなさん素直にそれを楽しんだのですね。

しかし、次作品「古城販売作戦」では少佐が掃除をしまくった、という事以外一切触れていなかったので、
作者はネタだけふってファンを喜ばせた、単なる「ほのめかし逃げ」だった気もします。
うん、多分それですね。(笑


「少年たちの黄金伝説」
これが上位3位に入ってくれたとは!嬉しい!私自身のお気に入りです。

ええ、確かに伯爵も部長も部下もいないし、少佐もニット帽に雪山登山ファッションだし、
出演者はドイツの片田舎の人たちばかり。いつものエロイカとは違います。

少佐の執事さんの本名が「コンラート・ヒンケル/ Conrad Hinkel」と、
単行本31巻目にして明らかになり、より親近感がわきました。

村の復興に貢献した神父との『少年の心をいつまでも』の誓いを読み上げた後、
執事さんが村の少佐と同名のクラウス少年の姿を目にして、
今度は尽くしてきたエーベルバッハ家長男のやんちゃだった頃を思い出し
母親役だった彼はつい胸が一杯に。

最後の少佐と執事とのやりとりには彼らの信頼関係がにじんでます。
他人の目を気にする少佐も何気におかしい。
雪のつもったドイツの片田舎の舞台にとてもよく合った、じんわり暖まるノスタルジックなお話です。

執事さんは本当にエーベルバッハ家を愛しているんですねえ。
前世で助けられたなどの縁があるのでしょうか。


最後に、
ページ数と票数のバランスが最低の「ローマの道は暴利の道」ダウン

なぜか大変印象の薄い作品だったので、うなずける気がします。
1位の「ミッドナイト・コレクター」同様、サバーハの久しぶりの出演があるんですけどね。
でもすっかりナスビなフェイスラインでぼんやりとした顔立ちですし、
ジェイムズ君の不条理加減にもなんとなく空振り感がありました。 


作品人気投票は、時間をおいてまた行いたいと思います。
新たに追加される作品との番狂わせなどがあるかも?!
その時を乞うご期待!!


* * * * * *

少しだけ補足です。

補足情報

タイトル:A Price Too High
著者:Margaret Price
映画レイティング: NC-17
おすすめ度:★★★☆☆

「私は彼を好きでも嫌いでもなかった。だが、彼とは寝るべきではなかった。」

伯爵とプライス卿との絵画と自分をトレードしたエピソードを題材にした海外フィクション、「A Price Too High」。
「高すぎた代償」と訳せるでしょうか。

このストーリーでは、少佐と伯爵はすでにカップルになっていて、
伯爵の少年時代、結局つかまされた贋作に対して「初体験」というあまりに高い代価を払ってしまったと、
伯爵は過ちだったと後悔を少佐に打ち明けます。
自分を安売りしてしまった心の傷は、同じ伯爵の誕生日に予期しないプレゼント---愛する人と
心を通い合わせることで癒された…… といった内容です。

作中には具体的な性描写が含まれます。不快に思う方は気をつけてください。
作中、2人は一度すれ違いますが最後には心を通い合わせます。

海外フィクションを「面白かった」と感じるか否かは、こういう二次作品に対して求める内容が人によって
違うので一概には言えませんが、個人的に「面白いか?」と言われれば……う~ん。
この話の中の具体的な描写のシーンが自分にはちょっと長過ぎた感がありました。
ただそこを読みたい方には嬉しい作品でしょう。(紹介しておいてスミマセン)
もしも、このエピソードでもっとよい作品をご存知の方がいれば、ぜひ教えてくださいね。


あともう一点。「心理実験プロジェクトS」のインスピレーションの元となったという映画エス。

ドイツ映画 「es[エス]」(DAS EXPERIMENT) (2001年/ドイツ)
出演:Moritz Bleibtreu モーリッツ・ブライブトロイ、Christian Berkel クリスチャン・ベルケル 他
監督:オリバー・ヒルツェヴィゲル
脚本:マリオ・ジョルダーノ

「被験者求む。模擬刑務所で2週間の心理実験。報酬は4000マルク」

モントリオール国際映画祭最優秀監督賞受賞ほか。

【予告編@YouTube】
アメリカ版
http://www.youtube.com/watch?v=wkazPqs46NE
ドイツ語オリジナル版
http://www.youtube.com/watch?v=QdTafti2wdY

……見る勇気が出てきましたか?
少し大きめのレンタルショップなら置いてあると思います。

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