「な、なんだこれ・・・」


と、アロス。


「すげぇ・・・でっけぇー」


と、馬鹿ジル。


「私、こーゆーヌルヌルしたのだめだわ・・・」


と、酔える少女ミユ


3人の目の前に現れたのは船の2,3倍も大きいタコだった。


「おい!邪魔だ!どけぇ!」


こいつ、あほだ・・・


タコが人間の言葉を理解できるわけがな・・・


「イ、イヤダァ・・・」


ん・・・


今、彼(彼女?)、いやだっていいました?


ねぇ!いいました!?聞き間違いですよね!?そうですよね!?そうといってくれぇぇぇぇぇぇぇ!


「コイツ魔物か?」


「嘘だ・・・タコはしゃべれない・・・タコは足が8本あるんだ・・・イカは10本なんだ・・・タコは・・・」


「おい!アロス!」


「あああああああああああああああああああああああああああ!何!?」


「コイツ魔物?」


「んー こんなでっかいタコ見た事無いからわかんないよ・・・」


「タコはこんな大きさじゃないことを考えると、魔物っていう考えが妥当だな。」


頭よさげに見せようとしている名探偵のなりすましみたい・・・


「まぁ、そうだろうね」


「この近海には魔物がでるのか・・・」


さすがのジルでも、魔物って言葉には応えたようだ


「おもしれえええええええええええええええええええええええええええ!」


応えてなかった・・・


「えぇ ちょっとまって!あたし魔物怖いよぉ・・・」


「大丈夫だよ!アレがあるじゃねぇか!」


「アレ?アレ・・・あぁアレね!」


なんかまた怪しいものが出てくるのか?とか思いつつ恐る恐るきいてみる・・・


「ねね アレって何?」


「ん?みてりゃわかるぜ」


「?」


そこへミユが何かを持ってきた


って、へ?


ミユが持ってきたのは紛れも無い、銃だった


「え?ちょっとまって そんなちっぽけな銃であのデカイの倒すの!?」


「大丈夫だ、アロス これは特注品だ。みてな!威力にビックリするぜ!」


「そだね、これならギリで倒せるかも!」


「ミユ、じゃあ、デカダコにぶちこんでやれ!」


「うん!」


さて、嫌な予感がするのは僕だけだろうか・・・


ミユは腰を低くし、しっかりと足を地面につき、銃口をタコに向けた。


「3、2、1、ふぁいやー!!!」


ミユは引き金を引いた。


一瞬、視界が真っ白になったかと思うと、タコはいなかった。


どこにいったんだ?


「あれ、ミユ、タコは?」


「んー・・・わかんない・・・弾は当たったはずなんだけどな・・・」


そのとき、雨が降ってきた。


「うぉ!?なんだこの大粒の雨!」


「いやぁ~ん 濡れちゃうよぉ・・・」


「うわぁ・・・もろに浴びたからびしょぬれ・・・って、あれ?」


確かに雨は身体に当たっているのに濡れはしなかった。


アロスは異変に気づくと、床をみた。


「ん・・・え・・・えええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ」


床には今落ちてきたものが散乱していた。


「ジル!ミユ!これ雨じゃないよ!」


「え?」


「ふぇ?」


こんなときにまで天然キャラ爆発かよ・・・とミユに苦笑しつつも、床に散乱している物体のうち一つをつまみ上げた 


それは細かすぎて何なのかが全くわからなかった。


アレが落ちてこなければ・・・何も気づかずに「なんだったんだろーねー」で終わったのに・・・


アロスはフッと上を見るとオニギリくらいのものが落ちてきた固体が降ってきた

「なんだろ・・・これ・・・」


そのとき、アロスは悟ってしまったのだ。知らない方が良かったかも・・・


そのオニギリ大の塊には、小さな丸いボツボツがたくさん付いていた。


それは紛れもなく、吸盤だった。


「これ吸盤・・・?ってことは・・・これは・・・      ・・・・・・・・・!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


