日本の人口問題ってご存知ですか?


今から20数年前はバブルの絶頂期でした。高度成長期からの経済発展により、お金を湯水のごとく使ってましたが、湯水のごとく入ってきた時代でもありました。定期預金の金利は5.5%、5年満期の養老保険に預けておけば1.5倍になって戻ってきた良き時代でもありました。


しかし、1990年頃からバブルがはじけ、経済は縮小し始めました。なぜ、バブルははじけたのでしょう。もちろん、インフレにより不動産や有価証券などの資産価格が実体経済とかけ離れてしまった事に起因するところが大きいと思いますが、日本の人口問題もその一因と考えられます。


つまり、日本の生産年齢人口(15歳~64歳までの人口)は1990年をピークに減少し始めたのです。働き手が少なくなれば、効率を上げない限り、労働生産力は落ちます。以下のグラフは年齢層を3つに区分した日本の人口推移を示していまが、一番高い山形のグラフが生産年齢人口の推移です。独立系ファイナンシャル・プランナー 村川FP事務所 へようこそ-年齢3区分人口推移




国立社会保障・人口問題研究所

日本の将来推計人口

(平成18年12月推計)



日本の経済は、この生産年齢人口の減少にともなってデフレ経済へと転換したとも言えます。

国が健全に経済を発展させていくには、適度のインフレ(2%~3%)が望ましと言われていますが、日本は下記のGDPデフレーターの推移(青線)から分かるように、1990年を境にしてずっとデフレ傾向を示しています。つまり、日本を除く先進諸国は右肩上がりに経済を発展しているのに対して、日本だけが取り残されているようにさえ見えます。


独立系ファイナンシャル・プランナー 村川FP事務所 へようこそ-GDPデフレーターの推移


GDPデフレーターの推移


「世界経済のネタ帳」からお借りしたデータです。


GDPデフレーター=名目GDP/実質GDP



日本の総人口は、数年前から減少に転じています。少子化(2010年合計特殊出生率=1.39、以下出生率と略)による子供の数の減少と生産年齢人口の減少がその要因ですが、それにも増して注目すべき点が、長寿化により65歳以上の老齢人口が急激に増加して、その層を漸次厚くしていることです。


独立系ファイナンシャル・プランナー 村川FP事務所 へようこそ-日本の総人口の推移 左のグラフは総務省、統計研修所の発表している総人口の推移を表していますが、近年になって65歳以上の老齢人口の層が漸次厚くなり、その下の生産年齢人口層と15歳未満の子供の年齢人口層が薄くなっていくのがお分かり頂けると思います。




独立系ファイナンシャル・プランナー 村川FP事務所 へようこそ-世界の平均寿命 左の表は、MEMORVAというWebサイトからお借りした表ですが、世界の平均寿命を表しています。日本は女性が86歳で世界第1位、男性が80歳で世界第2位、総合でも83歳で世界第1位となっています。


今日は9月19日、図らずも敬老の日です。日本は世界一の長寿国で目出度い事ではあるのですが、ただ喜んでばかりいられるでしょうか。



独立系ファイナンシャル・プランナー 村川FP事務所 へようこそ-諸外国の平均寿命


左のグラフは、厚労省が発表している平均寿命の推移グラフです。日本は諸外国と比べて平均寿命を順調に伸ばしてきており、その傾向は今後もしばらく続くものと思われます。


一方、日本の総人口は毎年減少しています。1975年に出生率=2を下回って以来、毎年出生率が低下し、遂に2005年で出生率=1.25の最低を記録しました。それ以後は若干持ち直していますが、諸外国と比べても依然低い数値である事が要因です。



この長寿化と低い出生率により、65歳以上の対総人口に占める割合は年々増加し、その傾向は諸外国と比べて急激に伸びている事がわかります。


独立系ファイナンシャル・プランナー 村川FP事務所 へようこそ-65歳以上の対人口比
65歳になると老齢厚生年金、老齢基礎年金をもらい始めます。「ずいぶん働いたから、悠々自適に暮らそう」と、年金暮らしに入る方が多いのではないでしょうか。するとどうなるでしょう? 

言葉は悪いのですが、働かないでお金をもらう人が増え、働いてお金を稼ぐ人が減っていくのです。そして、その傾向は今後年を追うごとに顕著化し、何十年も続く見通しなのです。
独立系ファイナンシャル・プランナー 村川FP事務所 へようこそ-人口ピラミッドの変化
左のグラフは、同じ人口問題研究所が公表している、人口ピラミッドの年次変化を表しています。縦軸は年齢、横軸は人口です。つまり、若い世代の人口層が年々上昇し(老齢化し)、遂には逆ピラミッド型になってしまうのです。2025年には、65歳未満の労働者1.8人に対して65歳以上が1人という比率になります。そして、2055年には、その比率が1.2人対1人になるのです。


老人に対しては国が負担する医療給付費もより多くかかります。健康保険の自己負担割合は、70歳未満が3割負担(小学校就学前は2割)なのに対して、70歳から75歳未満で2割負担、75歳以上では1割負担となります。年金暮らしで収入も少ない老人の健康を支えるには仕方がないかもしれませんが、介護保険や年金も 含めて、現行の社会保障制度の下では、65歳未満の労働者がそれを支える構図となっています。


2011年の社会保障給付費は107兆円で国民所得の30%ですが、2025年には150兆円となり、国民所得の49%に達します。


この世界に類を見ない速度で起こっている、日本の「少子化」「高齢化」「労働人口減少化」という日本の人口問題は、「社会保障と税の一体改革」で制度と税負担を議論するだけでなく、日本経済におけるすべての分野で検討すべき大きな課題だと言えるのではないでしょうか。