損をしない職務経歴書を書くための3つの要点 | LOG#1011

LOG#1011

サイバーエージェントグループの株式会社TMNでシステム責任者をしています。技術とそれ以外の話を半々くらいにしようと思っています。妻と息子がいます。

エンジニア業の傍ら採用の担当もさせていただいています。
主に同じエンジニアの方の派遣採用をしていますが、
中途採用の方や、その他の職種の方についても私が見ることがあります。

送られてくる経歴書は、どれも自分が一昔に書いていたような書式ですが、
見れば見るほど勿体無いなあと感じています。
正直な話、今まで上手な経歴書を書いている人に会ったことがありません。
上手な経歴書を書くだけで印象違ってくるのになあ、
と思ったのがこの記事を書いたきっかけです。

恐らく端折って書いている人は、
『採用担当はそんなに読まない』と思っているのかもしれませんが、
それは大きな間違いです。
少なくとも僕は、端から端まで2回は読みます。
2回読むのは送られてくる経歴書の書き方が下手すぎるために、
良い部分を探すのに苦労するからです。

なぜしっかり読むのかというと、採用担当のミッションとは、
応募者をふるいにかけるだけが目的でなく、
優秀な人材を絶対に逃さないようにする職務があるからです。
絶対にというのがポイントで、自分がいい加減に採用をやっていたがために、
ライバル企業に優秀な人材が流れて行ってしまえば、
最悪自分が採用担当から外される可能性があります。
将来性に投資するという意味合いの強い新卒採用と大きく異なるのがこの点です。

また、下手な経歴書のデメリットで言えば、
具体的に何が出来るのか分からないために、
本人の自己評価する報酬額と、
雇う側が評価する報酬額にギャップが生まれる事です。
下手な経歴書の人ほど、『ん?なんか希望額が高いな』と感じますが、
恐らく本人からすれば妥当な金額なのだと思います。
問題は、その妥当性が採用する側に伝わっていないことなのです。

上手な経歴書には3つのポイントがあります。
僕自身の経験はIT業界にしかありませんので、
IT業界、特にエンジニア限定と言うことでお願いします。

1.直近の経歴順に書かれている
もうこれは最低限のレベルです。
新卒で担当した案件で重要な作業をしてる筈が無いので、
一番上に書く必要なんてまったくありません。
履歴書ではないので、時系列順に書くルールなんて無いのです。
直近から始まり、キャリアスタートで終わるように書きましょう。

2.経歴紹介に具体性がある
『保険のシステムを作っていました』
というような、一言コメントが多すぎます。
概要レベルの話では、決して習得したスキルは想像できません。
もっと具体性のある書き方をしましょう。
作っていたシステムの業務内容を書く必要はありません。

・どんな処理を実装したのか
・どういった技術を使って問題解決したのか
・チーム内でどんな役割を担っていたのか(※)
この3つに要点を絞ってもらうのが良いです。

(※)ただし、SEでした、リーダーでしたというのは抽象的すぎます。
例えば、
『品質管理を任されており、
テストケースの評価やリポジトリの管理をやっていました』
というような文章だとわかりやすいです。

3.仕事への姿勢を記載する
僕自身、フリーランスで業務委託のエンジニアをやっていたため、
経歴書はしょっちゅう書いていたのですが、
自己PRは必ず書いていました。
そして採用担当をやらせて頂き、色々な方の経歴書を見ると、
そもそも自己PRを書く人が全くいない事に驚きました。
これは完全に自分の将来性を捨ててるとしか言えません。

必ず自己PRは書きましょう。
現実問題、人柄や持っているビジョンはスキル並に重視されています。
いわゆるコミュニケーション力が高くなくても僕はいいと思います。
ただし、仕事へのひたむきさと、
向上心があるかないかを重要視しています。

以下のような内容があると参考に出来ます。
・どういったモチベーションでスキルアップをしているか
・仕事の時間以外、IT関係でどう時間を使っているか
 (アプリをたくさんいじる、オープンソースに貢献している...etc)
・自分が得意としている言語、開発分野
・こんなシステムをやりたい、こんな担当をしてみたい



以上の3つの他に、経歴が長い方は希望する会社の業務にあわせて、
見て欲しい経歴だけをピックアップした別紙を用意し、
そっちを先に見てもらうと良いと思います。

また、扱った事のあるオープンソースや、ツールや製品など、
一覧にして別紙にしてもらうのも良いです。

個人的に作ったプログラムや、
貢献したオープンソースプロジェクトがあれば、
採用にとってとても大きな強みになります。
必ず紹介するようにしましょう。

中途採用希望の方は、上記ポイントは必ず守ってもらいたいです。
下手な経歴書は、将来性を捨てることになるからです。
人気希望は毎週数百近い経歴書が送られてきますが、
面接に辿りつけるのはほんの僅かです。5%切ってます。
良い経歴書を書けば人気企業に就職できる可能性が生まれます。

業務委託や派遣の方は、キャリアアップだけでなく、
報酬に直結する部分ですので、同じく遵守していただきたいですが、
所属会社やエージェントの書式に則っている場合もあるかと思います。
そういった場合は、会社に経緯を説明して
書式を変えてもらった方がよいと思います。
自分自身のためだけでなく、関係するみんなにメリットが生まれるので、
変えるよう提案するだけの価値はあると思います。