あーあ 気づいちゃった。


「これタコーーーーーーーーー!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?」


「ああああああああああ!いきなり大声出すなよ!びっくりするじゃねぇか!」


「アロス タコって・・・どゆ意味?」


「コレ見てよ・・・」


そういって、アロスはミユに先ほどのオニギリ大のタコの足を渡した。


「あーー・・・ほんとだ。これ、タコだ・・・ってことは・・・」


「俺ら、タコの破片を浴びてるって事?」


しばらく沈黙・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


3人「キメぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」


THE・発狂


「うぅぅぇ・・・もう私ダメ・・・」


ミユがぐるぐるきゅーになった。略してグルった。そんな言葉あるのかは知らない。


「ってかタコ降ってきてることにも怖いけど、あのタコを微塵にした銃がこえぇぇぇ!ってかそれを持ってるミユがこぇぇぇぇ!」


今度ミユになにかしたら殺される、と確信したアロスだった。


「うぅ・・・きもちわりぃ・・・当分、タコ食えねぇな・・・」


「そだね・・・僕も無理そう・・・」


「まぁとりあえず、ミユを運ぶか・・・」


「そだね 寒くなってきたし」


ジルとアロスはミユを船内へ運び、ベットに寝かせた。


「なぁなぁ、アロス?」


「ん?」


「ミユってさぁ・・・その・・・なんてゆーの・・・えっと・・・」


「なんだよ、ジルらしくないなぁ」 


「んーと ミユってさ、結構、その・・・カワイクないか?」


「・・・寝ーよおっと」


「ちょちょちょちょ・・・アロスー アロスさーん」


「だって幼馴染なんだからかわいいとか思わないでしょ、普通」


「うぅ・・・そうだよな・・・」


「もしかして、ジル、ミユのことずっと前から好きだったりして?」


「!! ばっ・・・ばか!んなことあるわけねぇだろ・・・」


ジル、顔がまっかっかだよ・・・


「ふーん 幼馴染に恋ねぇ・・・」


「ん~~~! 悪いかよぉ!・・・」


「ん~ 悪くは無いかもしれないけども・・・」


「けどなんだよぉ・・・ 心配させるような事いうなよぉ?」


「ん~ それって禁断の恋にはいるのかな?」


「!?・・・うわーーーん」


「え!?あ、いや、入らないよ!入らない!大丈夫、大丈夫。」


「うぅ・・・とりあえず、発進するぞ・・・」


「う、うん」


「うぅ・・・ぐすん」


ジルは今後、どうするつもりだろう・・・ どの程度の『好き』なのだろうか・・・


もし、ジルが結ばれたいと思うほど好きなのであれば、告白もするかもしれない・・・


もしそれでジルとミユが結ばれたら自分はどうなるだろうか・・・


本来なら、『さみしい』とか『裏切られた』とかおもうはずなのだが、なぜか『それもいいかも・・・楽だし』と思ってしまうアロスなのであった・・・


しばらく・・・たつと、ジルが操縦席から声をかけてきた。


「島に着いたぞ!帆をたたむのと、碇あげんの手伝ってくれ」


「うん」


あいかわらず、ミユは寝てるな・・・


ジルにあんな話されたら、変に意識してしまう


「確かに・・・・カワイイかも・・・」


「ん?なんかいったか?」


「いや!なんでもないよ!あはは」


「? へんなの」


お前には言われたくない


アロスとジルは帆をたたみ、碇を降ろし、荷物をまとめ、上陸体制を整えていた。


ミユは何回も転びながら、あわただしく準備していた。


「あわわわ 急がなきゃ!」


ミユさん、あせらなくてもいいんだよ


「おまたせー ごめんね」


「大丈夫だぜ! じゃあ行くぞ!」


こうして、恋する男ジル、恋に気づかぬ乙女(?)ミユ、特筆しようが無いアロスは、何もしらない辺境島に足をふみいれるのだった。