私が社会人スタートを切った街が仙台であった。

当時、東北の名古屋とか呼ばれていたが、実にいい街であった。

人口は70万人位で大宮発の新幹線「やまびこ」で仙台まで2時間はかかった。

伊達62万石の青葉城跡に立って見る仙台の街は美しかった。

前に太平洋の海の幸があり、背後に本場ササニシキがあり食は抜群であった。

又、仙台駅から歩いて10分のところに国分町という歓楽街があった。

地元の人は「ブンチョウ」と呼んでいた。

パブ、ライブハウス、キャバレー、炉端焼き、クラブ、おかまバー等々、ざっとあの狭いところに2500軒近くの店があった。

札幌のすすきの、岐阜の柳ヶ瀬、広島の薬研堀、博多の中洲に匹敵する歓楽街であった。

仙台の学生もサラリーマンもOLも、老いも若きも、全てが国分町に集まってくる。

メインは稲荷小路と虎屋横丁。

ホテルリッチからホテル国分に向かって歩くと、そばの「かぶ家」とかに幸船の間にディスコ「ZIZIQUE」というのがあった。

OLと学生で賑わっていた。野村證券の先輩の大橋さんに良く連れていかれた。

そして、その近くに東洋ショーという店があったが、残念ながら一度も行けなかった。

東洋ショーの前を抜けて稲荷小路へ行くとそこは仙台の本物の歓楽街でキャバレーの「ブルームーン」や「1,2,3」、「ロンドン」「ジャンプ」、トルコ「鎌倉御殿」や「大名」があった。

大橋先輩に連れられてキャバレーにも行ったが、どれもあまりに年上の女性過ぎて今ひとつ面白くなかったのを覚えている。

やはり、仙台は支店経済の街で新しい考えを持った人が転勤してきても、すぐに異動してしまう。

そうした仙チョン族には国分町は癒しの素晴らしい街であった。

仙台はカジカがなき、アユのすむ広瀬川があり、詩情豊かな杜の都だった。

私にとって都会と田舎の微妙なバランスがなんとも居心地の良い街であった。

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昭和58年(1983年)の仙台