昨晩の『素敵な宇宙船地球号』は、企業から出る食品廃棄物を、児童養護施設、日雇い労働者等に提供するフードバンクが、取り上げられていた。
http://www.tv-asahi.co.jp/earth/
日本の食品自給率は40%を切る。『食糧安保』と言う言葉は、私が物心ついたときには、既に言われていた。しかし、政治家は、『食糧安保』を声高に唱えはするものの、有効的な政策は何も打たれてこなかった。それもそのはず、『食糧安保』は、自民党の票田であった米作農家に補助金をばら撒く、大義名分のためのお題目にすぎず、また、大量の原材料を輸入する商社、それを食品にする食品加工業者の利益を損ねるような政策は取るはずもなかった。
しかし、中国、インド、ブラジルの急成長、原油の高騰、バイオ燃料への切り替えなど、ここ数年で、『食糧危機』が、現実の問題になっている。
その低い自給率にもかかわらず、相変わらず廃棄されている食品は年間、2320万トン。
平成16年の米の収穫量が872万トンなので、そのすごさががわかる。自給率40%は、カロリーベースなので計算が出来ないが、この廃棄される食品を考えると、自給率の数字に意味がない気もする。
昨年吹き荒れた食品偽装問題の嵐。実際に食中毒や、身体の不調を訴えたことで発覚したケースは聞かない。企業が設定する賞味期限、消費期限にルールは無く、自己基準で決めている。実際に被害を与えていないのにマスコミ、国民から糾弾された企業は納得の行かないところもあろうが、知られざる食中毒天国日本では、余裕を持っての期限設定は、仕方ないことかもしれない。
その賞味、消費期限よりさらに厳しい『販売期限』を儲けているのがコンビに業界。昔、セブンイレブンでアルバイトをしていたが、出てくる弁当の廃棄量には唖然とした。また、企業が出す食品廃棄物にはこのほかにも、①季節商品で、時季が過ぎたもの、②廃番商品、③へこんだり、パッケージが汚れたり破れたもの、③期限の印刷が不鮮明なもの・・・・・・・まだまだ食べれるのに捨てられるものは多い。
この食品会社の出す食品廃棄物を引き取り、児童養護施設、日雇い労働者に寄付しているのがフードバンクという組織。番組では、アメリカ出身のチャールズ・マクジルトンさんの主宰する”セカンド・ハーベスト・ジャパン”の活動が紹介されていた。
http://www.secondharvestjapan.org/index.php/jpn_home
元海軍、日本が好きで、上智大に入り、日本に住むことに。10年前、隅田川川岸で生活するホームレスの支援をした後、この国の矛盾に取り組むため”セカンド・ハーベスト・ジャパン”をつくる。現在では日本中の施設などから、支援を求める声が届くという。
いま、私が手伝っている野菜は、根がついたまま出荷する。従来には無い新しいもの。スーパーで買った後、水を張ったコップにつけておくと、冬の時期なら室温で1週間以上鮮度を保てる。生ゴミにならずに最後までちゃんと食べれる画期的なもの。
日本を代表する大手スーパーに営業に行ったとき、野菜のバイヤーに、そのメリットを言うと。「そんなの売ったら儲けなくなる」と言われた。スーパーとしては、適度に棄てられて、購入回数が多いほど儲かる。つまり、食品廃棄物2320万トンが有効に日本人の胃袋に届いたら、食品業界、スーパー小売り業界、飲食業界は、やっていけなくなるに違いない。
2つの選択肢で迷うことをジレンマ、3つだとトリレンマ。
今の世界は、経済発展による利益追求、資源・エネルギーの確保、環境問題というトリレンマを抱えている。トリレンマとは言いながらも、経済発展による利益追求は、はずせない選択肢。この選択肢を維持しながら他の2つの問題に取り組むと言うのは並大抵ではない。
利益追求は人間固有の欲求。その欲求をうまくセーブする仕組みは、やはり政治が作る強制力でなくてはダメだろう。政治家の皆さん、いい知恵出してね。