……朝
 
罪悪感と後悔を引き摺って出社すると、すぐに社長室へ呼び出され、向かってみれば前室の、何時もは相葉さんが控えてる部屋に訝しげな顔をした翔さんが待っていた
 
 
 
呼び出し理由は…、考えるまでもないよね
 
マジで私、なんて事をしてしまったんでしょ
 
 
……はぁぁぁ、あの時の自分をマジ殴りしたいわ
 
 
 
二 「お、おはよ、うぎょざ、ござ、います」
 
 
 
口を挟む隙を与えず、さっさと謝って速攻で逃げようと思っていたのに
初っぱなで噛んでしまった
 
……焦るなっ、大丈夫
所詮は、翔さんだ
 
 
 
翔 「おはよう、ニノ
朝一の呼び出しで申し訳ないんだけど雅紀がうるさくてね」
 
二 「……ぃぇ、…当然…の事、か…と…」
 
翔 「ん?当然?
ニノも、気になった?」
 
 
 
冷静に話をする翔さんにイライラしてくる
 
何であんな事をしたんだ!!って、詰め寄られた方がどんなに楽か…
 
 
 
二 「………ぁの、ほんとに…その…すみ」
 
翔 「俺はまったく違和感ないんだけど…、ニノも気になるなら、やっぱり何か違うんだね」
 
 
 
“すみませんでした”と続けようとした言葉に翔さんの声が重なった
 
 
 
二 「………違う?」
 
翔 「うん、ニノも何か違和感を感じるんでしょ
俺には何時もと何ら変わらない気がするんだけど」
 
 
 
てっきり昨日の事で呼び出されたんだと思っていたけど、何か、微妙に、違う、ような?
 
 
じゃあ何で呼ばれた?
 
違和感…って?
 
翔さんの視線の先には、社長室
 
なら、社長室に違和感があるのか?
 
 
社長室の清掃は月2回、専門の業者が入る日以外は私達の仕事だ
 
相葉さんが何かやらかしたんじゃなければ、昨日の清掃で何か不手際があったんだろうか?
 
でもそれなら、昨日の時点で呼ばれるよね?
 
 
 
二 「……あの、具体的な説明をお願いします」
 
翔 「ぅんん~、具体的には…解んない(笑)」
 
二 「はぁっ!?」
 
翔 「だから、俺は何も違和感ないのよ
ただ、雅紀がね…」
 
二 「では相葉さんに説明を…、って無理か」
 
 
 
あの人の説明じゃ、解るものも解らなくなるよな
 
でも、具体的に何が違うか解らないとなぁ
 
 
 
二 「ふむ、今朝の事を事細かに話してください」
 
翔 「事細かにも何も、いつも通り出社して俺は社長室に…雅紀はコーヒーを煎れに…、」
 
 
 
 
 
この朝のコーヒーが、その日の俺の運勢を占うものだとは雅紀は知らない
 
 
だって…、雅紀の煎れるコーヒーは…、毎回…、味が違うんだ!!!
 
何故こうまで違うのか!!って程に毎回違う!!!
 
流石は雅紀だな!!!!!
 
…………はぁ(苦笑)
 
 
 
深いため息と同時に扉が開き、コーヒーを持った雅紀が入ってきて…
 
………………
 
 
 
翔 「………どうした?」
 
 
 
何故か眉間に皺を寄せ、固まってるんだけど…
 
えっ…と…、まさか…あのまま…寝てるって事は…ない、よね?
 
 
 
翔 「…あ、のぉ…、雅紀さん?」
 
相 「………臭い!!」
 
翔 「………へっ?」
 
相 「臭い!!臭い!!臭い!!
この部屋、嫌だ!!臭い!!いっ~~やぁ~~だぁぁあぁぁああ!!」
 
翔 「わ、わかった、解ったから落ち着け!!
落ち着いて下さいよ!!
ニノ呼ぶから、ね?ね?お願いだから落ち着いて下さいよぉお(泣)」
 
 
 
 
 
 
翔 「……て、訳です」
 
二 「臭い…ですか?」
 
翔 「うん、俺は解らないんだけど雅紀が酷く嫌がってんだよ」
 
 
 
翔さんと共に社長室に入ってみるが別に異臭は感じない
 
となると…、ただ掃除するだけで大丈夫なのか?
 
相葉さんが感じた異臭が何なのか解らなければ解決しないんじゃない?
 
 
 
二 「どんな匂いとか…言ってました?」
 
翔 「いや、臭いとしか…聞いてない
でも、マジで酷く嫌がってるんだよ
中に入るのも嫌がるぐらいに…」
 
二 「今、相葉さんは?」
 
翔 「智くんとべっ…、あっ、あぁ…、ん、大丈夫…か、なぁ…、……」
 
二 「?、翔さん?」
 
翔 「ちょっ、ちょっと、ごめんね」
 
 
 
慌てて何処かに連絡してるけど、不都合でも?
 
俺に知られたら不味いのかな?
 
まぁ、一社員ですしね
 
理解は出来るけど、寂しいなぁ 〟