ついに青池マンガの主役がトンスラに!--- 「笑い猫の肖像」 | 親愛なるエロイカへ

ついに青池マンガの主役がトンスラに!--- 「笑い猫の肖像」

猫本2(講談社)

[猫本2] 講談社(2008/04)

先月発売の「猫本2」(講談社 2008/04)にて掲載の
青池保子著 番外編「笑い猫の肖像」

同じ中世の修道院が舞台の「修道士ファルコ」(白泉社) では、頭にある“悩ましい”形のアザのために逆にトンスラを禁じられるという不可思議な設定を作ってまで、主役(ファルコ)をトンスラにしたくないと言ってたのに……。

このマルタンという修道士、「修道士ファルコ」のマルティナばり世間知らずの天然ぼけ。なのでそもそも心根が純粋なのだろう。
ネズミ退治のために連れてこられたこのネコに、どうやら気に入られた様子である。
そう、動物は敏感に人を判断する能力があるからね。

私も家に野太いシッポが自慢のネコがいるが、
確かにネコは角度とその表情によっては「ムフッ」と笑ったように見えることがある。
そしてそれはだいたいマッタリしてて気分のよい時だ。

トンスラ

トンスラ頭の修道僧 (出典:Wiki)

* * * *

ところで、この「笑い猫の肖像」。

ほんの12ページ。

私はかつてティーンエイジャーだった頃 (.☆.キラキラ☆.。)、小さい頃からよく絵を描いていたこともあり、また時代のブームもあって当然のように「マンガ家になる」と考えていた。

ストーリーマンガの募集要項を見たり、B4のケント紙を買ってコマ割りして描いたり、Gペン、丸ペン、カラス口、コンパス、スクリーントーンなど、基本道具は揃えていた。

現代の応募詳細は分からないが、私がそんな事をやっていた時代の
ストーリーマンガの応募規定ページ数は16ページだったのだ。
なので私には「ストーリーマンガの最低ページ数とは16ページ」という認識があった。

そしてそんな頃に、萩尾望都の「半神」を読んでドギモを抜かされた。
読み終わった後にページ数を数えてみたら、なんと16ページだったのだから。

 …この『最低単位』のページ数で、これだけの深い世界を作りだせるのか!!
 …これがプロの技というものか!!

萩尾望都は個人的にそれほど好みではなかったが、それでも大きな衝撃を受けた事を覚えている。
(ちなみに、今回の猫本に掲載されている萩尾氏の作品は17ページ。)


そして今、大人になって読んだ青池保子氏の「笑い猫の肖像」。
それよりさらに短い12ページ。

この「猫本2」をパラパラ……とめくりながら様々な作家の絵柄を眺めると、
青池氏の作品の画面が一番緻密に描き込まれていることがわかる。
そしてストーリーも緻密で完成度が高く、手抜きをせずについ描き込んでしまうという
ご本人らしい作品になっている。
12ページの短編ながら、描いている内に大作並みの描き込みになってしまいました。
半分の大きさに縮小されるのに。

青池保子 公式ホームページ 2008年3月30日付けの日記より

う~ん。萩尾望都氏もすごかったけど、青池先生もやっぱりすごいわ。



関連リンク
青池保子 公式ホームページ~LAND HAUS~
2008年3月30日の日記 >>