ラッシュ時間帯の南海電鉄難波駅は、やっちゃ場のような喧騒に包まれておりまして、あの電車、この電車と、いろいろな顔をした車輌を眺めるのにも往来の邪魔にならないように気を遣いますね。

モノクロ。

それにしても、草臥れた旧いものから最新のぴかぴかのものまで、さまざまな電車が這入っては出立して行くところは壮観です。

モノクロ。

やはり始発駅と申しましょうか、終着駅と申しましょうか、そのような主要駅は頭端式構造になっているとテルミナルと申しましょうか、ターミナルと英語読みにした方がわかり易いものでしょうか、しょうか、しょうかと商家の出身でもないのに問い掛けが五月蠅いと申しましょうか、まあ、それはさておき、そのような風情がありまして、眺めていると何ともオツなものでございますねと思ったりするものです。

上野駅の長距離列車ホームなどがその代表格として挙げられますが、少し旧めの私鉄各線の始発駅は、概ねこの構造になっていることが多いもので、ヤングがびゅんびゅん通り過ぎるばかりの町である渋谷でも、東急東横線や京王井の頭線など、そのような造りになっておりまして、びゅんびゅん通り過ぎる早足を一寸止めて、意識を切り替えてみれば、なかなか趣がありんすと、そんな風に見えてきたりしますね。

大阪には南海難波駅や阪急梅田駅、或いは近鉄上本町地上駅など、その玄関口を立派に造ろうとの心意気が感じられるところが幾つか見られます。上本町駅などは主要駅が難波に移ったことで、中心から外れた閑寂さも目立ちますが、経営とか車輌運用とか、資本主義的思考に関係のない眼で見ると、逆にそれがよい雰囲気に感じられます。

南海は周囲がパークスとか、最新の風景をスパークさせていても、やっちゃ場の空気感を漂わせておりますね。