早速、文藝春秋を買ってきました(笑い)見開き2Pに渡り引退前に書かれた

自叙伝の執筆風景について写真家 立木義浩氏によりその舞台裏が明かされた。


 ある日、残間里江子さんが百恵ちゃんを連れてうちの事務所に飛び込んで来た。
マネージャーもいない、ヘアメイクもいない。当時、編集者だった残間さんと
百恵ちゃんの二人きりだった。
「立木さん、事務所の端っこでいいから、百恵ちゃんに書かせてあげてくれる?」
と、残間さんが言う。どういう理由か少し時間があいたので、という話だった
ように記憶している。事務所の本棚の裏に、ちょっとしたスペースがあった。
そこにテーブルを据える。集中して文章を書くならあまり明るくないほうがいい
だろうと思い、デスクライトを1つだけ置いた。「飲み物はどうしますか?」と
百恵ちゃんに尋ねると、「ミルク」というので買いに行って・・・・
 白いジャケットを着た彼女はテーブルの上に原稿用紙を出し、いつも持ち
歩いていたらしい辞書を広げて書き始めた。すでに文字で埋まった原稿が何枚も
あり、読み返して前後のつながりを確かめるようにして、万年筆を走らせていく。
その姿は真剣なものだった。
 出版社の注文もあり、著者近影まがいを撮る。撮影したのはほんの短い時間
だった。作家の仕事中は、かくありなんと言った雰囲気が漂っていた。執筆の
邪魔をしてはいけないと思い、僕たちはその場を離れることにした。残間さんも
用事があるとかでいったん出かけていき、それから数時間が経って百恵ちゃんは
事務所を後にした。
                 文藝春秋9月号(P276~277)より一部抜粋

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 立木氏は百恵ちゃんのデビューシングル「としごろ」のレコードジャケットを

撮ったそうで、その後も幾度となく撮ったそうです、だんだん洗練され、粉うかた

なきスターとなった彼女との撮影の様子を次のように語っています。

 「この椅子に座ってください」と言うと、瞬時に様になるポーズをとって座る
彼女がいた。時には少し崩した雰囲気で腰かけ、時には少女のあどけなさで笑い
かける。あれこれと指示する必要などない。カメラマンの息遣いを感じとって、
ふっと乗る、そいうことのができる人だった。ファンが夢中になる彼女のポテット
とした唇は写真家好みだ。そして、彼女が纏うほのかな影の気配が魅力を一段と
深めていた。           
                 文藝春秋9月号(P276~277)より一部抜粋

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 映画「春琴抄」のスチール写真を撮った時に二人をファインダー越しに見て、

その間に漂う特別な空気に「これは危ねえなぁ」と感じたそうです(笑い)。

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 最後は子供ができた後の撮影の時の話です。

 彼女が最初の子供を産んだ後、母子のポートレートを撮影したことがある。
小さな男の子を抱いてあらわれた百恵ちゃんの顔は、それまでとまったく違って
いた。人目にさらされる生活から解放され、ふっと憑き物がとれたような優しい
表情。息子をあやす、母親の自信にあふれた顔。雑誌には、一切を迎えるころの
赤ん坊の小さくかわいらし手と、それを微笑みながら見つめる百恵ちゃんの姿を
切り取った一枚が掲載された。それは、芸能人・山口百恵とはまた違う、なん
とも言えない美しさだった。
                文藝春秋9月号(P276~277)より一部抜粋

文藝春秋さんごめんなさいね(笑い)。

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