自分の主張したいことを一方的に相手に話すことは、事前にトークスクリプトを用意しておけば簡単なのですが、相手の話や主張を100%理解することは本当に難しいと痛感しております。

 私の本業においても、相談業務というのは問題解決の入り口の部分にあたり、非常に重要な業務の一環であって、その場面においても、まずはお客様の相談内容を理解することが何より大切なわけです。

 例えば、友達や家族との会話で相手の話をよく理解しようという場合、「今話したここのこういう部分はこういう意味で言ったのか?」を、確認のため聞き返すと、理解の食い違う場面もあり、「やっ違うよ。これこれこういう意味で言った。」などと言われ、「人の話を聞いてるの?」とガックリされることもあります。

 こういう場面において、逆に人の話をあまり聞いていない人は、会話の内容の意味の確認の為に聞き返すなどという行動に出ないため、相手は自分の話をきちんと聞いてくれているという事に何の疑問ももつことなく、その場の会話は終わってしまう為、コミュニケーションとしては何となく成り立っているのである。

 しかし、実際は何か人生おける大きな決断を迫られるような重い相談などを持ちかける場合は、後者の人の話をあまり聞いていない人では、相手の話を理解しようという努力が足りないため、真の問題解決につながるような適切なアドバイスをすることは難しいと思うのです。

 すなわち、私の本業における相談業務では相談者の主張・見解を理解できなければ、適切なアドバイスや方法論を教授する事なんか到底無理なわけです。

 ただ、日頃の友達や家族との間の会話ではあまり深く突っ込んで質問しないほうがコミュニケーションは上手くいくことがあり、その時の会話の内容で臨機応変に対応する必要がありますが、いずれにせよ聞く力が相手の信用を高めることになると思うのです。