カゴメがトマトを担保に10億円の資金調達。


これは、在庫や売掛債権を担保に資金を調達する「動産担保融資」ABL(Asset Based Lending)という手法で、
米国では1970年代に制度がスタートして以来、融資残高は伸びており2007年の実績では50兆円を超えるほどになっており、日本では、2005年に「動産譲渡登記制度」の導入などで整備されてきました。

通常、動産担保融資の場合、単純に財務諸表上の棚卸資産が、そのまま担保対象(価格)になるわけではな
く、在庫を評価する第3者機関(NPO法人日本動産鑑定等)による鑑定が必要になります。
 更に、在庫は不動産と違って「動産」のため担保の保全方法(動いてしまうものだからいかに管理するのか?ということ)や担保処分時の換金性も課題となります。

調達コストは、通常の不動産担保融資に比べると高い場合が多いが、「調達の多様化」という意味では、
価値のある手法に思います。

以下 ~日経新聞の記事より~

カゴメはジュースやソースの原料として使用するトマトを担保に借り入れを実施する。設備や在庫などを担保に資金を借り入れる「動産担保融資」を活用し、9月下旬にも三菱UFJ信託銀行から10億円を借り入れる。資金調達の手段を多様化させるほか、海外子会社などに利用を促して本体からの貸し付けを圧縮する狙いがある。

 

 

 動産担保融資は不動産を持たない中小企業や農家など個人事業主が利用することが多く、大企業が利用するのは珍しい。カゴメは今回の借り入れで担保の評価の方法や借り入れの手続きなどのノウハウを蓄積する。今回の融資は期間1年。金利はトマトの担保価値を元に設定するため、カゴメが自らの信用力を背景に銀行から借りる場合よりやや高くなる。

 カゴメが国内外で手掛けるトマトの加工では、トマトが旬の時期に1年分を収穫し、ペースト状にして冷凍庫などで保管する。ペーストは他の食品メーカーなどでも需要があり、担保価値があると判断されたもよう。

 収穫期に資金需要が集中するため、運転資金の借り入れが不可欠。ただ小規模な子会社は信用力が相対的に低く、カゴメ本体からの貸し付けに頼っているところも多いという。今後、欧州債務危機の影響で体力の弱った欧米の銀行が融資を減らす可能性もあることから、動産担保融資の活用で資金の調達先を広げる狙いもある。