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… 落ちる駅



終電車の中で眠ってしまい目を覚ますと、見知らぬ女性が

僕の肩に頭を乗せてもたれるように眠っていた。

見ると黒髪のロングでかなりかわいい。

貞子とかの不気味な黒髪じゃなく、綺麗な感じ。

正直言うと悪い気はしないので、しばらくそのまま乗っていた。

僕の降りる駅はまだ先なので大丈夫だろう。

二駅、三駅と過ぎる内に車両には

僕と、僕にもたれて寝ている女性の二人だけになった。

…彼女はどの駅で降りるんだろう?

起こしてあげた方がいいかな!?……

そう思って体を動かしかけると、

「動かないで……」

と、目を閉じ頭を肩に乗せたまま女性が言った。

さらに続けて、

「もう少しこのままで…」とも…

初対面の人に言われて不思議だったけど、

女の子にそんなことを言われて理由を聞くほど僕は野暮じゃない。

黙って肩を貸してやった。

しかし、自分の降りる駅が近づくとさすがに心配になってきて、

とりあえず「どの駅で降りるの?」と聞いてみた。

すると「落ちる駅?」と返してくる。

「違うよ、落ちる駅じゃなくて降りる駅」

「降りる駅が落ちる駅よ」

また意味不明な答え。さらに彼女は「貴方の降りる駅が、私の落ちる駅」と続けた。

「えっ?」

ひょっとして、この女性は僕の降りた駅で飛び降り自殺をするんじゃないだろうか?

どうしても気になったので、彼女に「落ちちゃいけないよ」と言ってみた。

すると彼女は「貴方が降りたら私は落ちる」と謎めいたことを言ってくる。

今は彼女を落ち着かせることが優先だ。僕は自殺を食い止めたい一心で、

「じゃあ降りないよ」と言ってあげた。

彼女は嬉しそうに、「ありがとう、約束よ……破ったら貴方も落ちてね?」と言う。

この言葉には僕もゾッとしたが、僕は「わかった、約束するよ」と言った。

そのとき、電車が揺れた…

彼女の方を見た僕は、彼女の不可解な言動のすべてを理解した。

しかしもう遅い。

降りたら彼女は落ちる、そして僕もまた落ちるのだから。



電車が揺れたときに、首と胴体がくっついていないことに気がついた?

「貴方の降りる駅が、私の落ちる駅」→ 「男が降りると、女の首が落ちる」

「破ったら貴方も落ちてね?」→ 「電車を降りると男の首も落ちる」





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