りさは先生がいるときに素直にパイナップルを丁寧に書いて、「絵の具で塗って欲しい」は拒否、色鉛筆で色を塗って、指定の背景も書いて、そして背景の机だけぐちゃぐちゃに殴り書きのように塗ったのです。

その話を教育相談でしました。
聞いてくれるのは、昔公立の中学の先生で、今は不登校問題についての活動に取り組んでいる人です。
「へえ、りさちゃん絵を書いたの!」
「そうなんですよ。あの子は先生の言うことは絶対に聞かなあかんものやと思ってるから、逆らわないというか逆らえないんですよね」
「背景書いてるとき、なんでやねんって思ったやろうね。実際にないものなんか書かれへんもんね。
色も塗れないよね。それにそこに何らかの意図を感じていたら余計にね。
お母さん、先生がパイナップル持ってきた時どう思った?」
「そりゃ、りさちゃんはちゃんとこうやって学校に参加してますよ~っていうアピールでしょう。
校長にでも言われてきたんだろうなと思いましたよ。
まぁ、でも絵を書く事は悪いことじゃないからいいかなって感じ。」
「何日か色塗らへんかってんな。その間にりさちゃんにも葛藤があったんやろうな。」
「ほんまは書きたくないという気持ちが滲み出てましたね。」
「でも書き上げた。なんでかな。」
「書いたらパイナップル食べていいって言われてたからでしょうね。
書かなければ約束を違えることになるから食べちゃダメと思っていたんじゃないでしょうか。
まぁ、パイナップル食べたかったんでしょう。
書き終わった瞬間、私、冷蔵庫に放り込んで冷やして剥いて二人で食べましたもん」
「そやけど、よくりさちゃん、学校に持っていくこと許したね。
その絵のこと、どうでもいいって思っていたんじゃないのかな。私には関係ないってね。」
「そう思います。自分が好きで書いた絵は絶対見せてくれないのに、この絵に限ってはネットに載せようが、学校で張り出されようがどうでもいいという態度でした。
どっちも了解とったけど、ええよってなんか自分の作品じゃないみたいだったんですよね。」
「学校のこともどうでもいいみたいやね。」
「そうですね。もう完全に気持ちは離れてるようですね。
仲の良かった友達のことは気になるみたいだけど。」
「それにしても、先生はりさちゃんの絵を見て考えなあかんよね。
どうして書いたのか、どんな気持ちで書いたのか、どうして机だけぐちゃぐちゃに塗ったのか、どうして学校に張り出すことを許したのか。
それを教師たちで考えなければ今回のことの意味は何もなくなってしまう。」
「ほんと職員会議のテーマにして欲しいですよね(笑)」
とまぁ、こんな感じで話したのですが、改めて振り返るいい機会になりました。
相談とか行くのでいいことは、話のキャッチボールをしているうちに「あれ、あれはこういうことだったのかな」といろいろな気付きがあることですね。
話すことによって頭が整理できるんだなと実感します。
ただし、ちゃんと私の話を受け止めて、反論や余計な口出しをせず、傾聴してくれる人に限りますが。