(第3回)才能、高盛り! | フットハットがゆく!

(第3回)才能、高盛り!

 
 人間誰でも、他の人に負けない才能を一つは持っているという。自分にとってそれが何なのか、「ハッ」と気付いた人はとりあえずラッキーである。そしてその才能を生かせた人生を送れれば、もっとラッキーであろう。

 足が速いとか、歌がうまいとか、分かりやすい才能もあれば、いまいちパッとしない才能もある。
 例えば、漫画「サザエさん」に登場するマスオさんは、マンジュウを割らずに、中のアンの内容を当てることができる。カツオやワカメには喜ばれるが、「自分にはこんな才能しかないのか」となげくマスオさんが、その4コマ漫画の落ちになっている。

 世界に目をやると、もっとスゴい才能が山盛りである。

 ギネスブックによると、1998年12月、米国ニューメキシコ州のケビン・コールさんは、鼻からスパゲッティを19・05センチ出して、世界記録を作ったそうである。記録が0・5ミリ単位まで出てるところに、凄まじいこだわりを感じる。とにかく、鼻からスパゲッティを出させたら、ケビンさんの右に出るものはいない。あんまり出たくも出したくもないが、ライバルに勝つための彼の鍛練、努力を想像すると涙ぐましい。

 エジソンもいっていたけど、やはり才能を伸ばすには努力が必要だ。マスオさんは努力を怠ったので、自分の才能を生かせなかった。一見パッとしない才能でも、努力次第で世界記録にもつながるのである。

 こんな人もいる。再び1998年米国はウィスコンシン州のダニー・カプスさんは、コオロギの死がいを口から吐き出し9・14メートル先まで飛ばして世界記録を達成したそうである。う~ん、スゴイのかスゴクないのかよく分からないが、この人も持って生まれた才能に加え、かなり研究努力したんだろう。

 歌は下手だけどカワイイとかカッコイイだけで歌手になるアイドルとかは、よく嫉妬、非難されたりするが、外見に恵まれているというのも立派な才能である。いろんな表情を研究したり、食べたいものも食べずにダイエットしたり、努力を積み重ねて才能に磨きをかけるのだから、なにもせずデブッた腹の人には、彼らを非難する資格はない。悔しかったら、鼻からスパゲッティ出してみろ!でごわす。

 小さく叩けば小さく響くけど、大きく叩けばバリンと割れてしまう、ガラスの鐘のような才能の持ち主が、僕も含めて世の中には多いと思う。割れない鐘にするために努力できる精神力や体力も、また才能なんだろう。

 ちなみにマスオさんは、パチンコでタバコ2~3箱ぶん勝っただけで、めちゃくちゃルンルン気分になれる人である。
 ふと思うのだが、小さなことで大きな幸せを感じられる、実はこれが人間にとって、一番幸せな才能なのかも・・・。

2001年12月16日号掲載 


西郷隆盛
西郷隆盛
維新の三傑の一人。討幕の指導者として薩長同盟・戊辰戦争を遂行。

追記・・・坂本龍馬が西郷隆盛を評する時に『小さく叩けば小さく響き、大きく叩けば大きく響く鐘のようだ』といったと聞きます。西郷ドンも凄いけど、歴史に残る人物評を残した坂本さぁもまた凄い!


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