細長くそびえるアパートメント
そのコンクリートに跳ねる擬音は
雪の重さにねじ伏せられる
5Bの部屋では
空調をmaxにして
そこまで来た朝に
バドワイザーが泡を立てる
僕は
初めから遠ざかることを
躊躇しない
カウントダウンが終わらない
ずっとずっと深まっていく
do you know where you're going to
繰り返されるフレーズが
レンガ崩落の脱力を
一歩手前で支えてくれるのだが
均衡しない不可能性が高まる
何と何が均衡しないかは
それぞれで決めればいい
均衡するものを探すほど
難しくはない
まどろむことのない放埓は
発芽率を増していく
磨り減っていく彗星
はたしてその横の僕はどうだろう
アパートを引き払う際
ドアマンはいつもの笑顔を振りまいて
重い扉を開きながら
液状化するコンクリートを
この僕に投げつけた