チルダ(~) と波ダッシュ(〜) | グラフィックデザイナーのための英語講座

グラフィックデザイナーのための英語講座

デザインの現場で使われる英語を
『グラフィックデザイン用語英和辞典』の編纂者が紹介します。


地下鉄の出口案内に、こんな表示がありました。
「A10番からA13番の出口はこちらですよ」と言いたかったのでしょう。

日本語の「~(波ダッシュ)」とは違い、欧文の「~(tilde)」には「範囲」を表す意味はありません。

交通機関の案内板は、外国の方々も見るものですから、正しい文章であることはもちろん、このような間違いにも気をつけたいものです。

英語で数値の範囲を記号で表す場合には、「–(en dash)」(Unicode: U+2013)を使います。

例えば、以下のような感じです。en dashの前後にはスペースを入れません。

 


A10–A13

9:00 a.m.–5:00 p.m.

1998–2013

Barack Obama (1961–) ←このように、進行中の数値にも使えます。



日本語においても、組版に厳格な方は、数値の範囲を示すときに「~」を使うことを嫌います。

府川充男さんは著書『組版原論』の中で、「数値の範囲を示すダッシュ」について以下のように書いています。

「われわれは、和文書体のアラビア数字を用いる横組の場合、年数や数量の範囲を示す「~」は決して用いない。「-」を全角取りで用いるか全角のダッシュ「—」を用いることとしている。欧文フォントの場合は、そのタイプフェイスに準備されているemダッシュを用いる。和文の全角ダッシュを混植するなどというのは論外である。」

長い横棒「—(em dash)」については、またの機会に紹介しますね。

en」、「em」は、それぞれ「エン」、「エム」と読みます。

 

【追記】2013年4月29日

上述のとおり、「en dash」の前後にはスペースは入れませんが、微調整のためにほんの少しだけ間隔を空けることはあります。これは「slash」などでも同じです。

また、文章中で“間を取る”ときに「en dash」を使用する場合には、スペースを入れます。同様のケースでem dashを使う場合には、スペースは入れません。