不可能性 | 男の喫茶店

男の喫茶店

昔、日々の中で書き留めていた詩やエッセイに手直しをしながら載せていきます。

細長くそびえるアパートメント


そのコンクリートに跳ねる擬音は

雪の重さにねじ伏せられる



5Bの部屋では

空調をmaxにして

そこまで来た朝に

バドワイザーが泡を立てる



僕は

初めから遠ざかることを

躊躇しない


カウントダウンが終わらない

ずっとずっと深まっていく



do you know where you're going to


繰り返されるフレーズが

レンガ崩落の脱力を

一歩手前で支えてくれるのだが



均衡しない不可能性が高まる

何と何が均衡しないかは

それぞれで決めればいい


均衡するものを探すほど

難しくはない



まどろむことのない放埓は

発芽率を増していく


磨り減っていく彗星

はたしてその横の僕はどうだろう



アパートを引き払う際

ドアマンはいつもの笑顔を振りまいて

重い扉を開きながら

液状化するコンクリートを

この僕に投げつけた