報道によれば、東日本大震災で被災した東京電力福島第1原発の2号機は14日深夜、約4メートルの高さの燃料棒が水面から完全に露出し、原子炉が冷却できない状態になった。

同日夜にも全面露出し、緊急の海水注入で、いったんは燃料棒の下から3・1メートルほどまで水位は回復したが、同日深夜になって再び水位が急激に低下した。

東電は、「炉心が溶融している可能性は否定できない。」としている。

冷却できない状態が長時間続けば大量の燃料が高温で溶融し、漏れ出す恐れがあり、今回の事態の中で最も危険な状況に陥った。

東電は、「14日午後9時37分に福島第1原発の正門付近で3130μSv/h(マイクロシーベルト・パー・アワー)とこれまでで最高値の3倍の放射線を計測した。」ことを明らかにした。

2号機は同1時半ごろ、原子炉の冷却に使う海水をくみ上げる機能が、ポンプの燃料切れで働かなくなった。その後、海水を入れる作業を続けたが、原子炉内の水位が上がらないまま、同6時22分に最初の完全露出をした。

 再び海水の注入を開始し、水位は順調に回復した。圧力も低水準に落ち着いたが、原子炉の蒸気を逃がす弁が閉じ、炉内の圧力が高まった。このため、海水を送り続けられなくなり、同11時20分に水位が急低下、燃料棒が再び完全に露出した。


一方、3号機も同日午前11時すぎ、水素爆発が発生した。
爆発音とともに大きな白煙が上がり、原発周辺の半径20キロに残る住民約475人に対し、屋内避難の指示が出された。

東電は「3号機の格納容器は健全だ。」と発表した。

3号機の事故では、東電の社員ら7人と、自衛隊員4人の計11人がケガをした。

東電社員ら6人が放射性物質の付着が確認された。

自衛隊員は軽いけが。

枝野幸男官房長官は会見で、「(放射線の)特段の観測値の上昇は見られていない。」と説明した。

3号機は14日午前6時50分、格納容器内の圧力が「設計上の最高使用圧力」427KPa(キロパスカル)を超え、海水の注入作業を再開した直後に水素爆発が起きた。

圧力容器は鋼鉄製で、1、3号機の水素爆発でも損傷はなく、1号機の事故で確認された放射性物質は微量だった。

だが、原子炉の核燃料が多量に溶けるメルトダウンの場合、水蒸気爆発で容器ごと吹き飛び、大量の放射性物質が拡散する恐れがある。  


ちなみに、シーベルト (Sievert) は、生体への被曝の大きさの単位だ。記号はSv。SI単位である。

呼称は、放射線防護の研究で功績のあったロルフ・マキシミリアン・シーベルトにちなむ。

人体が放射線にさらされる事を放射線被曝(ほうしゃせんひばく)といい、人体は年間およそ2.4ミリシーベルト(世界平均)の自然放射線に常にさらされている。

ごく微量の放射線では人体に影響を与えることはないが、大量の放射線は人体に有害だ。

特に、放射性物質を扱う環境にある人は、自分がどの程度の放射線を受けたのかを、常に厳密に管理しなくてはならない。その際に用いられる尺度の一つがシーベルトである。

放射線を短期間に全身被曝した場合の致死線量は、5%致死線量が2シーベルト、50%致死線量 (LD50) が4シーベルト、100%致死線量が7シーベルトと言われている。

200ミリシーベルト以下の被曝では、急性の臨床的症状は認められないとされるが、長期的な影響については議論があり、また、低線量の被曝についても健康被害が生じたとして訴訟が起きている。