平成27年(行ウ)第54号 自己情報不開示決定処分取消等事件 被告の第1準備書面。
入手したので、とりあえず、アップ。

内容は、あいかわらず、議論がかみ合わない雰囲気。

裁判制度の不備だと思うんだけど、
論理は、積み重ねて行くものだから、
裁判の途中で、
論点ごとに、結論を出していかないと、
主張が迷走してしまうと思う。
たとえば、
監護権が有るにしても、無いにしても、主張のしようはあるわけで、
途中で結論を出してくれれば、論理が構築しやすい。

まあ、ここまで書いて気づいたのは、
結局、裁判とは、
論理の積み重ねによる判断じゃなくて、
まず結論を判断したうえで、
その判断に沿うように適当な論理をつけただけのものという事実である。

なんか、空しくなってくるな。
まあ、いい。
気を取り直して、被告の第1準備書面を分析しよっと。

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平成27年(行ウ)第54号 自己情報不開示決定処分取消等請求事件
原告 ○○ ○○
被告 田川市

準備書面(1)

平成28年5月10日

福岡地方裁判所第2民本部合議B係 御中
被告訴訟代理人

弁護士 ○○ ○○
  同 ○○ ○○
  同 ○○ ○○

第1 請求の原因に対する認否・反論。

1 請求の原因・1は認める。

2 請求の原因・2記載の事実のうち、
第1及び第2段落は認め、
第3段落は否認する。
○○○○(以下「父」という。)
は監護権を有していない親権者であり、
法定代理人とは認められないものである。

3 請求の原因・3記載の事実のうち、
第1段落目は、監護権を有しない父が
未成年者の法定代理人として
本人に代わって情報請求を行うことは出来ないと判断して非開示決定をした限度で認め、
第2、3段落は争う。

4 請求の原因4(経過)・(1)記載の事実は、
「父が原告から監護親による児童虐特について以前から訴えを受けていた」旨は不知、
その余は、事実経緯という限度で認める
(父の主張内容が正当であると認めるものではない)。
  請求の原因4(経過)・(2)記載の事実は、
事実経緯という限度で認める
(父の主張内容か正当であると認めるものではない)。
なお。処分行政庁は、監護権を
有する母親の同意を得て欲しい旨を主張したものであり。
関わり合いになりたくないということを主張したものではない。

請求の原因4(経過)・(3)記載の事実は、
事実経緯という限度で認める
(父の主張内容が正当であると認めるものではない)。

請求の原因4(経過)・(4)ないし(8)は認める。

5 請求の原因5(別件公関対象情報についでの公文書)は認める。

6 請求の原因6記載の事実は、
別訴で係争をしていた別件に関することであるため、認否を行わない。
なお、個人情報の開示に際して、
監護権者の同意が必要であると被告が認識している点については、
第2において後述する。

7 請求の原因7は否認ないし争う。

第2 被告の主張。

1 平成27年4月23日、処分行政庁は、
父が原告の代理人として行った自己情報開示請求(甲6)に対して、
開示請求者以外の個人に関する情報であって、
当該情報に含まれる氏名、生年月日
その他の記述等により開示請求者以外の特定の個人を識別することができるため、
田川市個人情報保護条例第18条第2号に該当するとして、
開示請求を全部否と決定した(甲7)。

2 以上のとおり、当該全部否決定が理由とするところは
田川市個人情報保護条例第18条第2号に該当するという点に尽きるが、
被告は、父が代理人として請求してきたものの、
従前の経緯より、
父が原告の監護権を有しないことを認識していたことから、
原告の監護椎を有する母に対して、
父が原告の代理人として自己情報開示を行って来たことを説明すると共に、
個人情報を開示することにつき同意を求めた。
 しかしながら、母の意思は、
「情報は出さないで欲しい。父に関わって欲しくない」
と強硬であり、
不開示との意見であったことから、
処分行政庁としては開示請求を全部否と決定する一方で、
監護権を有しない親権者が行った未成年者の自己情報開示請求は無効であり、
原告代理人としてなされた請求は
父本人によるものと解釈し(甲10)、
父に対して、自己情報開示等可否決定通知書を送付したものである。

