日本経済の現状2回目として、厚生/国民・年金や健康保険、介護保険と言った社会保障費を見ていきましょう。


まず、財務省のデータから、23年度の一般会計予算を見てみましょう。


独立系ファイナンシャル・プランナー 村川FP事務所 へようこそ-23年度一般会計予算
予算額としては約92兆円です。左が歳出、右が歳入のグラフを表しています。


歳出で最大は、社会保障費で28.7兆円、次に多いのが借金返済にあたる国債費で21.5兆円です。


歳入を見てみますと、税金(所得税、法人税、消費税など)で40.9兆円、それより大きい額!の公債金(借金)の44.3兆円でおもに賄われています。


次に、社会保障費にスポットを当てて見ていきましょう。


独立系ファイナンシャル・プランナー 村川FP事務所 へようこそ-社会保障給付費
国全体での2010年度の社会保障給付費は105兆円になります。そのうち半分に当たるのが年金給付で53.2兆円、1/3が医療給付である32.1兆円、残りは介護給付とその他となっています。


次にそれらの給付を賄う財源を見ていきましょう。約6割の58.7兆円が、現労働者からの徴収に負っている社会保険料(厚生/国民・年金保険料や健康保険料、介護保険料など)です。後は、国と地方からの社会保障費(税金と公債金)、積立金(特別予算)の取り崩しなどで賄われています。


問題なのは、超高齢化(長寿命化)により老齢人口(65歳以上)が毎年どんどん増え続け、それに伴って医療や年金である社会保障の給付費が右肩上がりに増え続けている現状(左のグラフの青線グラフ)に対して、少子化(22年度出生率で1.39)により社会保険料の担い手である労働人口(15歳~64歳)が毎年減少し、社会保険料収入がそれに伴って減少していることです(左のピンク色グラフ)。これにより、給付と収入のギャップは毎年拡大し続けています。では、国が社会保障費としてこのギャップを埋めることができるかと言いますと、借金まみれの国家予算ですから、当然できません。もう限界です。不足分はどうしているかと言うと、特別予算の積立金(144兆円ほどある)から充当しつつ凌いでいますが、積立金も底をついたら終わりです。


対策は、一人当たりの社会保障(年金や医療)の給付費を削るか、社会保険料を上げるしかないのです。でも給料がほとんど上がらない時代に、社会保険料だけがどんどん上がっていくのでは耐えられないですよね。それこそ家のローンも返せなくなってしまいます。(実は平成17年度から29年度まで、厚生年金も国民年金も毎年段階的に引き上げられているのです。)


社会保険料もあまり上げられないとなると、年金や医療保険の給付費を削るしかありません。今の年金制度では、厚生年金と国民年金は65歳から支給開始(厚生年金は段階的に)ですが、まもなく70歳支給開始が現実になるかもしれません。


次回に続きます。