娘が生まれたその日、
私は涙が止まらなかった。
嬉し涙ではない。
もちろん出逢えて最高に幸せけど、
同じくらい最高に怖かった。
こんな子どもみたいな自分が
この子を一人前に育てることができるのだろうか。
私のような辛い人生にしてはいけない。
そんな責任感と恐怖から入院の一週間ずっと泣いた。
私が重度のうつ病だった時、
娘は一歳。
まだ喋ることはできない。
何もできず寝ているだけの私の頭を撫でた。
そして私の涙を指で拭いてくれた。
私が悲しい顔をしている時は、
「こうあめ(だめ)、こう」
言葉で伝えることは出来ないけど、
一生懸命、私に笑ってと、
娘が笑って見せた。
小学生になって、担任の先生から娘は優等生だと面談で言われた。
それなのに授業参観の日、私が教室に入ると、◯◯さん前を向いてください。
そう何度も注意をされていた。
優等生と聞いていたのに、違う。
キョロキョロしてばかりいる。
家に帰って、
途中で廊下に出たでしょ?大丈夫だった?
でもその後◯◯ちゃんのママと話してたでしょ?
良かったね、お友達がいて。
娘は私が心配で授業に集中できていなかった。
いつも私を気にかけた。
お腹にいる時からそうだった。
私が心細い時、淋しい時、体調が優れない時、
一人じゃないよ、ここにいるよ。
まるでそう言っているかのように、
落ち込むと決まって力強く足でお腹を蹴った。
私が寝ている時は大人しく寝てくれた。
これは偶然とは思えない。
娘が宿った時からいつも共に過ごしてきた。
言葉を話せない頃から
いつも心は繋がっていた。
娘が怒っている時は一緒に怒った。
娘が悔しい時は一緒に泣いた。
娘が嬉しい時は一緒に喜んだ。
でも今回、
事件を思い出しフラッシュバック。
そして自分が制御不能。
自分の弱さから知らぬ間に娘にあたっていた。
娘を傷付けてしまった。
その後、
なんてことをしたんだろう。
そう思って涙を流し謝った。
謝って済む事ではないかもしれないと、自己嫌悪が止まらない。
過去をもういい加減、
終わりにしたい。
どんな家庭環境だったって、
どれだけ壮絶な過去があっても、
私は前を向くだけ。
なりたい未来を自分で創ってゆく。
進まない言い訳を探そうと思えばいくらでも見つかる。
でも過去の中に生きようとは思わない。
心が折れそうになりながらも、
何度でも立ち上がる。
過去を乗り越えて
心の底から笑っている姿を娘に見せたい。
娘が産まれてきてくれたから私は強くなれた。
娘に悪い連鎖を渡したくから、どんなに辛くても諦めるわけにはいかない。
乗り越えた先の景色を娘と一緒に見たい。