3 なお、父は、訴状・7頁以下において、
直方市の個人情報保護条例において、
「未
成年者本人又は
開示請求者以外の法定代理人が
不開示についての意思を明らかにしている情報」
というような親権者間で意見が異なる場合の規定を具備しているのに対して、
本件個人条例にはそのような規定かないので、
条例上、開示するほかはない旨を主張している。
 けれども、条例に規定がないので許されない旨の主張は余りにも硬直的なものであり、
開示の可否に際して、
処分行政庁が条例の趣旨に照らした解釈を行うことも、
当然に許容されるものである。
 そして、本件においては、
監護権が母にのみ存在し、
父が監護権を宥しないのであるから、
監護権を有する母の意思が第一義的に重視すべきであり、
本人の利益保護を制約するおそれが具体的に認められるような例外的な場合に限って、
父の意思も考慮されるべきであるが、
本件においては、そのような例外的な事情は存在しなかったものであるから。
母の意思を重視して判断されたに過ぎない。

 さらに、父は、訴状・10頁において、
「父は、本件個人請求を原告の法定代理人として請求しているにもかかわらず、
処分行政庁は、
父からの請求とみなしていると回答している。」
とも非難しているが、
父は監護権を有していない一方で、
母が原告の監護権を有しており、
しかも、原告は、本件対象情報につき、
母を介して受領済みないし受領することが可能な状況なのであるから、
田川市個人情報保護条例第17条第2項が規定している
「本人が請求することができないやむを得ない理由がある」
とは認められず、
代理人本人により請求と解釈したことにも理由が存在するものである。

第3 原告第1準備害面に対する反論。
1 まず、父は、第1準備書面・第1において、
田川市個人情報保護条例第17条第2項を根拠として、
未成年者の法定代理人が本人に代わって自己情報の開示請求をすることが出来る旨を主張している。
 しかしながら、父は、
「本人が請求することができないやむを得ない理由」
については、
何ら明らかにしておらず、
本件では、そのような事情は認められないものである。
 特に、前述のとおり、
原告は、本件対象情報につき、母を介して受領済みないし受領することが可能な状況なのであるから、
「本人が請求することができないやむを得ない理由」
が存在しないことは明らかである。

2 さらに、父は、未成年者の法定代理人が
未成年者の自己情報の開示請求を行うに際して
親権の共同行使が求められるかという論点につき、
甲20を根拠として、
単独で開示請求権を行使できる旨を主張している。
 けれども、甲20は、あくまでも本人の権利利益保護を重視したものであるが、
本件のように、親権者の一方のみが監護権を有している場合までも念頭に置いたものとは認められない。
 従って、父の主張は、自らが監護権を有していないことを無視した議論で有り、失当である。

3 最後に、父は、民法第818条第3項ただし書に規定された
「父母の一方が親権を行うことができないとき」
の解釈につき、
「父母が事実上の離婚状態にあるとき」
も含まれると解釈した上で、
本件においても、
父母が事実上の離婚状態にあるため、
父母の一方が親権を行うことができないとき」
に該当し、
父が単独で訴え提起を行うことが出来ると主張している。
 しかしながら、
父母が事実上の離婚状態にあるときに
親権の単独行使が許容される理由は、
あくまでも子の福祉のためと認められるところ、
本件では父母間において、子の福祉の観点を考慮した結果、
母が監護権を有することが認められているものである(乙1)。
そうであるならば、
監護権者である母が
子の福祉を担うことが出来るのであり、
 その母が代理権を行使できないという特別な事情は存在しないのであるから、
父が単独で訴え提起を行うことが出来る旨の
父の主張は不合理であり、失当である。

証拠方法
1 乙第1号証 調書

添付書類
乙号証写し1通

以上

証拠説明書

乙第1号証                     
文書の標目 調害(写し)
作成年月日 平成26年3月5日
作 成 者 福岡家庭裁判所田川支部
立証趣旨 子の福祉の観点を考慮した結果、母が原告の監護権を有することが合意された事実等
以上

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