2月1日16時29分配信 スポーツナビ


 31日に行われたバルセロナ対サラゴサの国王杯第1戦は、後半33分のディオゴのゴールでサラゴサがアウエーで1-0と先勝した。バルセロナにとって国王杯でのサラゴサはまさに天敵で、過去11度の対戦では7回敗れている。今回、ホームでの試合を落としたことにより、バルセロナは厳しい状況に追い込まれたといえる。

 バルセロナは、GKにジョルケラ、右サイドバックにオレゲル、左にザンブロッタ、センターバックにマルケスと、リーガの試合から守備陣の顔ぶれを大きく変更したが、中盤から前線はほぼ現状でのベストメンバーをそろえ、FWには好調のサビオラが入った。
 対するサラゴサはアイマールの不在によって左サイドの中盤にオスカルが入り、右サイドバックにはセビージャ戦での暴力行為により5試合の出場停止を受けたディオゴが復帰した。ボランチにはサパテルと本来はセンターバックのピケを起用した。

 試合は予想通り、バルセロナがボールを支配し、サラゴサが守備からカウンター攻撃を仕掛ける展開になる。ただし、バルセロナはボールを持つものの、しっかり守備陣系を整えるサラゴサを前にビッグチャンスを作れず、攻めあぐねた。特に前線での動きの量が足りず、中盤の選手の飛び出しもないためサラゴサ守備陣の背後を突くパスがほとんどなく、ペナルティーエリア内に侵入することがほとんどできなかった。
 バルセロナの攻撃を象徴していたのがロナウジーニョ。中盤でボールを持つ際には必ず右サイドバックのディオゴを背負い、簡単に前を向かせてもらえず、前線への効果的なパスを出せない。ディオゴをはじめとするサラゴサの選手も自陣の深くない位置であればファウル覚悟で厳しいチェックをみせ、この日はバルセロナの3倍にあたる27回ものファウル犯していた。それによりサラゴサは、バルセロナの攻撃のリズムを寸断し、イライラの募ったファンからは試合終盤にブーイングも出ていた。

 1トップに入った好調のサビオラも、このシステム上での限界を感じさせるプレー内容だった。サビオラはポストプレーを得意とするタイプのFWではないため、裏のスペースに飛び出してボールを受けたいのだが、バルセロナの中盤の選手との距離が長いため、なかなか欲しいようなボールを受けることができずに試合を通して消えていた。チームとしても、1トップのFWがポストプレーで起点を作れないと、中央、サイドのどちらの攻撃においてもパスコースとスペースがない状態で、ボールは支配しても、相手の守備を崩すには至らなかった。

 対するサラゴサはチームとしてやるべきことがはっきりしていた。バルセロナ相手のアウエーでの第1戦ということで、チーム全体の意識は守備的だった。まずはバランスを保ちながらじっくりとバルセロナの攻撃を待ち構える陣形を整え、奪ってから素早いカウンター攻撃を徹底してきた。守備の連動性も高く、チャンスとみればチーム全体がラインを上げてスペースを消し、数的優位を作ってバルセロナの選手に激しいプレッシャーを掛けていた。
 そのため、決定的なチャンスという意味ではサラゴサの方が多かった。前半41分には素早いカウンターでディエゴ・ミリートが持ち込み、左のオスカルにスピード、コースともに最高のパスを送る。オスカルはこのパスを見事にトラップしてGKと1対1になったが、枠を外してしまいゴールならず。2分後の43分には右サイドからセルヒオ・ガルシアが左足で強烈なミドルシュートを放つも、ポストに当たり跳ね返されてしまう。

 後半に入っても攻撃が膠着(こうちゃく)状態にあったバルセロナのライカールト監督は、選手交代によって活路を見いだそうとする。後半16分にボランチのエジミウソンに代えてジウリーを投入。これによってイニエスタが本来のボランチに戻り、攻撃はジウリーの突破力が加わることで怖さが増した。後半22分には、さっそくジウリーが右サイドからサビオラへ決定的なパスを送ってチャンスを作るも、サビオラがシュートを大きく外してしまい、点を奪えない。

 一方、サラゴサのビクトル・フェルナンデス監督のさい配ぶりもさすがだった。守備面でプレッシングに奔走(ほんそう)し、疲れのみえたセルヒオ・ガルシアを下げてエベルトンを投入。また、チーム全体にも疲れが出てディフェンスラインが下がり、バルセロナに押し込まれる時間帯に入ると、既にイエローカードをもらっていたピケに代えてモビージャを投入。前がかりになってディフェンスラインの背後に大きなスペースを作るようになったバルセロナに対して、パスを出せるモビージャとフレッシュでスピードのあるエベルトンを入れたことで、サラゴサはそれまで以上に切れ味鋭いカウンターをみせるようになる。
 この試合のCKの数はバルセロナの3本に対してサラゴサの7本。この数字は、バルセロナがボールを支配し押し込みながらもサラゴサのカウンターによって決定的なチャンスを作られ、何とかCKに逃れていたことを物語るものだった。
 試合はそのCKから決着がつく。後半33分、ダレッサンドロが蹴った右CKを、ディオゴがうまくニアサイドで合わせて、サラゴサが終盤に先制点を入れた。
 その後、バルセロナはシャビを下げてグジョンセンを投入するが、余計に前線が硬直化してしまう。ボールが前線に届かず、サラゴサに背後のスペースを突かれる展開となり、そのまま逃げ切られてしまった。
 国王杯ではここ3シーズンで2度サラゴサに敗れているバルセロナ。この日もその“天敵”に見事にやられてしまった。第2戦に巻き返しを誓うバルセロナだが、苦しい立場に追い込まれたことは間違いない。

-Ichiro Ozawa from Spain-
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インテル・ナシオナルに負けたときも、ファールすれすれ、もしくはファールで止められて鮮やかなパスワークが見られませんでした。サビオラは天才的なFWですけど、ポストは出来ません。1トップの難しいところです。そう考えるとやっぱりエトーはすごいです!

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