匿名組合とは、商法535条から542条に規定されている契約形態です。

 

基本的理解をするには、先ずは、この商法の条文を確認する必要があります。

また、わからないときの判断基準はこの条文にあります。

 

今回はその商法の条文を記載します。


これらは、匿名組合契約によるファンド組成する人にとっても重要ですが、匿名組合契約によるファンドに出資する人にとっても重要です。
知らなかったでは、済まされませんので。。。

例えば、537条などは、投資家にとってとても大切な条項です。
本来投資家(匿名組合員)は536条の権利義務しかありませんが、537条を知らないと、わけのわからないうちに
無限責任を営業者(運営者)とともに背負うことになります。

ですので、先ずは基礎となる条文をきちんと理解することが必要です。

 

(匿名組合契約)

第535条 匿名組合契約は、当事者の一方が相手方の営業のために出資をし、その営業から生ずる利益を分配することを約することによって、その効力を生ずる。

(匿名組合員の出資及び権利義務)

第536条 匿名組合員の出資は、営業者の財産に属する。

2 匿名組合員は、金銭その他の財産のみをその出資の目的とすることができる。

3 匿名組合員は、営業者の業務を執行し、又は営業者を代表することができない。匿名組合員は、営業者の行為について、第三者に対して権利及び義務を有しない。

(自己の氏名等の使用を許諾した匿名組合員の責任)

第537条 匿名組合員は、自己の氏若しくは氏名を営業者の商号中に用いること又は自己の商号を営業者の商号として使用することを許諾したときは、その使用以後に生じた債務については、営業者と連帯してこれを弁済する責任を負う。

(利益の配当の制限)

第538条 出資が損失によって減少したときは、その損失をてん補した後でなければ、匿名組合員は、利益の配当を請求することができない。

(貸借対照表の閲覧等並びに業務及び財産状況に関する検査)

第539条 匿名組合員は、営業年度の終了時において、営業者の営業時間内に、次に掲げる請求をし、又は営業者の業務及び財産の状況を検査することができる。

一 営業者の貸借対照表が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧又は謄写の請求

二 営業者の貸借対照表が電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるもので法務省令で定めるものをいう。)をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求

2 匿名組合員は、重要な事由があるときは、いつでも、裁判所の許可を得て、営業者の業務及び財産の状況を検査することができる。

3 前項の許可に係る事件は、営業者の営業所の所在地(営業所がない場合にあっては、営業者の住所地)を管轄する地方裁判所が管轄する。

(匿名組合契約の解除)

第540条 匿名組合契約で匿名組合の存続期間を定めなかったとき、又はある当事者の終身の間匿名組合が存続すべきことを定めたときは、各当事者は、営業年度の終了時において契約の解除をすることができる。ただし、六箇月前にその予告をしなければならない。

2 匿名組合の存続期間を定めたか否かにかかわらず、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、いつでも匿名組合契約の解除をすることができる。

(匿名組合契約の終了事由)

第541条 前条の場合のほか、匿名組合契約は、次に掲げる事由によって終了する。

一 匿名組合の目的である事業の成功又はその成功の不能

二 営業者の死亡又は営業者が後見開始の審判を受けたこと。

三 営業者又は匿名組合員が破産手続開始の決定を受けたこと。
 

(匿名組合契約の終了に伴う出資の価額の返還)

第542条 匿名組合契約が終了したときは、営業者は、匿名組合員にその出資の価額を返還しなければならない。ただし、出資が損失によって減少したときは、その残額を返還すれば足りる。